香取がソロアーティストとして、アリーナクラスの会場でライブを開催するのは今回が初めて。2日間で2公演が行われ、会場には約2万人のファンが足を運んだ。
ライブの幕開けを待ちきれない客席から手拍子が湧き起こり、開演前から熱気に包まれていた22日の有明アリーナ。コンセプチュアルなオープニング映像がライブスタートを知らせると、ステージ奥の壁面を成す3段構えの巨大LEDビジョンが上昇し、香取の姿を逆光で照らし出す。映像の中と同じ、口元までを美しいビジューの装飾で覆った純白のミステリアスな衣装でファンの前に姿を見せた彼は、1stアルバム「20200101」(2020年1月リリース)収録の「Metropolis」を1曲目に披露。キレ味鋭いラップやダンスボーカルのパフォーマンスに、漲る気合いをにじませた。
曲終わりに香取が大きく手を広げると、その動きにシンクロするようにLEDビジョンにも光が広がり、香取はここで初めて晴れやかな笑顔を見せる。「ハロー、東京!」と彼が挨拶して届けた2曲目は、“序幕”を意味する「Prologue」だ。ダンサーチーム「SNG DANCERS」とともにステージに立つ香取はここから一気に6曲を畳み掛けるパワフルなステージを展開。衣装の早替えでオーディエンスの驚きを誘いつつ、ダンサーたちとグルーヴィに体を揺らしたり、ジャジーなブラスサウンドにスウィングしながらスタンドマイクで力強いボーカルを聴かせたりと、曲ごとに異なる表情を見せて広い会場の熱気をぐんぐんと高めていった。
怒涛のオープニングパートを駆け抜けたあとのMCで、息を切らしながらファンと向き合う姿に客席から大きな拍手が送られると、「楽しい! 最高!」と声を上げた香取。彼は「こんな大きなところで1人でライブする日が来るとは……」と噛み締めるように言葉を紡ぎ、客席を埋め尽くすファンにくまなく目をやりながらトークを進めた。また、このMCタイムでは、水を一気に飲み干したあとのペットボトルをしっかり潰した香取から「ペットボトルは潰して捨てましょう」という言葉も。この呼びかけにも、ファンは温かな拍手で応えていた。
「Black Rabbit」のステージをスキルフルな演奏で支える「SNG BAND」の面々が登場してからの中盤パートでは“タキシードが似合うジャズ”をテーマに制作された2ndアルバム「東京SNG」からの楽曲が次々にプレイされ、絢爛なバンドサウンドに彩られた香取の豊かな歌声を堪能する贅沢なひとときがオーディエンスに提供された。ライブならではのリッチなアレンジが施された「こんがらがって」をじっくりと聴かせた香取は、朗らかなブラスサウンドが印象的な「シンゴペーション」では一転、スキャットやシャウトを織り交ぜた軽やかなボーカルで楽曲を乗りこなす。楽曲の色に合った歌声でカラフルなパフォーマンスを見せる香取に熱い声援を送る客席のファンも曲の世界観に合わせたペンライトのカラーを光らせ、曲を重ねるごとに会場の一体感は大きくなってゆく。
この日2度目のMCでは、21日の公演に来場した稲垣吾郎からライブ直前に電話がかかってきたことをファンに報告した香取。「電話がかかってくることって、ほとんどないんですよ」と前置きしつつ「吾郎ちゃんが『よかったよ』って。『あの曲で泣けたよ』とか言ってくれて、うれしかったなあ」と、もらった言葉を振り返りつつ「僕ね、小5の頃から吾郎ちゃんと一緒にいるの。嫌になっちゃうよね(笑)」と付け加えて照れ笑いを浮かべていた。
タキシード姿からチェックのコートを羽織ったモードなスタイルへ装いを変えてのライブ後半には、ハードなバンドサウンドやダイナミックな照明演出と融合する香取のエッジィなダンス&ボーカルがオーディエンスの目を奪った。WONKやKREVA、yahyelといった気鋭のアーティストとタッグを組んで制作された個性的な楽曲の数々を、パワフルかつ繊細なパフォーマンスで体現してゆく香取。彼の衣装もステージを照らす光も赤一色に染まった「Anonymous」のディープな世界観が聴衆に提示されたところで、本編最後のMCへ。「こんなに大きな場所で皆さんと楽しい時間を過ごせているのが、本当にね、信じられないんだ。うれしくて」と切り出した香取は、子供の頃にマイケル・ジャクソンの東京ドーム公演を訪れた際の自身の思い出を振り返る。彼は「そのときね、マイケルと目が合った気がしたんだ。そして、自分が初めて東京ドームでライブをしたとき。ステージに手をついて『マイケル、やっとここまで来たよ』って言った」と、静かに耳を傾けるファンに明かした。
「そのあとに1回。またステージに手をついて、『1回(ステージを)下りるね』ってマイケルに言った」と続けた香取。再び大勢のファンが見守るステージに立った今の瞬間に心を弾ませるように、彼は「大好きな歌とダンスをして、みんなの笑顔を見ることができて、本当に幸せです。ありがとう! これからもずっとずっと、みんなで楽しい時間を過ごしましょう。一緒に明日を生きましょう!」と力強く約束した。
止まない拍手の音に応えて始まったアンコールのステージでは、香取慎吾×SEVENTEEN名義で1月17日に配信リリースされたばかりの新曲「BETTING」が初披露された。この楽曲は、草なぎ剛が主演を務めているカンテレ・フジテレビ系ドラマ「罠の戦争」の主題歌。ライブ中「みんなでつよポンのドラマ、最後まで応援しましょうね!」とファンに呼びかけていた香取は、ファイヤーボールが噴き上がるダイナミックな演出の中、パワフルな歌声とゴージャスなステージパフォーマンスで聴衆を魅了した。公演を終えた香取は「最高でした。香取慎吾史上アリーナ規模でのライブデビュー日になりました。ここが新たな始まりで、応援してくれる皆さんと音楽でもっとつながって、いつまでも笑顔をつむいでいきたいです」とコメントを発表。「香取慎吾LIVE『Black Rabbit』」は、3月14、15日に兵庫・ワールド記念ホールでも公演が行われる。
香取慎吾 コメント
最高でした。
香取慎吾史上アリーナ規模でのライブデビュー日になりました。
ここが新たな始まりで、
応援してくれる皆さんと音楽でもっとつながって
いつまでも笑顔をつむいでいきたいです。
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香取慎吾“マイケルとの約束”胸に臨んだ初のアリーナ公演で「本当に幸せです」最新曲初披露も https://t.co/lTIdzMsFh4