MUCC、時を超え野音に響かせた艶美で芳醇な「鵬翼・極彩」の世界

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MUCCのライブツアー「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」の最終公演が、5月6日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で行われた。

「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」日比谷公園大音楽堂公演の様子。(撮影:冨田味我)

「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」日比谷公園大音楽堂公演の様子。(撮影:冨田味我)

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バンドの結成25周年を記念して、歴代のアルバムを再現するツアーを昨年10月から行っているMUCC。ツアーの第2弾となる「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」では、2005年リリースの「鵬翼」および2006年リリースの「極彩」の収録曲を中心にしたライブが全国11会場で展開された。

「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」日比谷公園大音楽堂公演の様子。(撮影:冨田味我)

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時折風が強い吹くものの、気温は25℃以上、快晴に恵まれ野外ライブ日和とも言える天気となった野音公演当日。開演直前まで客席はのどかなムードが漂っていたが、アルバム「極彩」のオープニングナンバー「レイブサーカス」が流れ出した瞬間、周辺の空気がピリピリと張り詰めていく。その中でミヤ(G)とYUKKE(B)が、サポートメンバーであるアレン(Dr)、吉田トオル(Key)とともにスタンバイ。最後に孔雀色の生地に赤い襟が目を引く着物を羽織った逹瑯(Vo)がステージに現れる。ギラつくようなライトを浴びた5人は「極彩」を轟かせ、約17年前に世に放った禍々しくも艶やかな世界へと夢烏(MUCCファンの呼称)を誘った。

逹瑯(Vo)(撮影:冨田味我)

逹瑯(Vo)(撮影:冨田味我)[拡大]

肌に粘りつくような、重くおどろおどろしいアンサンブルを聴かせる「嘆きの鐘」や、激しく歪んだギターの音が地面を揺らした「ガーベラ」などダークな曲をライブの序盤に据え、“ムック”時代のナンバーを披露していくメンバーたち。なお、昨年の秋に開催された「是空」「朽木の灯」の再現ツアーはライブハウスで行われていたこともあり、そこはかとない密室感が特徴だったが、この日の公演は「鵬翼」「極彩」というアルバムが持つ音楽性の振り幅の広さに加え、声出しの解禁、野音というシチュエーションも手伝いどこか開放感的なムードに。YUKKE作詞作曲の「心色」ではリズム隊が紡ぐダンサブルなグルーヴが夢烏たちの体を揺らし、新曲「想-so-」では四つ打ちのビートにバイオリンとチェロの音色、憂いを帯びた耽美な逹瑯の歌が、えも言われぬ世界を描き出す。かと思えば「リスキードライブ」が始まるや否や、逹瑯はステージを練り歩きながらアジテーションを繰り広げ、夢烏とコール&レスポンスに興じる。そのバトンはYUKKEとミヤにも順番に渡され、2人はそれぞれのキャラクターを感じさせるコール&レスポンスでファンとのコミュニケーションを存分に堪能していた。

ミヤ(G)(撮影:冨田味我)

ミヤ(G)(撮影:冨田味我)[拡大]

その後、日が落ちた頃合いを見計らうかのように、茜色の照明がステージを染める中で「パノラマ」がスタート。「鮮やかなパノラマへ どこまでも道は続いてく」。そう逹瑯が優しく歌うと、風が木立と観客の頬をそっと撫で、安らかな時間が野音一帯に流れた。しかし、「メディアの銃声」に続いて披露された「25時の憂鬱」で空気は一変する。不可思議な揺らぎを持つ逹瑯の歌声や、背を這うように鳴るギターとベースの音色が夢烏を幻惑的な世界に誘い込んだ。

YUKKE(B)(撮影:冨田味我)

YUKKE(B)(撮影:冨田味我)[拡大]

ライブの後半戦の口火を切ったのは、ノスタルジックな感情を呼び覚ますミディアムナンバー「ホリゾント」。さらに「最終列車」「謡声」といった夢烏からの人気が高い楽曲が、種々様々な照明演出を交えながら宵を迎えた会場周辺にこだまする。殺傷力の高い轟音で夢烏を狂乱させた「G.M.C」を挟み、逹瑯の「地獄からハッピーな気分になるか」というひと言から届けられたのは「優しい歌」。コロナ禍においてはこの曲に欠かせない夢烏のコーラスが禁じられていたが、今回のツアーより解禁に。「お前らのライブを聴きに来てるんだ俺は!」という逹瑯の言葉に応えるように、夢烏たちの「ラララ」の合唱が夜空に広がり、一体感を作り出した。そして、感動的なムードをさらに加速させるように「流星」のイントロが奏でられ、レーザー光線がステージに美しい流星群を描く。クライマックスにふさわしい、曲の魅力を引き立てる演出を交えたパフォーマンスが終わると、万雷の拍手が客席から沸き起こった。

「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」日比谷公園大音楽堂公演の様子。(撮影:冨田味我)

「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」日比谷公園大音楽堂公演の様子。(撮影:冨田味我)[拡大]

アンコールは、キラーズオーケストラを交えたこの日限りの編成による「雨のオーケストラ」で幕を開け、ライブの定番曲「蘭鋳」へと続いていく流れに。夢烏のシンガロングがメンバーを支えるように響き、追い風がステージの後ろから吹く中で披露された「TONIGHT」を経て、ラストを飾ったのはコロナ禍に生まれた「WORLD」だった。「青く染まれ 壊れた世界を超えて」という今の時代を象徴するフレーズを会場にいる全員が心を重ね、祈りを込めて歌い上げる。その光景には結成25周年という節目を超え、新たなステージへと向かっていくMUCCの意志と、それを支えるファンのひたむきな思いがにじんでいた。

なお、MUCCは6~8月にアルバム「志恩」「球体」を主軸にしたツアー、10、11月にはアルバム「カルマ」「シャングリラ」を主軸にしたツアーを行い、結成25周年のアニバーサリーイヤーの締めくくりとして12月28日に東京・東京国際フォーラム ホールAでワンマンライブ「MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to『Timeless』&『WORLD』」を開催する。

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MUCC「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」2023年5月6日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)セットリスト

01. 極彩
02. 嘆きの鐘
03. ガーベラ
04. 月光
05. 心色
06. 耀-yo-
07. 想-so-(with 後藤泰観 [Violin]、吉田弦 [Cello])
08. リスキードライブ
09. パノラマ
10. メディアの銃声
11. 25時の憂鬱
12. ホリゾント
13. 最終列車
14. 謡声
15. G.M.C
16. 優しい歌
17. 流星
<アンコール>
18. 雨のオーケストラ(with 後藤泰観 [Violin]、吉田弦 [Cello]、キラーズオーケストラ)
19. 蘭鋳
20. TONIGHT
21. WORLD

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「音楽ナタリー」ライヴレポ掲載

「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~鵬翼・極彩~」ライヴレポート

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