野音でのワンマンライブは7年ぶりという彼らは、この日当時と同じく「レクイエム」からライブをスタート。菅波栄純(G)が奏でる鋭くヘビーなリフと、山田将司(Vo)の狂気を匂わせるボーカルが全方位に響きわたり、会場は一気に重厚なサウンドスケープで染め上げられていく。
その後は、久々の野音にふさわしく、新旧の楽曲を満遍なく織り交ぜたセットリストが展開。リズム隊の刻むビートが観客を踊らせる「涙がこぼれたら」や、艶やかなボーカルが鮮やかな照明に映えた「セレナーデ」、悲恋を歌い上げたドラマチックな「舞姫」など、ライブの定番からワンマンならではのコアなナンバーまでさまざまな曲が演奏された。
中盤には「ジョーカー」「墓石フィーバー」など、ダークな一面を浮き彫りにする楽曲が連続。真っ赤に染められたステージで山田は咆哮を繰り返し、菅波と岡峰光舟(B)はステージ前方で観客を煽る。松田晋二(Dr)もフロント3人を支えつつ、ダイナミックなドラミングを炸裂させ、圧倒的な世界観を作り上げた。
猛々しいプレイの一方で、MCはメンバー個々のキャラクターが全開に。菅波は自分が描いたステージ後方に掲げられた垂れ幕を指し、「今回はねぶた祭の山車を描きたいっていうのがあって。それから、日本の神話に出てくるスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治するストーリーをイメージしたんです。スサノオノミコトって実は水害を沈めたっていう話もあって、(東日本大震災で)日本人はやられっぱなしじゃないぞっていうのを表現したかった」と語った。
岡峰は「野音は東日本大震災が起きる前に決まってたけど、いろいろありまして。でもそれがきっかけで自分を振り返ることができた」「今日はここでライブができて本当にうれしいです」と笑顔を浮かべる。山田は天気の話に終始。「みんなと共有できるネタが天気くらいで、これからも天気の話をすると思うけど……」と観客を笑わせていた。
日が落ちる時間帯には、野音の空気にぴったりな「水芭蕉」、山田がアコースティックギターをかき鳴らす「夢の花」と、柔らかな楽曲たちが会場を包み込む。そして「THE BACK HORN、今年は次なる扉を開けようとがんばってます。これからも一緒に歩んでいきましょう!」という松田の宣言からライブはクライマックスに突入した。
ドライブ感あるギターとベースの絡みで魅せた「覚醒」、セッション的なパフォーマンスから始まり、サビで大合唱がこだましたキラーチューン「コバルトブルー」とライブを盛り上げる楽曲を立て続けに演奏。各メンバーの動きも激しさを増し、本編ラスト直前の「戦う君よ」で熱狂はピークを迎えた。
そして山田は「どうもありがとう。とても素晴らしい夜になってます。明日は今日よりももっといい日になるように……」と語り、東日本大震災のチャリティソングとして作られた「世界中に花束を」を全身全霊で熱唱。その歌声に寄り添うように、楽器隊の3人も丁寧に音を奏でた。
アンコールで松田は「野音って運がないとできない場所で。これから先いつできるかわからないけど、またやりたいです」と、野音が自分たちのとって特別な場所であることを明かす。そして4人は7年前の野音公演でも演奏した「光の結晶」と、ライブの定番曲「無限の荒野」を夜空に響かせライブのフィナーレを彩った。
なおTHE BACK HORNはライブ中に秋にワンマンツアーを開催することを発表。10月20日の愛知・名古屋CLUB DIAMOND HALLを皮切りに全国6都市7公演を行う。さらに主催イベント「マニアックヘブンVol.6」の開催および、冬に「マニアックヘブン」のライブDVDをリリースすることも明らかにしており、2011年後半はさまざまな形で活動を展開する。
THE BACK HORN「『KYO-MEIワンマンライブ』~第二回夕焼け目撃者~」セットリスト
01. レクイエム
02. 蛍
03. 涙がこぼれたら
04. アポトーシス
05. セレナーデ
06. 羽衣
07. 舞姫
08. ジョーカー
09. 墓石フィーバー
10. 何もない世界
11. 水芭蕉
12. 夢の花
13. 覚醒
14. 真夜中のライオン
15. コバルトブルー
16. 戦う君よ
17. 世界中に花束を
<アンコール>
18. 光の結晶
19. 無限の荒野
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