2021年にデビュー10周年を迎えた藍井にとって、今回のライブは自身初の横浜アリーナでの単独公演。デビュー曲から最新曲まで、10年のキャリアを網羅したセットリストで集まったファンを楽しませた。
横浜アリーナでのコンサートは会場を縦型にしたレイアウトで行われることが多いが、今回のライブは横型のレイアウト。どの客席からもステージまでの距離が近い、臨場感あふれる環境で藍井の思いをファンに届けるライブとなった。開演時間を迎え、黒いドレス姿の藍井が最初に歌った曲はデビュー曲「MEMORIA」。まっすぐな歌声を高らかに響かせ、オーディエンスを一気に惹きつけたあとは「AURORA」を熱唱する。衣装の裾を翻し、全身を使って客席を鼓舞した藍井は「今日はいつもと違った感じで、皆さんを『KALEIDOSCOPE』の世界に閉じ込めて、迷い込ませようと思います」と観客の期待を煽った。
幾重にも重なる照明と藍井の切ないボーカルが深遠な世界を作り上げた「KASUMI」、疾走感たっぷりの「サンビカ」「コバルト・スカイ」など、その後もさまざまなタイプの楽曲が披露されていく。「星が降るユメ」では藍井が衣装を水色のミニスカートに改めて登場し、哀切な歌声を届けた。ライブ中盤では10月にリリースした最新シングル曲で、「劇場版 ソードアート・オンライン-プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ」の主題歌でもある「心臓」を披露。躍動感にあふれたミュージックビデオの映像をバックにしたパフォーマンスで、楽曲の壮大な世界を観客に提示する。その後も「ANSWER」「流星」と「ソードアート・オンライン」の関連曲が連続で披露されていった。
後半で純白の衣装にチェンジした藍井は「虹の音」を披露する。愛する人への思いを描いた歌詞を、藍井は客席のファンに語りかけるように手を伸ばしながら歌い上げた。そんな彼女のメッセージに、オーディエンスはペンライトの色を虹色にして応えた。さらに藍井は2018年の活動再開時に発表した楽曲「約束」を穏やかな歌声で披露するが、途中から感極まった表情で目をうるませる。曲が終わったあと、藍井は予定されていたバンドメンバー紹介をうっかり忘れてしまい「入り込みすぎた……!」と苦笑いしていた。
最後は「PHOENIX PRAYER」「翼」「IGNITE」「INNOCENCE」と、代表曲を惜しげもなく連投。本編ラストナンバーの「シリウス」で藍井はステージ左右の花道を駆け回り、オーディエンスとのコミュニケーションを楽しんでいた。
アンコールで藍井はメンバー紹介を忘れてしまったハプニングを振り返り、とある先輩アーティストから「横浜アリーナはすごい緊張するよ、魔物が住んでいるよ」というアドバイスを受けたと話して「魔物に会っちゃったね!(笑) 本当にすみませんでした……」と反省。気を取り直すように「皆さんのおかげで私の夢が叶います!」と前振りをしてから「HELLO HELLO HELLO」を披露した。この曲ではアリーナ席を取り囲むように設置された花道に多数の女性ダンサーが登場。さらに藍井自身もトロッコに乗り込んで花道を移動し、会場の隅々まで手を振った。
トロッコに乗って歌唱するという念願を叶えた藍井は、パフォーマンスを彩ったダンサーチームが日本工学院ダンスパフォーマンス科の学生たちであることを紹介。そのまま日本工学院のCMソングとして使用されている新曲「YeLL」をはつらつとした表情で歌った。最後の曲に入る前、藍井は「10年前はこんなふうになれるなんて思っていませんでした。皆さんのおかげでここに来ることができました。心から感謝しています。素敵な景色をありがとうございました」とファンへの思いを語り、「ラピスラズリ」を丁寧に歌った。
すべての曲を終えた藍井は涙をあふれさせてステージにしゃがみ込んでしまう。一息ついた彼女は立ち上がり、恒例の「エイエイルー!」コールをデビュー10周年にちなんで10回叫んだ。バンドメンバーを送り出したあと、藍井は「今日は特別な日でした。10年経って変わったものも変わらないものもたくさんあるけれど、私は10年で得たものばっかりだ! 幸せすぎる!」と破顔。「これからも一緒にいろんな世界を、いろんな景色を見ましょう」と観客に呼びかけ、ステージを降りていった。
終演後のスクリーンでは2023年1月11日に藍井のニューアルバム「KALEIDOSCOPE」がリリースされることをアナウンス。藍井の新たな一歩を告げる発表に、客席からは大きな拍手が起こっていた。
藍井エイル「Eir Aoi 10th Anniversary LIVE 2022 ~KALEIDOSCOPE~ History of 2011-2022」2022年11月13日 横浜アリーナ セットリスト
01. MEMORIA
02. AURORA
03. シンシアの光
04. KASUMI
05. サンビカ
06. コバルト・スカイ
07. グローアップ
08. 星が降るユメ
09. GENESIS
10. 鼓動
11. 心臓
12. ANSWER
13. 流星
14. シューゲイザー
15. 虹の音
16. 約束
17. PHOENIX PRAYER
18. 翼
19. IGNITE
20. INNOCENCE
21. シリウス
<アンコール>
22. HELLO HELLO HELLO
23. YeLL
24. HaNaZaKaRi
25. ラピスラズリ
※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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藍井エイル、初の横アリワンマンでデビュー10周年の喜び歌う「素敵な景色をありがとう」 https://t.co/eC0TQtDrT2