神宿、夢を詰め込んだ7周年アリーナライブ「私たちがみんなの居場所に」

神宿の結成7周年記念ライブ「神宿 7th Anniversary Live：WE ARE KAMIYADO」が、9月26日に神奈川・ぴあアリーナMMで行われた。

2014年9月28日に東京・六本木Bee-Hiveでワンマンライブを行い、一ノ瀬みか、羽島みき、羽島めい、小山ひな、関口なほの5人で活動をスタートさせた神宿。2019年1月に関口がグループを“勇退”し、同年4月にオーディションを経て加入した塩見きらは関口の担当カラーである緑を継承した。新体制となった神宿は楽曲制作にも関わるようになり、8月25日にはメンバー全員が作詞作曲に携わった最新アルバム「THE LIFE OF GIRLS」を発表。神宿初のアリーナ公演となった「神宿 7th Anniversary Live：WE ARE KAMIYADO」では最新アルバムの楽曲を軸に、7年間の歴史を感じさせる新旧のナンバーが披露された。

ライブは一ノ瀬、羽島めい、塩見が作詞作曲した「Trouble」で幕を開け、5人は広いステージ上でバンドの生演奏をバックに息の合ったダンスを見せた。続けて「Caramel Sweet」をメインステージで歌い、3曲目の「CONVERSATION FANCY」ではメンバーがアリーナ中央に伸びる花道へと飛び出す。「FANTASTIC GIRL」ではバックダンサーを従えた華やかなパフォーマンスが展開された。

「ついに……ついについに！ この日がやってきました！」と喜びを爆発させる羽島めいの声に、マスク姿の舁夫（神宿ファンの呼称）たちは歓声ではなく拍手で同調。MCに呼応するバンドの演奏にメンバーは大興奮で、めいは「ワンマンでバンドさんと一緒にライブするのは初めてなんですよ。今日は新たな挑戦ということで、私たちと、いつもと違うバンドの生演奏で最後まで楽しんでください！」と舁夫に呼びかけた。それぞれ自己紹介を終えると、5人はバンドサウンドによる力強いアレンジで「はじまりの合図」「春風Ambitious」「全身全霊ラプソディ」と3曲を連続でパフォーマンス。再び花道を通りセンターステージへと移動すると、事前に舁夫たちにお願いをしていたスマートフォンのボイスメモ機能を使ったコールをここで試してみることに。「みかちーん！」「めいりーん！」「みーにゃーん！」「ひなぷぅー！」「しおみぃー！」とメンバーのニックネームを叫ぶボイスメモがアリーナとスタンド席で鳴り響き、メンバーはイヤーモニタを外してひさびさに聞く舁夫たちの声を楽しんだ。

その後「グリズリーに襲われたら♡」「Brush!! -Paradise Remix-」の2曲を終えたところでステージは暗転。巨大なスクリーンにメンバーが神宿7年間の歩みを語るインタビュー映像が流された。再びステージに明かりが灯ると、そこにはギターを抱えた塩見の姿が。複数のミラーボールを積んだオブジェを背に、塩見はソロ曲「Twenty」を歌う。続いて客席に現れた羽島みきがダンサー2人を従えて「トキメキ☆チュウ」、巨大なマスクのオブジェを燃やして登場した羽島めいは「Intro:Attitude」とそれぞれソロ曲を披露。さらに一ノ瀬、塩見、小山によるバラード「Erasor」とソロやユニットの楽曲が続いた。5人による「LOVE GAME」「MAD GIRL」のクールなパフォーマンスとインタビュー映像を挟み、小山はファンシーなベッドから飛び出してソロ曲「を愛に」を、一ノ瀬は赤いドレス姿でストリングスカルテットの演奏に乗せてソロ曲「Outro:Lion」を熱唱。羽島姉妹は幼少時の写真をスクリーンに映しながらユニット曲「SISTERS」をデュエットした。

各メンバーの個性際立つ中盤のセクションを経て、ライブはいよいよ後半戦へ。メインステージに集まった5人はダンサーたちを紹介すると、小山と羽島めいが下手、一ノ瀬と塩見が上手からトロッコに乗り込み、羽島みきはダンサーを引き連れて花道へと飛び出し「ほめろ！」を元気いっぱいに歌う。トロッコは広いアリーナを1周し、5人はそれぞれ手にしたハンドキャノンでサインボールを発射。さらに「明日、また君に会える」を歌いながらカゴに入れたサインボールを投げ、客席の舁夫たちを喜ばせた。センターステージに集合した5人は、自分たちがやりたいことを詰め込んだアリーナ公演を実現するために必要だった舁夫の応援とスタッフの尽力に深い感謝の言葉を述べる。そして鳥居のような形をしたベンチに仲よく腰掛けると、夕焼けを思わせるオレンジ色のライトを浴びながら最後のナンバー「Orange Blossom」を優しく歌い、場内を温かいムードで包み込んだ。

アンコールを求める盛大な拍手がアリーナに鳴り響く中、スクリーンにはTシャツに着替えて舞台裏でスタンバイするメンバーの姿が。映像は5人の動きをリアルタイムで追い、ステージへ向かう神宿と同じ視点のカメラはやがて舞台袖から見た客席の様子を映し出す。ステージ上へと到達した5人は、そのままバンド演奏に乗せて初期のナンバー「お控えなすって神宿でござる」をパフォーマンスした。続いて歌われたのは、事前募集のリクエスト投票で選ばれた「全開！神宿ワールド」。最近のライブではあまり歌われることのない楽曲のセレクトに、メンバーも思わずハイテンションに。5人はさらに初期の楽曲を多数盛り込んだメドレーも披露した。ハイテンションなムードから一転、メンバーがゆっくりハンドクラップを求めると、そのリズムに合わせて優しいピアノの音色が奏でられる。ステージにはいつの間にか塩見の姿がなく、オリジナルメンバー4人は「ミライノウタ」を歌いながらゆっくりと花道を進んだ。「ミライノウタ」はグループ結成から関口勇退までの神宿の歴史と未来に向けての希望を歌った楽曲。4人が涙ながらに歩みを進める中、花道の先にあるセンターステージに塩見が現れ、「本当の戦いが ここから始まるよ」と5人で声を合わせてリフレインを熱唱した。

5人は改めてダンサーとバンドメンバー、ストリングスカルテットを1人ひとり紹介。そしてメンバー1人ずつ舁夫たちに感謝の言葉を伝えていく。最後にマイクを持った羽島めいは子供の頃から大好きだった「ONE PIECE」の名セリフを例に挙げ、「私たちは1人でも多くのみんなに笑顔や希望を届けたいと思って活動しています。今日はアリーナでみんなの前に立っていますが、もっともっとたくさんの人にそれを届けるのが私たちの夢です。そして今日ここにいるあなたたち1人ひとりにも、ルフィのように、やりたいこと、叶えたいことがあるはずです。私はアイドルを7年やってきて、夢をあきらめる人が多いなと思ったの。コロナ禍のせいでがんばれないと思っている人も世の中にはたくさんいると思います。でも、コロナ禍でも私たちにはやれることがある。そう信じて、絶対にみんなの前で歌うことをやめないです。みんなが自由に生きれるように、新しい一歩を踏み出す勇気の後押しになれたらいいなと思ってステージに立っています。だから心配しないでください。これからも必ず私たちがみんなの居場所になります。くじけそう、泣きそう、つらい……そんなときは私たちのことを思い出して、こうやって会いにきてくれたら、私たちが絶対にこれからもみんなのことを守り続けます」と力強いメッセージを送った。最後に5人は、彼女たちが初めてステージに立った際に歌った神宿の原点と言えるナンバー「KMYD」を熱唱。約3時間に及んだステージを華やかに締めくくった。

神宿が結成7周年を迎えた9月28日、神宿のYouTube公式チャンネルにはこの公演のアンコール終了後に上映されたエンドロール映像がアップされた。