2組のツーマンライブは、2019年9月にゲスの極み乙女。のメジャーデビュー5周年を記念して行われた公演以来約2年3カ月ぶりとなった。定刻を少し過ぎた頃、ステージのスクリーンにindigo la Endの密着映像が流れ出す。映像ではメンバーそれぞれがバンド加入のきっかけやコロナ禍以降の活動などについて語っていた。約12分のVTRを経て、indigo la Endがステージに登場すると、観客は一斉に立ち上がる。そして川谷絵音(Vo, G)の短い挨拶ののち、「ワンダーテンダー」でライブが始まった。4人が奏でる洗練された音を、オーディエンスは手を挙げて楽しむ。続いてバンドは後鳥亮介(B)のテクニックが光る「渇き」、コーラスワークが美しい「忘れて花束」を連投。「冬夜のマジック」では長田カーティス(G)が伸びやかなギターソロを響かせ、「チューリップ」ではライブならではの前奏を佐藤栄太郎(Dr)が余白のあるリズムでリードした。
4人のハイスキルな演奏力が特に発揮されたのが、メロディと拍子がトリッキーな「大停電の夜に」。終始点滅する強烈なストロボ照明も相まって、幻夢的なムードが作り上げられた。ライブ定番曲「夏夜のマジック」を演奏後、「何年もセットリストから外れてないけど、『夏夜のマジック』やらなかったら怒る人いるのかな?」と口にする川谷。対して佐藤は「もうやりません! って言っておいて、『フフフフー』ってやるのが一番いいんじゃない?」と答え観客の笑いを誘った。その後バンドはライブ当日に配信リリースした「邦画」を披露。しっとりとしたミドルテンポのこの曲で、ホールはムーディな空気に包まれた。
「発表があります」という川谷の言葉を合図に、スクリーンにてVTRが始まる。そして2022年11月に初の東京・日本武道館公演「藍」を開催するというアナウンスが映し出され、客席から万雷の拍手が送られた。VTR後に川谷は「本当は10周年でやりたかったんですがタイミングが合わず、12周年ってなんとも言えないですけど。僕らなりの武道館で、気負わずいつも通りのライブになると思います。まだ1年弱ありますが、楽しみにしてもらえたら」とコメント。VTRにはメンバーが武道館公演についての感想を述べるシーンがあり、それについて彼らは「キャパの大きいホールだなって感想、何?」「あのサングラスはイキってる」とお互いをイジり合う。そんな中、「俺のところにはインタビューが来なかった。俺、誕生日なのに」と川谷がライブ当日に33歳の誕生日を迎えたことをさらっと口にすると、再び大きな拍手が巻き起こった。最後にindigo la Endは右肩上がりに盛り上がるナンバー「楽園」を熱演してステージを終えた。
ゲスの極み乙女。の出番も密着映像からスタート。近年、ゲスの極み乙女。以外の音楽活動や俳優業、レシピ本刊行など多彩な活躍を見せ、バラバラに見えるメンバーたち。しかしこのツーマンに向けてスタジオに入るシーンには、息ぴったりの様子が捉えられていた。映像後メンバーが登場し位置につくと、ほな・いこか(Dr)の力強いドラミングでライブがスタート。4人はオープニングナンバー「crying march」をパワフルに届け、オーディエンスのテンションを引き上げた。ちゃんMARI(Key)は飛び跳ねながらクラップを煽り、ホールに一体感をもたらす。休日課長(B)はほな・いこかとたびたびアイコンタクトを取り、骨太な低音で演奏を支えた。「はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした」から川谷絵音(Vo, G)はギターを置いてボーカルに徹し、「マルカ」「ドグマン」「ユレルカレル」といったナンバーを続けて披露した。
曲の合間、「もうね、僕自身がホールAになった気分」と独特な表現で心境を語り、体で「A」の文字を再現する休日課長。“ホールA”への改名の可能性を川谷に尋ねられると「30%くらいかな」と答え、「けっこう高いな!」と驚かれる。話の収拾がつかなくなったところで、川谷が「ちょっと叫ぼうか」と切り出し始まったのは、曲名をシャウトするパートが特徴の「某東京」。川谷はステージを練り歩きながら自嘲的な歌詞を吐き出すように歌う。その後の「パラレルスペック」「キラーボール」という人気曲の連続に、オーディエンスはこの日一番の盛り上がりを見せた。曲の途中、ちゃんMARIはindigo la Endとゲスの極み乙女。のメンバーそれぞれをイメージした旋律を即興で奏でるミニコーナーで観客を楽しませた。そして「アソビ」「アオミ」を終えるとメンバーは1人、2人とステージを去り、最後まで演奏していたちゃんMARIは深くお辞儀をして袖に走って行った。
手拍子によるアンコールに応えて登場したゲスの極み乙女。は、これまでに苦労したミュージックビデオの撮影や、グッズ紹介などについてトークを展開。朗らかな雰囲気そのままに、川谷とほな・いこかのツインボーカルが印象的な12月24日に配信される新曲「ドーパミン」と、ファンクラブ投票で1位に選ばれた「ルミリー」を続けて披露した。そしてラストナンバー「song3」にはindigo la Endのメンバーが全員ギターで参加。長尺のギターソロでエキサイトした佐藤は、曲が終わると「こんなに楽しいことがあったんだって。みんなやったほうがいいですね!」と喜んだ。すべてのパフォーマンスを終えたタイミングで、ちゃんMARIがだしぬけに「Happy Birthday to You」を演奏し、後鳥がダンディな声で歌い始める。そこへバースデーケーキが運び込まれ、川谷の誕生日をファンとバンドメンバー全員で祝福。ツーマンライブは温かいムードで幕を閉じられた。
終演後、ゲスの極み乙女。が結成10周年を記念して5月にベストアルバムをリリースすること、6月18日に千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールでライブ「解体」を開催することがステージ上のスクリーンに映し出され、ライブの興奮が冷めやらぬファンをさらに喜ばせた。バンドのファンクラブサイトでは「解体」のチケットの先行予約を受付中。ベストアルバムの詳細は後日アナウンスされる。またindigo la Endのファンクラブサイト「藍モバイル」では日本武道館公演「藍」のチケット先行予約を受け付けている。
「馳せ合いvol.2」2021年12月3日 東京国際フォーラム ホールA セットリスト
indigo la End
01. ワンダーテンダー
02. 渇き
03. 忘れて花束
04. 冬夜のマジック
05. チューリップ
06. 大停電の夜に
07. 夏夜のマジック
08. 邦画
09. 楽園
ゲスの極み乙女。
01. crying march
02. はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした
03. マルカ
04. ドグマン
05. ユレルカレル
06. 某東京
07. パラレルスペック
08. キラーボール
09. アソビ
10. アオミ
<アンコール>
11. ドーパミン(新曲)
12. ルミリー
13. song3
ゲスの極み乙女。結成10周年記念公演「解体」
2022年6月18日(土)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
indigo la End 日本武道館公演「藍」
2022年11月1日(火)東京都 日本武道館
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ゲスの極み乙女。とindigo la Endが川谷絵音の誕生日に再会、セッションも繰り広げた「馳せ合いvol.2」 https://t.co/E3bZ7VtM3e