桑田佳祐ブルーノートに立つ、青山から届けた“静かな春の戯れ”で「素敵な春を迎えられますように」

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桑田佳祐が昨日3月7日に無観客の配信ライブ「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」 を開催した。

桑田佳祐(撮影:岡田貴之)

桑田佳祐(撮影:岡田貴之)

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会場である東京・ブルーノート東京のステージに桑田が立つのは、今回のライブが初めて。2020年6月25日のサザンオールスターズのデビュー記念日、そして大晦日に神奈川・横浜アリーナでサザンオールスターズとして2度の無観客配信ライブが行われたが、今回は老舗ジャズクラブを舞台に、規模も雰囲気も全く異なるライブを披露することに。開催発表時には「今回は、『ライブハウス』というライブの原点の場所に立ち返り、一緒にいてくれる仲間たちと共に、シンプルかつ『少々大人な感じ』のライブをやらせていただきます」「このライブが、そんな“静かな春”の戯れとして、皆様のささやかな楽しみの一つになりましたら嬉しい限りです」とコメントを発表していた桑田は、桑田佳祐ソロおよびKUWATA BANDの楽曲を中心に全24曲を披露した。

桑田佳祐「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」の様子。(撮影:岡田貴之)

桑田佳祐「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」の様子。(撮影:岡田貴之)[拡大]

配信がスタートし、画面に映し出されたのはブルーノート東京のエントランス。ロビーからライブフロアへとカメラが歩みを進めると扉が開き、そこにはシャツにベストというシックな出で立ちで舞台中央のチェアに腰掛ける桑田の姿があった。アコースティックギターを抱えた桑田は、1曲目にティン・パン・アレー「ソバカスのある少女」のカバーを披露し、視聴者を迎え入れた。

いつもの華やかな照明装置とは異なり、ギターを優しく奏でながら歌声を響かせる桑田の姿を照らすのはステージと客席に置かれた無数のキャンドル照明。柔らかな光の中、桑田は2曲目に「孤独の太陽」を続けた。3曲目の「若い広場」がスタートすると、桑田を囲むバンドメンバーの姿もライトアップされ、場内は一気に晴れやかな雰囲気に。ライブを見守るスタッフたちのクラップが和やかなムードを増幅させる中、桑田とバンドメンバーは笑顔で演奏を楽しんだ。

最初のMCで桑田は「ブルーノートへようこそ。いかがお過ごしでしょうか?」と挨拶。そして「このステージに上がるのは私にとって憧れでして。今日は大好きな素晴らしいメンバーと集まってライブをやらせていただきたいと思います。大人っぽい感じでね」と予告する。桑田の「素敵な春を迎えられますように、切に祈りながら次の曲を歌いたいと思います」という言葉と共にプレイされた「DEAR MY FRIEND」では、客席に置かれた桜の花が配信画面を美しく彩り、山本拓夫(Sax, Flute)による艶のあるテナーサックスの音色に桑田のブルージーなボーカルが冴え渡った「こんな僕で良かったら」ではミラーボールの光の粒がステージをまぶしく照らし出した。

桑田佳祐(撮影:岡田貴之)

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アコギをエレキギターに持ち替えた桑田とバンドが刺激的なセッションを展開した「愛のささくれ~Nobody loves me」が披露されてからは、曲を重ねるごとにステージの空気感が濃密になってゆく。「SO WHAT?」でアンダーグラウンドなムードが充満したのち、河村“カースケ”智康(Dr)のタイトなドラミングと片山敦夫(Piano)のスリリングなピアノに桑田の緩急自在な歌声が乗る「東京ジプシー・ローズ」ではコメント欄にも「シブい!」「これはヤバい」といった言葉が踊った。桑田はアグレッシブなパフォーマンスを見せながらも「東京ジプシー・ローズ」を「東京ブルー・ノート」と歌い替える遊び心を見せ、視聴者を存分に楽しませた。

桑田の憂いを帯びた歌声が豊かに響き渡った「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」では、ステージの奥に大きな満月が浮かび上がった。この曲を終えると桑田は改めて“ジャズクラブの殿堂”であるブルーノートのステージに立てたことへの喜びを口にする。そして、ここでメンバー紹介を行い、スキルフルなソロ回しを展開する仲間たちの演奏に笑顔をで耳を傾けた。

中盤にはカバーコーナーと題し、浅川マキ「かもめ」と加藤登紀子&長谷川きよし「灰色の瞳」の2曲が披露される場面も。「灰色の瞳」は桑田とTIGER(Cho)とのデュエットで届けられ、2人は美しいハーモニーと息の合ったボーカルワークでこの曲を歌い上げていた。

不穏な響きを湛えた象徴的なギターリフを合図に「東京」のパフォーマンスがスタートするとライブも佳境。悲哀に満ちたボーカルを聴かせる桑田は曲中にエッジーで雄弁なギターソロも披露し、ディープな世界観を鮮やかに描ききって聴衆を魅了した。そして次に披露されたのは、東京オリンピックに向けた民放共同企画「一緒にやろう」の応援ソングとして作られた「SMILE~晴れ渡る空のように~」。ライブ初披露となったこの曲について、桑田は「皆様に『コロナ禍でも元気になれる』と言っていただけてありがたい限りです。アスリートの皆様にエールが届くように、初めて皆様の前で歌わせていただきます」と語り、まっすぐに前を見据えて希望に満ちた歌声を響かせる。バンドメンバーのみならず、ライブを支えるスタッフたちも手拍子やハンズアップで演奏に“参加”していた。

情熱がほとばしるような熱狂のバンドセッションが展開された「大河の一滴」ののち、流麗なピアノソロからなだれ込んだ「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」ではファンキーでパワフルな桑田のボーカルが炸裂。バンドメンバー、さらにはスタッフチームとのコール&レスポンスで、ブルーノートの盛り上がりは最高潮に引き上げられる。高揚感に満ちたムードの中、桑田は「真夜中のダンディー」を歌い上げてライブ本編を締めくくった。

桑田佳祐「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」の様子。(撮影:岡田貴之)

桑田佳祐「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」の様子。(撮影:岡田貴之)[拡大]

アンコールの1曲目にはドクター・ジョン「Iko Iko」のカバーと「ヨシ子」さんをシームレスにつなげたスペシャルなアレンジで、視聴者の意表を突いた桑田。ニューオリンズの風を青山に吹かせ、桑田らしい遊び心でジャズやブルーノートへの愛と敬意を表明してみせた。「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」をさわやかに歌い終えると、彼は「最近ちっとも酒を飲んでいないけど、今日はちょっと飲んじゃおうかな!」と茶目っ気たっぷりにひと言。そして「もう3月ではありますが、皆さんとスタッフの健康を祈って、最後の曲を」と言って、この日のラストナンバー「明日晴れるかな」を届ける。たおやかな歌声と共に“静かな春の戯れ”は幕を閉じ、桑田は最後に「素晴らしい春をお迎えください。またブルーノート東京で皆さんを待ってます!」と手を振りながら視聴者へと語りかけていた。

本公演は各配信プラットフォームにて、3月14日(日)まで見逃し配信を実施している。

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桑田佳祐「静かな春の戯れ ~Live in Blue Note Tokyo~」 2021年3月7日 セットリスト

01. ソバカスのある少女(オリジナル:ティン・パン・アレー)
02. 孤独の太陽
03. 若い広場
04. DEAR MY FRIEND
05. こんな僕で良かったら
06. 愛のささくれ~Nobody loves me
07. 簪 / かんざし
08. SO WHAT?
09. 東京ジプシー・ローズ
10. グッバイ・ワルツ
11. 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)
12. かもめ(オリジナル:浅川マキ)
13. 灰色の瞳(オリジナル:加藤登紀子&長谷川きよし)
14. 東京
15. SMILE~晴れ渡る空のように~
16. 明日へのマーチ
17. 大河の一滴
18. スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)
19. 真夜中のダンディー
<アンコール>
20. Iko Iko(オリジナル:ドクター・ジョン)~ヨシ子さん
21. 君をのせて(オリジナル:沢田研二)~悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)
22. 明日晴れるかな

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