ゴスペラーズの進化はまだまだ止まらない、全国ツアーで響かせた抜群のハーモニー

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ゴスペラーズの全国ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」が、昨日8月6日に行われた沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場公演をもってフィナーレを迎えた。

ゴスペラーズ「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」東京国際フォーラム ホールAの様子。(撮影:笹原清明)

ゴスペラーズ「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」東京国際フォーラム ホールAの様子。(撮影:笹原清明)

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4月に幕を開けた今回のツアーでゴスペラーズは全国33都市を巡り、初期のナンバーから7月6日に発表したセルフカバー集「The Gospellers Works 2」の収録曲まで多岐にわたるナンバーを惜しみなく披露した。この記事ではPenthouseの浪岡真太郎(Vo, G)と大島真帆(Vo)がゲスト出演した7月23日の東京・東京国際フォーラム ホールA公演の模様を紹介する。

村上てつや(撮影:笹原清明)

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黒沢薫(撮影:笹原清明)

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開演時刻を迎えると場内の明かりがゆっくりと落ち、スピーカーから過去のライブで収録された5人のMCが流れ出す。「まだまだ歩き続けるぞ」。そんなメンバーの宣言が耳に飛び込んできた瞬間、観客の目の前にはパステルカラーのジャケットを身にまとった5人の姿が。「まだまだいくよ」というタイトルを冠したツアーにふさわしい「NEVER STOP」が届けられ、ライブの幕開けを告げる。村上てつやの「ゴスペラーズ、NEVER STOP!」という言葉に続き、ゴスペラーズバンドの演奏が加わり「最高の 夜にしよう」と歌う「靴は履いたまま」へ。メンバーは軽やかなステップを踏み、自己紹介を交えながら1998年リリースの1曲をフレッシュなハーモニーで紡ぐ。かと思えば、一転して「熱帯夜」では大人の色気を放ち、ねっとりと絡みつくようなボーカルワークで観客を骨抜きに。客席を埋め尽くすファンは、楽曲ごとに異なるストーリーを描く“ゴスペラーズワールド”にたちまち魅せられていった。

北山陽一(撮影:笹原清明)

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安岡優(撮影:笹原清明)

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ゴスペラーズ屈指のアカペラバラード「ひとり」、清涼感のあるハーモニーとさわやかなライティングがリンクした「ミモザ」や「約束の季節」と懐かしいナンバーが届けられたのち、村上と黒沢薫が高校時代に思いを馳せる寸劇を始める。「認めてくれてるかな、あの頃の俺たちは……」。そう村上が口にしたことをきっかけに、アカペラの醍醐味を歌詞とアレンジに詰め込んだ「マジックナンバー」がスタート。安岡優の抜けるようなハイトーンボイスを軸に、メンバーはそれぞれの個性を炸裂させながら歌声を重ねた。中盤のブロックでひと際盛り上がりを見せたのは、Penthouseの浪岡と大島の2人を招いての「Keep It Goin' On feat. Penthouse」だ。三浦大知のソロデビュー曲として知られ、黒沢が作曲に携わったこの曲は「The Gospellers Works 2」にPenthouse編曲によるセルフカバーが収録されている。7人のボーカリストたちは横一列に並ぶと、ゴスペラーズバンドによる躍動感たっぷりのアンサンブルに乗せて、エネルギッシュなパフォーマンスを展開。ゴスペラーズとPenthouseという世代の異なる実力派2組によるコラボレーションにオーディエンスは大いに熱狂した。ゲストを送り出したのち、5人はチャーミングな振付で踊りながら、甘酸っぱい感情を呼び起こす「DONUTS」を歌唱。甘いラブソングの余韻を残しつつ、一旦ステージをあとにした。

酒井雄二(撮影:笹原清明)

酒井雄二(撮影:笹原清明)[拡大]

15分の換気タイムを挟み、メンバーはシックなダブルのスーツを着用して再び観客の前に登場。「ラヴ・ノーツ」を筆頭に、「永遠(とわ)に」「風をつかまえて」といった珠玉のラブソングを包容力のあるボーカルで歌い上げていく。さらに夏の始まりが歌詞につづられたミディアムナンバー「Right on, Babe」、酒井雄二の韻を踏んだ歯切れのいいボーカルが炸裂するアップテンポな「いろは 2010」など異なるタイプの楽曲を立て続けにパフォーマンスして観客を惹き付けた。また長年ボーカルグループとして名を馳せている一方で、近年は息の合った振付やフォーメーションダンスでも注目を浴びているゴスペラーズ。この日の公演でも、マイクスタンドを使った甘美なダンスを「PRINCESS☆HUG」で披露したり、北山陽一が「愛のシューティング・スター」「1, 2, 3 for 5」でキレのあるターンをして観客の視線を奪ったり、耳だけでなく目でも楽しめるステージを繰り広げ、進化し続けるボーカルグループとしての存在感をアピールしていた。

ゴスペラーズ「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」東京国際フォーラム ホールAの様子。(撮影:笹原清明)

ゴスペラーズ「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」東京国際フォーラム ホールAの様子。(撮影:笹原清明)[拡大]

「いつも素晴らしい応援をありがとうございます」という村上の言葉とともに、場内の照明が落ち静寂が訪れる。真っ暗なホールに響いたのは、メンバーの歌声だけで紡がれる「星屑の街」。無数の電飾が作り出す星空のような景色とともに、オーディエンスの心に温かな光を灯すようなハーモニーが空気を伝い、ホールを優しく包み込んだ。さらに「ヒカリ」では、温かな照明が楽曲に込められた希望にあふれた歌詞の世界を引き立たせていく。静かな感動が広がる中、本編のラストを飾ったのは「あたらしい世界」。太陽のような眩い光に包まれたステージで、5人はどこまでもまっすぐに伸びる声で力強いメッセージを伝えた。

ダブルのスーツ姿のままアンコールに応えたゴスペラーズの面々。マイクを手に視線を交わし合うと、デビュー25周年記念シングルとして発表した「VOXers」を勢いよく歌い出す。この曲は、5人が三者三様ならぬ“五者五様”の個性をぶつけ合いながらも、絶妙なハーモニーを聴かせる高いスキルが求められるナンバー。そんな1曲をメンバーは見事なボーカルワークを繰り広げながら熱唱し、オーディエンスを圧倒した。この日、5人が最後に観客にプレゼントしたのは、“僕たち”と“君”の心をつなぐ思いをつづったバラード「BRIDGE」。「さよならもありがとうも要らない また会う約束を」とファンとの再会を誓うように歌い上げ、“次”を予告する形でライブを大団円に導いた。

なお、WOWOWでは「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」のうち7月24日に行われた東京国際フォーラム ホールA公演の模様を10月1日(土)に放送および配信する。詳細は追ってアナウンスされるのでファンは続報を待とう。

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ゴスペラーズ「ゴスペラーズ坂ツアー2022 “まだまだいくよ”」2022年7月23日 東京国際フォーラム ホールA公演セットリスト

01. NEVER STOP
02. 靴は履いたまま
03. 熱帯夜
04. ひとり
05. ミモザ
06. 約束の季節
07. マジックナンバー
08. 風が聴こえる
09. 五時までに
10. Keep It Goin' On feat. Penthouse
11. DONUTS
12. ラヴ・ノーツ
13. 永遠(とわ)に
14. 風をつかまえて
15. Right on, Babe
16. いろは 2010
17. PRINCESS☆HUG
18. 愛のシューティング・スター
19. 1, 2, 3 for 5
20. 星屑の街
21. ヒカリ
22. あたらしい世界
<アンコール>
23. VOXers
24. BRIDGE

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黒沢薫 @K2spicy

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