「謎の日」LOFTで神聖かまってちゃんOASISを2曲カバー

12月4日、東京・新宿LOFTにて神聖かまってちゃん主催のライブイベント「謎の日」が開催。計6組のバンドが出演し、個性豊かなパフォーマンスでイベントを盛り上げた。

出演バンドの事前発表がないだけでなく、主催者である神聖かまってちゃんの出演も「謎」というユニークな形で行われたこのイベント。それにもかかわらず前売りチケットは完売し、開演前からフロアはたくさんのオーディエンスで埋め尽くされた。

開演時刻を迎え、トップバッターとしてバーステージに現れたのは、じゅん（Vo, G）とえりー（Vo, Dr）による男女ユニット・神さま。じゅんは小さなステージで跳ねまくり、えりーはその脇でちゃかぽことドラムを叩く。オーディエンスはおそるおそるといった雰囲気で、2人の繰り出すアバンギャルドなパフォーマンスを遠巻きに眺めた。

神さまの演奏が終わると同時に、メインステージでは住所不定無職のライブがスタート。この日のライブは「マジカル・ナイト・ロックンロール・ショー」から幕を開け、「1.2.3！」「世界で一番ステキなGIRL」「恋のテレフォンナンバー！リンリンリンッ！」といったキラーチューンを連発。ユリナ（ギターとか）は曲間に「キラーチューンをエクスプロージョンするためにLOFTに来ました！」と連呼し、その存在をアピール。ヨーコ（ギターとか）がメインボーカルをとる「あの娘のaiko」でフロアをしっとりとした空気に染めつつ、ラストの「オケレケレペプー」までロックンロールスピリットあふれるステージを見せつけた。

次にバーステージにはHAPPY BIRTHDAYが登場。サポートベースを迎えた彼女たちは、1stアルバム「デートに行けない日曜日」からの楽曲を次々と披露。きさ（Vo, G）は時折涙をにじませながら、ままならない恋模様を描いたラブソングを次々と熱唱。あっこ（Dr）はときにパンキッシュに、ときに優しくリズムを刻み、楽曲の世界観を支える。明るくポップなサウンドとは裏腹の切ない詞世界に観客はじっと聴き入った。

続いてメインステージには、イベントの主催者である神聖かまってちゃんが登場。しかしステージに現れたのは、mono（Key）、みさこ（Dr）、ちばぎん（B）のみ。の子（Vo, G）の不在に困惑するオーディエンスを前に、3人はキャロルの「ファンキー・モンキー・ベイビー」をたどたどしくプレイ。黒スーツにサングラスという格好でボーカル＆ギターを担当したmonoは、演奏が終わると「の子は今会場に向かってきてます。の子がいると思ったら大間違いだ！」と観客に言い放った。

そのままmonoがメインボーカルをとる形でNIRVANAの「RAPE ME」が披露され、会場はますますカオスな雰囲気に。ちばぎんが苦笑いを浮かべながら「こんばんは。神聖こまったちゃんです」と挨拶すると、かすかな拍手がフロアに沸いた。早くも持ちネタを出し尽くした3人は、その後しばらく演奏を中断し観客を交えてトーク。みさこが「私頭痛い」とつぶやいたり、の子目当ての客の声に不服を感じたmonoが「じゃあ帰るわ」と話したりと、これまでの彼らのライブの中でもトップクラスのグダグダな展開に、観客も戸惑っている様子。しびれを切らした劔樹人マネージャーがステージに現れ、メンバーをたしなめる一幕もあった。

その後、の子の代わりに劔マネージャーにギター＆ボーカルを任せようという案が出たが、彼はこれを嫌がり、その結果、劔マネージャーがベース、ちばぎんがギターを担当する異例の形で「23才の夏休み」が演奏された。しかし曲が始まっても互いに譲りあって誰も歌わなかったため、途中からみさこがメインボーカルを担当。曲が終わる頃、ステージ上で起きている大惨事を見かねるようにの子がステージに登場し、やっと神聖かまってちゃんメンバー4人がステージに揃った。

と思いきや、いきなりの子がトイレに行ってしまいライブは依然混乱状態。彼らはその後、OASISのカバー「Rock'N'Roll Star」「Rockin' Chair」と、自分たちのオリジナル曲「夜空の虫とどこまでも」「黒いたまご」を披露した。

持ち時間の終了を知らせるSEが鳴り始めるも、到着したばかりのの子は納得していない様子。スタッフを無理やり説き伏せてあと1曲だけ演奏できることが決まり、最後に「ロックンロールは鳴り止まないっ」がプレイされた。しかしこの選曲はの子にとって不本意だったようで、普段のエネルギッシュな熱唱ぶりとは対照的なやる気のない演奏を披露。その後もの子はパフォーマンスを続けたがっている様子だったが、ステージに幕が下ろされ、ライブは強制終了。神聖かまってちゃんのステージは、歯切れの悪い形での幕引きとなった。

続いてバーステージに登場したのは、4人組ガールズバンド・赤い公園。彼女たちはインストゥルメンタルナンバーを挟みつつ、キャッチーかつエモーショナルな楽曲を熱演。10代ならではのフレッシュさ全開のステージでオーディエンスを魅了した。

そしてイベントもついに終盤へ。トリを務めたのは、ライブのたびに解散と再結成を繰り返し続ける進行方向別通行区分。4カ月ぶりの解散ライブとなる今回は、ジブリ映画の幻想的な音楽が流れる中で、ステージの中央に田中（B）が無言で立つという、思わせぶりなオープニングからスタートした。1人ずつメンバーが現れ楽器を持つと、トリッキーなアレンジを盛り込んだ、独特な歌詞センスの楽曲を矢継ぎ早に披露。1曲目「梅を吸いすぎた男」では突然くそネジ（G）が両腕を挙げて楽しそうに踊るという謎の演出も見られた。曲の合間では田中（Vo, G）による、「東アフリカ村共和国」について説明するナンセンスなMCが観客の笑いと困惑を誘った。ラストナンバー演奏後に田中が「今日ここで、進行方向別通行区分は解散します」と宣言し、状況が飲み込めず呆然とする観客を尻目にメンバーは順番にステージを退出。不思議な余韻を残して「謎の日」は終幕した。