Age Factoryひさびさの有観客ライブで最新アルバム全曲披露「みんなにとって希望になればいい」

Age Factoryが12月29日に東京・Zepp Tokyoでワンマンライブ「"EVERYNIGHT" RELEASE ONEMAN LIVE ZEPP TOKYO」を開催した。Zepp Tokyoはバンド史上最大のキャパシティの会場。彼らが有観客ライブを行うのは1年2カ月ぶりで、新型コロナウイルス感染対策で客の数を制限し、1階のフロアもすべて座席制で行われた。

この日の前半10曲は、2020年にリリースされたアルバム「EVERYNIGHT」の楽曲を、そのままの曲順で披露するというセットリストとなった。清水エイスケ（Vo, G）が「みんな踊ろう」と呼びかけてから1曲目の「Dance all night my friends」がスタート。フロア映えするロマンチックなこの曲で、観客が声を出せない中でも、会場の熱気は静かに高まっていった。スクリーンに上映される小島央大が制作した映像は、楽曲の持つ風景を可視化させながら、聴き手の想像力を掻き立てるように次々と変化。「HIGH WAY BEACH」では清水の空想の世界を表現するように、映画のようなノスタルジックな映像が映し出された。

ポップなナンバーが続く中、ライブの雰囲気が変わったのは「Merry go round」を終えてから。無数の人々が行きかう雑踏のシーンが寂寞感を抱かせ、「Peace」が始まった。この曲では、感情を押し殺すようなベースと、空気を聴かせるようなスローなドラム、無常観を感じさせるギターとともに、静けさを感じさせる清水の歌が会場全体に広がっていった。

一転してそこから彼らは、ラッパーのKamuiを客演に迎えた「CLOSE EYE」、内に抱える怒気をぶちまけるように叫んだ「Kill Me」、スクリーンに映った「2020」という数字が曲の進行とともにカウントダウンしていった「Easy」と、ハードコアパンクテイストの3曲を連発。静寂と暴虐を行き来する、彼らのライブの真骨頂と言えるステージングが繰り広げられた。そしてこのあと披露された「Everynight」「1994」「nothing anymore」の3曲がこの日のハイライトに。近年は作品のスケール感が増し、広い舞台が様になるバンドとなった彼らだが、この日も打ち込みの音が新鮮な「Easy」がZepp Tokyoの広いステージに映えていた。

この日唯一の長めのMCで「（ライブを）やるかどうか迷ったけど、いてもたってもいられなくなってやりました。俺らの生きている意味だから。暗闇の中の光になればいい」と語った清水。観客を前に音を鳴らすことの意義を噛みしめるように、彼は「0になった。感覚が元に戻った」と話していた。

「EVERYNIGHT」収録曲を演奏して、今示したい音を聴かせた前半パートを終えると、キャリアの中で育ててきた音を聴かせる後半パートに突入。彼らは「GOLD」など代表曲を畳みかけていく。「GOLD」を終えたとき、彼らが訴えたかったメッセージを示すようにスクリーンには「CLOSE EYE」の「2020年 / もう形に意味はなくなり / 新しい人の時代 / 僕らはどうしたい」という歌詞が執拗に映し出された。

アンコールでは1stフルアルバム「LOVE」に収録された「Tours」を披露。2021年以降の活動への期待をにじませながら、清水はまた新しい旅路へと進んでいくことを歌った。コロナ禍による空白の時間を経験した彼は、「人前でライブができることがこんなにうれしいことだって思い出しました。みんなにとって希望になればいい」と語っていた。なお、このZepp Tokyo公演の模様が2月7日に有料配信されることが決定。2月には東名阪ツアー「Age Factory ONE MAN TOUR『HOPE』2021」が開催される。