超特急、9人で進む新世界の幕開け！“奇跡の出会い”に涙と希望あふれた新体制初ワンマン

超特急のアリーナワンマン「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2022『新世界 -NEW WORLD-』」が12月24日に東京・国立代々木競技場第一体育館で、25日に大阪・大阪城ホールで行われた。

4カ月前の8月8日、“8号車（超特急ファンの呼称）の日”に4人の新メンバーを迎え、9人体制となった超特急。新体制として初のワンマンライブである本公演に向け、ダンスリーダーでライブの演出も務めるユーキは「すべての楽曲を9人でやり遂げる」ことを8号車に約束していた。この記事では、24日に行われた国立代々木競技場第一体育館公演の模様をレポートする。

「新世界」の幕開けを目前にした代々木第一体育館。メンバーセレクトによる場内BGMが来場者を迎える中、客席に渦巻く期待感と高揚感は徐々に高まってゆく。ライブスタートと同時にステージ奥の壁面をなすLEDビジョンに映し出されたのは、モノトーンのオープニング映像だった。“5本”の線が“9本”になり、その線の交わりによって完成した円形のレール。リーダー・リョウガが合図をすると、顔までを大きなフードで覆った漆黒のローブ姿の9人がそのレールを囲って“魔法陣”を作り上げる。ミステリアスな映像演出に観客が釘付けになる中、逆光に照らされながら姿を見せたのは、映像の中と同じローブを着た9人。ステージ前方に歩みを進め、9つのピンスポットの中に立つ彼らが勢いよくローブを脱ぎ去ると、そこには全身メンバーカラーのセットアップスーツに身を包んだ超特急の姿があった。

無彩色の世界を9つの色で彩った彼らは、花火の轟音とともに「TRAIN」のリテイクバージョン「Re-TRAIN」でライブの火蓋を切って落とした。「TRAIN」は超特急のデビュー曲にして、7年前の2015年に行われた初めての同会場でのワンマンのオープニングナンバーでもある。9人のパワフルな動きからは気迫がほとばしり、リョウガは「突き進んでゆく」の歌詞に合わせてまっすぐ前を指し示す。そして、ステージセンターでハイタッチしたユーキとアロハはそのまま背を向けて走り出し、ダイナミックなアクロバットの空中技をシンクロさせてオーディエンスを圧倒。1曲目からフルスロットルで繰り広げられる彼らの“新世界”に、ペンライトを握る8号車の手にも力がこもった。

そんな8号車がイントロの“秒針の音”で沸き立った2曲目は、7年前の代々木第一ワンマンのテーマソングだった「Fantasy Love Train ～君の元までつながるRail～」。オープニングから一転、心踊るカラフルな音色に笑顔を浮かべたメンバーは、からくり時計から飛び出した人形の喜びを生き生きと演じ、バックモニターには感情を体いっぱいに表現するマサヒロやカイ、ハルの姿が映し出された。曲を終え、改めて客席と向き合った9人は順に8号車に呼びかけを行い、タクヤは「どこのイルミネーションよりもきれいだ。ありがとう！」と聴衆に語りかける。オリジナルメンバーの5人が姿を消すと、続く新メンバーのシューヤは「今までで一番のクリスマスになりそうです！」と心を踊らせ、マサヒロは「幸せなクリスマスにしていきましょう！」と約束。アロハは大きな笑顔を浮かべながら「心の底からあっためますので、準備お願いします!!」と誓った。

最後尾・14号車のハルが「今日は人生で最高にハッピーな日です！ この会場を（メンバーカラーの）オレンジに染めます!!」と思い切り叫ぶと、そのまま「My Buddy」へ。スタンド席にはカイ、リョウガ、タクヤ、ユーキ、タカシを乗せたトロッコが登場し、ライブ開始早々のサプライズ演出に客席はどよめきに包まれた。ステージに残っていた4人もトロッコに乗り込み、アリーナエリアの通路を進んでゆく。メンバーカラーの9色と8号車カラーのピンク色、10色がきらめく“光の海”を、その光に負けないくらいに瞳を輝かせながら隅々まで見つめる新メンバー。彼らはファンへの呼びかけも積極的に行い、アロハは「し、し、新世界！」とリズムを取りながら手振りをリードしてみせた。客席のあちこちでファンの声援に応え、会場の熱気をぐんぐんと引き上げてゆく9人。離れた場所のトロッコに乗るメンバーどうしで楽しさを共有する姿も8号車の笑顔を誘い、曲終わりでタカシはもう1人のボーカル・シューヤに向かって「シューヤがMy Buddy！」と替え歌で呼びかける。それに気付いたシューヤも、タカシのトロッコを指差しながら「Forever My Buddy！」と返していた。

「Burn!」で客席の一体感をさらに引き上げてステージに戻った9人は、ここで本公演のテーマソングとしてリリースされた最新曲「NEW WORLD」を届けた。雲間と星間を駆け抜けてゆく疾走感いっぱいのVTRをバックに、7人のメインダンサーはその人数を生かした多彩なフォーメーションから繰り出されるダンスで、“理想の世界”を目指す強い意志を可視化させてゆく。「白い空まで」と歌われる場面、ユーキは力強い眼差しで空に手を伸ばし、9人の目標の地である東京ドームへの思いをしっかりと8号車に示した。

5曲を終え、この日初めてのMCタイムが設けられると、タクヤは「早くも感無量でございます」とひと言。「ついに実装されました！」と、10色のペンライトの景色を喜んだリョウガは「トロッココーナー以上にこのあと盛り上がるか？（笑）」と不安げな様子を見せて笑いを誘う。また、アロハは「言いたいことがあります！」と切り出して「代々木来たぞおー！」と気合いの絶叫。超特急のメンバーとして初めて立つ大きなステージに、感情を爆発させていた。

MCを経てスタートしたのは、ダンサーメンバーによるパフォーマンスブロック。順にステージ中央に立ったアロハ、マサヒロ、ハルは、それぞれの個性が生きるダンスジャンルを取り入れたソロパフォーマンスでダイナミックな躍動を見せ、超特急に新たに加わった力の大きさと多彩さを、8号車にダイレクトに提示してみせる。続いて登場したユーキとタクヤは、タンクトップとメッシュ地のロングスリーブを重ねた、ボディラインの際立つ衣装で8号車の前へ。しなやかさと大胆さが共存する、蠱惑的で美しいペアダンスを見せ、聴衆の視線を釘付けにした。最後にバトンを受け取ったのはカイとリョウガ。クールな表情を浮かべる2人がテクニカルなダンスでシャープにダンスリレーを締めくくると、舞台上に勢揃いした7人はワイルドな群舞で音に乗る。1人ひとりが異なる輝きを持ちながらもそれが調和しシンクロする、超特急のアイデンティティが新体制でも発揮されたこのシーンを、8号車は熱い眼差しで見つめていた。

シューヤが「最高のバカンスだー！」と声を弾ませ歌った最新シングル曲「宇宙ドライブ」を経て、彼らがここでドロップしたのは「超ネバギバDANCE」。デビュー5周年のタイミングで発表されたこの曲は“ネバギバ精神”で夢へのステップを駆け上がっていく決意を超特急らしいコミカルな表現を交えながら歌い踊る楽曲で、9人は力強い敬礼ポーズとコロコロ切り変わる表情で8号車を楽しませる。タクヤを先頭にさっそうと花道を進んでセンターステージへと移動すると、タクヤに変わってセンターに立ったユーキは「ご乗車ください!!」と絶叫。勢いのままにバック転を決める彼の両サイドではハルとアロハが片手倒立を鮮やかに決め、マサヒロも思い切った変顔でオーディエンスの視線を集めた。歌詞にある“天井知らずの男子”をそのまま体現するようなアップデートに沸き立つムードを加速させるように、続けてスタートしたのはひさびさの披露となった「Star Gear」。カイをセンターに据えて組まれるV字の隊列は9人体制となって力強さを増し、メンバーはステージの正面を巧みに切り替えながら、センターステージの全方位を囲む8号車にアピール。最後方でマイクを握るバックボーカルの2人のパワフルな声の重なりも、7人のパフォーマンスを強力に後押ししていた。

曲を重ねるごとに高まってゆく9人の結束感は、続く9曲目と10曲目で一層強さを増し、前半パートのハイライトともいえるシーンを作り上げる。この日が初披露となった9曲目の「Cead Mile Failte」はケルト音楽を取り入れた壮大なサウンドが特徴のナンバー。ファイヤーボールがとめどなく噴き上がる演出をバックに、9人は闘争心をむき出しにした猛々しいステップを踏んで楽曲の世界観を立ち上がらせる。タカシとシューヤのこぶしを効かせたボーカルもトライバルなムードを加速させ、9人が見せた新たな表情を、オーディエンスは息を呑むように見つめた。そして10曲目に披露された「Feel the light」では一転、ひんやりとした音色がアリーナ全体を静かなムードに包み込む。交差するスポットライトの光の線がセンターステージにピラミッド型の空間を作り上げ、その中に立つダンサーの7人は“光”を探し求める姿をうごめくような身のこなしでミステリアスに体現。ほのかな光に照らされる彼らの表情には曲の中で歌われる孤独や苦悩が滲み、そんな7人がボーカルの２人を円で囲んで踊る様子は、9人だけの神聖なセレモニーを覗き見ているような錯覚を観る者に与えた。

会場中が「Feel the light」の深い余韻に包まれる中、メインステージのLEDパネルが上昇して姿を見せたのは8人編成のストリングス。繊細で豊かな音色が新たなセクションの始まりを告げると、純白の衣装に着替えたボーカルの2人がステージの両サイドに現れ、アカペラによる歌い出しで「Snow break」を聴衆へと届けた。言葉の1つひとつにたっぷりと感情を込め、時折お互いを見合って声を重ねる2人の歌声はストリングスの音色とともに切ない情景を描き出し、順に姿を見せたダンサーたちによる迫真のパフォーマンスを誘う。超特急初のオリジナルナンバー「No More Cry」でも厚みのある音と歌声が7人のダンスを支え、曲中にユーキは「大切な日を僕たちと過ごしてくれてありがとうございます！」と8号車にメッセージを送った。

壁面のビジョンに大きなクリスマスツリーが映し出された「Sweet Bell」では、アロハとハル、そしてリョウガが願いを込めた星を宙に描いて大きな笑みを浮かべる。これまではメンバー全員で五芒星を形作っていた場面は、ダンサー6人が表現する六芒星にパワーアップ。生演奏が加わったきらびやかなサウンドとツインボーカル、そして7人のダンサーのパフォーマンスによって、冬のライブ定番曲の数々も新たな表情を見せていた。

衣装替えを兼ねたMCタイムでは、ユーキが「初めてかも。こんなに体がガッチガチになったの！（笑）」と、この日のステージに臨む緊張感の大きさを明かし「それくらい、代々木って場所は僕らにとって特別な場所」と、強い思い入れをのぞかせる場面も。またカイは、そんな大きな会場で初めてのワンマンライブを経験するマサヒロが、開演前の客席の様子を楽屋のモニタで見て「すごいっすね……！」と硬直していた、という初々しいエピソードを8号車に告白。マサヒロは照れ笑いを浮かべつつも「ペンライトもめちゃくちゃきれいです！」と、うれしそうにファンへ呼びかけた。

「よっしゃ来たぜこの曲ー！ お前らのクリスマスは俺たちのもんだ！ あはははは!!」と、振り切ったテンションのタクヤが叫び声を上げたのを合図に、ライブは「SAY NO」でラストスパートへ。猛ダッシュで花道を駆け抜けた9人は、センターステージで歌詞通りの“マジで半端ない”大暴れを繰り広げ、客席のボルテージを一気に引き上げてゆく。“鬼教官”が現れてメンバーにスパルタ指導を行う曲中のワンシーンでは、この役をアロハが担当し、先輩メンバーにも体当たりでぶつかっていく勇姿を見せた。最新シングル「宇宙ドライブ」のカップリングナンバーである「BakaBakka」は今回のライブがパフォーマンス初披露。ジェネレーションギャップや社会の悲哀をキャッチーな言葉遣いで歌うこの曲を、メンバーはコミカルな表情と動きでポップに表現し、8号車の笑顔を誘っていた。

再びトロッコに乗り込んで客席のあちこちに散らばった9人がヘッドバンギングの波を作り上げた「超えてアバンチュール」を経て、アリーナに鳴り響いたのは「バッタマン」の印象的なイントロ。ここでステージのセンターに躍り出たのはハルで、彼は「まだまだ行けるよな!? ペンライト回して、本気見せてくれ!!」と、8号車に向かって思い切り叫んだ。過去、数々のライブイベントで観る者に衝撃を与えてきた、エキセントリックなキラーチューンであるこの曲でテンションを振り切ったハルは、「うおー!!」と雄叫びを上げながらステージを縦横無尽に駆け回る。腹筋をしながら「8号車ー！」と絶叫したり、お腹を見せてオーディエンスを“威嚇”したのち、最終的には花道に大の字になって寝転がってみせたハル。彼が繰り広げた“完全無欠の奇行”はメンバーと8号車のボルテージを最高潮まで引き上げ、この日一番の熱狂を生み出していた。

衝撃のパフォーマンスの熱気が冷めぬ中、ステージにはストリングス隊が再び現れ、穏やかな音色を奏で出す。ここで次の曲の紹介を担ったタクヤは「情緒がめちゃくちゃなんですけど……（笑）」と苦笑いしつつ「僕はこの曲を聴くと、『１日１日を大切にしよう』と思います」と切り出した。「人間、いつ死ぬかもわかりませんし……そんな重たいことじゃないかもしれないけど、4人と出会えたのも、みんなと出会えたのも、すごく奇跡ですし、生きててよかったと心の底から思います」。そう語る瞳には涙が潤み、タクヤは声を震わせながら「皆さんとのかけがえのない未来に、大きな希望を。全力で精一杯届けます。『Billion Beats』」と、本編ラストの曲をコールした。9人が新体制初ワンマンの最後の曲に選んだ「Billion Beats」は、出会いの奇跡を喜び、共に歩み続ける未来を願う温かな愛の歌。ユーキやアロハ、ハルの目にも涙が浮かぶ中、9人は同じリズムで1拍1拍鼓動を刻む様子を表現し、出会いという“一番素敵な奇跡”を8号車と共有していた。

フォーメーションのみならず、振付もアップデートされた「Dance Dance Dancing!」から始まったアンコールでは、9人が順番に今の心境を聴衆へと伝えた。「加入から4カ月で代々木の舞台に立つことができるというのは、音楽をやり続けている人の中ではありえないこと」と切り出したシューヤは、涙で声を震わせながらも「8月8日に『タカシくんを支えたい』と言った気持ちは今でも変わっていません。まだ力不足かもしれないけど、僕は『ダンスボーカル界のツインボーカルと言ったら超特急』だと言われるように。それ以上に歌っていきます」と、力強く約束する。続くマサヒロは「今日新体制を無事に見せることができて、少し心がホッとしています」と柔らかな表情を浮かべ「最後まで全力で。体力が尽きるまでパフォーマンスしますので、引き続きよろしくお願いします。絶対東京ドーム行きましょう！」と8号車に呼びかけた。

「始まる前はずっとドキドキしていたんですけど、8号車さんがすごいきれいな景色を見せてくれて、心の底からパワーがみなぎってきました」と涙ながらに感謝を伝えたのはアロハ。「8号車さんにはいつも助けられています。僕なりに、徐々に恩返しをしていけたらと思っています」と誓ったアロハの言葉を隣で聞いていたハルの目にも涙が浮かぶ。「僕は超特急の最年少で、（地元の）熊本との行き来もあって、勉強とか、することがたくさんあってホントに大変だったんですけど……」と、表舞台から見えない場所で積み重ねてきた努力を明かしたハルは「けど、今こうやってたくさんの8号車さんが応援してくださって、最高の景色を最高の仲間と見ることができて幸せです！」と言葉をつなぐ。そして「（新メンバーの）3人がいなかったらここまでがんばってこれなかった。オリジナルメンバーやスタッフさん、周りの方がいなかったらここまでこれなかったので、本当に感謝しています。初心を忘れずに、9人で東京ドームに立つためにもっともっと努力しますので、これからもよろしくお願いします！」と真っ直ぐに前を向いた。

4人が吐露したそれぞれの思いを噛み締めるように受け止めていたオリジナルメンバーの5人。ユーキは彼らの思いに共鳴し、一緒に涙を流しながら「シューもハルもマサもアロハも、超がんばってくれたからここまで来れたし、マジでそれがうれしかったし。こいつらとならマジで夢叶えられるって、そう思ってます」と自らの思いを語り「いつの超特急もかけがえのない時間だったし、ずっと大切にしていく宝物ではあるんですけど、僕らがちょっと下を向きかけたときに希望の光が差して、逆に僕らが4人に背中を押されました。今、すごく楽しいです。楽しいし、ワクワクしてます。2023年、とんでもない年にしましょう！」と、胸の中にある確かな自信と野望を8号車に伝えた。

「僕たちは僕たちらしく。来年はもっと素敵な冒険ができると思っています。その冒険に付いて来てくれますか？」とタカシが呼びかけた「gr8est journey」を経て、この日の最後に届けられたのは「走れ!!!!超特急」。5両編成から9両編成に変化した“電車ごっこ”の隊列で花道を進む超特急メンバーの表情には笑顔がこぼれ、8号車は彼らが楽しげに“連結”する姿を鮮やかな光で彩った。リーダー・リョウガの「超特急は、この9人と君と、旅をしていきます。一緒に走っていきましょう！」という晴れやかな宣言とともにライブは終幕。先頭車両のカイから順に姿を消してゆく中、最後に1人で満員の客席と向き合ったハルは、無邪気な投げキッスを残してステージをあとにした。

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