2011年に行われた1期生オーディションに合格してグループの一員となり、活動初期から乃木坂46の中心メンバーとして活躍してきた生田。近年はグループ活動のみならず、ミュージカルにも活躍の場を広げるなど、豊かな才能を存分に発揮して乃木坂46を牽引してきた彼女は、12月31日をもってグループを卒業する。彼女を華々しく送り出すため催された卒業コンサートは生田本人の意向をもとにセットリストが組まれ、公演の模様は生配信も行われるなど盛大なものに。アイドルとしての10年の集大成を見せるステージで、生田は最後まで美しく凛とした姿を見せ、自身のアイドル人生を駆け抜けた。この記事では昨日15日に行われた2日目公演の模様をレポートする。
開演時刻の18時を迎えると、メインステージの大きなビジョンには、初々しい表情で抱負を語り、待ち受ける未来への期待に胸を膨らませる10年前の生田の映像が投影された。「OVERTURE」が卒業コンサートの始まりを告げ、ステージに映し出されたのは1人の女性の大きなシルエット。長く伸びた花道の先から姿を見せた生田は、ファンの大きな拍手に包まれながらメインステージの中央に置かれた白いグランドピアノへと歩みを進める。大きな瞳はすでに潤んでいたが、生田は優しい笑顔で涙をごまかし、柔らかなタッチで「あなたのために弾きたい」の弾き語りを1曲目に届けた。
曲を終え、深いお辞儀をした彼女が両手を広げると、アリーナ外周の花道にスタンバイしていたメンバーの姿が浮かび上がる。オールメンバーで披露された2曲目は、生田がシングル表題曲で初めてセンターを務めた「何度目の青空か?」。ビジョンに映し出される思い出の写真の数々をバックに生田は澄んだ歌声を響かせてメンバーを牽引する。続く「おいでシャンプー」では生田が「ついに始まっちゃいました。今日は皆様、見届けに来てくださってありがとうございます。一緒に楽しい1日にしましょう!」と会場のファン、そして配信を観ているファンへ語りかけ、メンバーは手を振りながら花道へと駆け出していった。
「会いたかったかもしれない」「ぐるぐるカーテン」と1stシングルからの2曲を続け、初期楽曲で固めたオープニングパートを駆け抜けたメンバー。このパートを終えて設けられた最初のMCでは、キャプテンの秋元真夏が「いくちゃん、オープニングどうだった?」と問いかけ、生田はこれに「10年前の自分に戻ったような気分だった!」と感想を明かした。また秋元に生田との関係性を問われた齋藤飛鳥は「いくちゃんと私って10年一緒にいるけど、まともな会話ってしたことないの。いつもちょけちゃって」とファンに伝えつつ「このままさよならするのかな?と思っていたら、卒業本の対談に呼んでもらえて。そこで初めて真剣な話ができたから、よかったなと思ってる」と生田への感謝の気持ちを語っていた。
そんなMCのあとに流されたのは、生田が“先輩としての自分”について自己分析をするインタビュー映像。映像の中で2期生、3期生、4期生の印象をそれぞれに語った彼女は「後輩だけど憧れがあるんです。期別のパフォーマンスを観ているときはメンバーじゃなくてファンなんですよ。私も混ざりたい!って思う」とコメントした。この言葉を受けて始まったのは、生田が期別のパフォーマンスに参加するという、この日ならではのスペシャルなコラボステージ。生田が「すごく謙虚」だと語った4期生との「I see…」、「甘えん坊なイメージ」があるという3期生との「三番目の風」、「不屈の精神を感じる」という2期生との「アナスターシャ」が次々と披露されていく。インタビューでは「私って接しやすい先輩じゃなかったと思うんです。壁を作りやすい人間だっていうのもあるし、緊張を与えてしまうタイプなのかなって」と語っていた生田だが、ファンの目に映るのは、そんな言葉とは裏腹に優しい笑顔で目を合わせながら歌の中で後輩1人ひとりとコミュニケーションを取る生田の姿だった。後輩たちとのセッションを終えた彼女は同期の1期生メンバーと合流し「白い雲にのって」「あらかじめ語られるロマンス」の2曲を歌唱。これまでよりもぐっと近い距離でスキンシップを取りながら、楽しそうに歌声を響かせる1期生メンバーの姿には、10年をともに歩んできた絆がにじんでいた。
続いて届けられたユニット曲のコーナーは、からあげ姉妹「無表情」でスタートした。オリジナルメンバー・松村沙友理に代わって生田とペアを組んだのは秋元。おなじみのセーラー服でクールかつキュートにパフォーマンスする2人の後ろには秋元から生田へのメッセージが映し出され、「私にはずっとわがままないくちゃんでいてね!」とそれを読み上げた生田は秋元を「大好き!」と抱きしめる。「偶然を言い訳にして」は生田、樋口日奈、和田まあや、齋藤の4人で披露され、生田は曲中に「まいやん(白石麻衣)、ななみん(橋本奈々未)、さゆりんご(松村)、かずみん(高山一実)観てるー!?」とオリジナルメンバーに呼びかけ。曲終わりには壇上の3人から生田へ、愛情たっぷりのメッセージが書き込まれた“感謝状”がサプライズで贈られ、生田は「ありがとう、大切にするね……!」と驚きの涙で3人を見つめていた。また“生生星”の愛称でファンに愛されてきた生田、生駒里奈、星野みなみのユニット曲「ここじゃないどこか」は生田と星野のデュエットで届けられ、星野が「いくちゃんとはポジションがシンメ(シンメトリー)だったりしたからすごく楽しかったし、ライブでいつも近くにいてくれるから安心するし、勝手に落ち着くなって思っていて。こんなに素敵ないくちゃんの近くで10年も一緒にできて感謝でいっぱいです。大好きだから卒業しても仲良くしてください」と涙を流しながら思いを伝えるシーンも。生田は「もちろんだよ!」と星野の思いを受け止め、2人はステージの中央でハグをして涙を分かち合っていた。
ライブも佳境に差し掛かり、最後のセクションとして用意されたのは「生田が最後に踊っておきたかった楽曲」というテーマで構成されたパート。インタビュー映像の中で生田は「私は『乃木坂46らしい』という印象を持っていただくことが多くて、それはとてもうれしいことなんですけど、ダンサブルな曲とかで『もう少し貪欲になれたんじゃないか』という思いが振り返るとあるんです。きっと今後“歌いながら踊る”ということをしないから、最後に挑戦したいなと思って」と心の内を明かした。クールな表情を見せる「命は美しい」、情熱的な歌声とダンスで躍動する「インフルエンサー」、表情や指先の細やかな動きでも楽曲を表現する「シンクロニシティ」とダンスボーカルの醍醐味を味わえるようなシングル表題曲を連投し、生田は仲間たちの中心で全力のパフォーマンスを見せる。「Sing Out!」ではセンターの齋藤が「皆さん、私たち息も絶え絶えですよ。こんなか弱き少女たちが息を切らしながらがんばってるわけです。クラップしない人います!?」と強烈な呼びかけをして客席とメンバーに笑顔をもたらす。
メンバーがアリーナ外周の花道を回って会場の熱を一層高めた「裸足でSummer」ののち、「ガールズルール」では「横浜アリーナー! まだまだいけんのかー!!」という生田のシャウトで盛り上がりが最高潮に。弾けるようなサウンドに乗ってこの曲を駆け抜けたのち、生田は本編最後の曲として、自身がセンターを務める最新曲「最後のTight Hug」をコールした。「この曲を披露していると、みんながどんなときも寄り添ってくれたことを思い出します。なので、今日もメンバーの心と皆さんの心を感じながら大切に歌えたらいいなと思っています」と誓った言葉の通り、メンバーの手を取り、優しくハグを交わしながら歌に思いを乗せる生田。それを見守るメンバーも彼女の背中をそっと押すような柔らかいダンスで楽曲を彩り、温かなムードが会場いっぱいに広がる中で本編の幕は閉じた。
生田が大粒の涙を流しながらメンバーに卒業を伝える様子を映したドキュメント、そして学業と仕事の両立、アイドルとしての活動と舞台俳優としての活動の両立を完璧にこなしながらここまでグループを牽引してきた生田の功績を称えるVTRが上映されると、生田は純白のロングドレスに身を包み、1人アンコールの舞台へ姿を見せた。ここで彼女は「楽しいことばかりじゃなく、つらいこともたくさんあったはずだけど、今、当たり前にあった日常がなくなることが寂しいです」と卒業に際しての思いを語り「ファンの皆さんは親みたいに心配してくれたり一緒に笑ってくれて。自分は頼りない先輩だと思うけど、気付いたら後輩たちが甘えてくれるようになって、そんな頼りがいのある後輩にはたくさん助けてもらいました。1期生は私が無駄絡みしているときは迷惑そうな顔で対応するけど(笑)、私が弱っているときはずっとそっとそばにいてくれました。こんな温かい人たちに囲まれて、10年間私は幸せに過ごすことができました。関わってくれた皆さんに感謝を伝えたいです。10年間、本当にありがとうございました」と丁寧に言葉を選びながら周囲への感謝の思いを伝えた。
「この曲にこの10年の感謝を込めながら。次の道に進むためにこの曲をしっかり歌って、お別れしたいと思います」。ピアノの前に座った彼女がそう言って演奏したのは、卒業に際し制作されたソロ曲「歳月の轍」。柔らかなタッチで鍵盤を叩き、まっすぐ澄み渡る歌声を響かせる生田の目には、涙が静かににじんだ。「続いては、私にとってもメンバーにとってもファンの皆さんにとっても大切な曲を歌いたいと思います。この曲を伴奏しているときは、微力ながらみんなの支えになっている気がしていました」という言葉とともに「君の名は希望」がスタートすると、メンバーはピアノを弾く生田を囲むように立ち、歌声を重ねる。「最後も大好きなみんなの姿を目に焼き付けながら演奏したいと思います」と語っていた生田は、目を真っ赤にしながらマイクを握るメンバーのことを優しい表情で見つめていた。
最後のMCでは秋元が「乃木坂のお仕事も外のお仕事もいつも忙しい中、いくちゃんが努力を重ねる姿は本当にカッコよかったし、私たちの憧れでした」「最後に1つ願いを聞いてください。メンバーという関係性はあと少しで終わっちゃうから、おばあちゃんになっても、ずっとずっと友達でいてください」と手紙につづった生田への思いを読み上げ、生田はこれに「よろしくお願いします。真夏もこれからは友達だから、キャプテンとして(思いを)抱えてつらいことがあったら、何でも言うんだよ!」と応じた。
「最後は感謝の気持ちをこの曲に思う存分込めたいと思います。そして、私らしく笑顔でこのライブを締めくくれたらと思っています!」。生田の大きな笑顔を合図に会場に響いたラストナンバーは、彼女のセンター曲で、ライブではおなじみのキラーチューン「ダンケシェーン」。生田は同期メンバーと一緒にアリーナの花道を1周し、何度も何度もファンに手を振った。生田に抱きついた秋元の「やっぱいくちゃんだな!」という声で楽曲が締めくくられ、メインステージに戻った生田が「乃木坂に入ってよかったって、心から思っています。皆さん、出会ってくれてありがとうございます。そして、これからも乃木坂46をよろしくお願いいたします!」と最後の挨拶をすると、ここで会場のファンから彼女に向けたサプライズが。客席の全員が「ダンケシェーン」と書かれたメッセージボードを掲げている光景を目の当たりにした生田は、驚きと感激の入り混じった表情を浮かべ「こちらこそ……みんな声を出せない中、思いを届けてくれてありがとう。みんなにダンケシェーン!」と叫んでいた。
乃木坂46 生田絵梨花 卒業コンサート 2021年12月15日 横浜アリーナ セットリスト
01. あなたのために弾きたい
02. 何度目の青空か?
03. 制服のマネキン
04. おいでシャンプー
05. 会いたかったかもしれない
06. ぐるぐるカーテン
07. I see…
08. 三番目の風
09. アナスターシャ
10. 白い雲にのって
11. あらかじめ語られるロマンス
12. 無表情
13. 偶然を言い訳にして
14. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
15. 13日の金曜日
16. ここじゃないどこか
17. やさしさとは
18. 羽根の記憶
19. 命は美しい
20. インフルエンサー
21. シンクロニシティ
22. Sing Out!
23. 裸足でSummer
24. ガールズルール
25. 最後のTight Hug
<アンコール>
26. 歳月の轍
27. 君の名は希望
28. ダンケシェーン
hiro @hiro
そこまでドイツ生まれ推しなのかと思ったら、そういう曲があるのね。
https://t.co/nXI6HZ9R7R