宮本は2008年にハロプロエッグとしてハロー!プロジェクトに加入。2013年にJuice=Juiceのオリジナルメンバーとしてメジャーデビューし、これまで約12年もの間ハロプロメンバーとして活動してきた。そして今年2月にソロアーティストとして活動するためグループおよびハロプロからの卒業を発表。6月に開催される予定だった卒業公演が新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期されていたが、卒業公演は約6500人のファンを前に開催された。またライブの模様はCSテレ朝チャンネル1で生中継されたほか、スカパー!オンデマンドでの配信および国内と台湾の計全35会場でライブビューイングが実施された。
オープニングSEが流れたあと、宮本はセンターステージへの花道に1人で登場。おもむろにマイクを構えると、1曲目「『ひとりで生きられそう』って それってねえ、褒めているの? 」の冒頭をアカペラで朗々と歌い上げ、「Juice=Juice、行くぞー!」という掛け声を合図に公演の火蓋を切った。ビビッドカラーの衣装を着た9人は、「好きって言ってよ」「プラトニック・プラネット」「禁断少女」「愛・愛・傘」と新旧の楽曲を織り交ぜたセットリストを展開。じょうろで水をまいて花を咲かせる振り付けが盛り込まれた「如雨露」では、宮本がメンバーの輪の中に入り自ら花を咲かせるというこれまでにないジェスチャーをして観客を驚かせた。リーダーの金澤朋子は、グループにとってひさびさの単独公演であることを喜びながら、「でも今日の主役は宮本佳林さん。佳林にしっかり花を持たせてやりたいなという気持ちで」とライブへの思いを語った。
中盤のメドレーコーナーでは、宮本が各メンバーと話し合ってセレクトした楽曲をペアになって披露。井上玲音と「伊達じゃないよ うちの人生は」、工藤由愛と「アレコレしたい!」、松永里愛と「背伸び」、稲場愛香と「Vivid Midnight」、段原瑠々と「SEXY SEXY」、植村あかりと「スクランブル」、高木紗友希と「ラストキッス」、金澤朋子と「香水」をノンストップでデュエットした。そしてメドレーの最後に、オリジナルメンバーである宮本、金澤、高木、植村の4人が元メンバーの宮崎由加を含めて2016年にNEXT YOU名義で発表した「大人の事情」を歌唱。これまでのグループの歩みを象徴するようなメドレーを歌い終えた宮本は、「噛み締めましたよね! 『あー、この曲のときはこんなことあったよな』と考えながら歌わせていただきました」と照れくさそうに笑った。
アッパーチューン「CHOICE & CHANCE」では、曲中で井上のボイスパーカッションが炸裂。井上が繰り出す強烈なビートに合わせてメンバーが激しくダンスし、それぞれのダイナミックで力強い歌声に観客のボルテージが上昇した。コミカルなディスコチューン「ポップミュージック」を経て、宮本は児玉雨子作詞、michitomo作曲によるソロ名義の新曲「未来のフィラメント」を歌唱。幻想的なトラックとエコーがかかった宮本の瑞々しい歌声がホールに響き渡った。さらに宮本と入れ替わる形でほかのメンバーが登場。8人体制の新曲「がんばれないよ」を情感豊かに歌い上げた。
アンコールでは淡い紫色のドレスを着た宮本が1人でステージへ。自身のメンバーカラーである紫色のペンライトが広がる光景に目を細めながら、「続いていくSTORY(Symphonic Version feat. Karin)」を歌うと、曲中で自身の思いを語り始めた。エッグ時代に後輩のデビューを目の当たりにしたり、自身のメジャーデビューのときに足を骨折してしまったり、体調不良で活動を休止したりと苦しかったときのことを振り返り、「ファンの皆さんには心配を、メンバーにはたくさん迷惑をかけてしまって申し訳なかったなと思っています。ありがとうの気持ちを言葉にするのは恥ずかしいからパフォーマンスで伝えると言ってきましたが、今日は言わせてください。Juice=Juiceファミリーの皆さん、私を応援してくれてありがとうございます。そしてこんな変な私に居場所をくれたメンバーのみんなも、本当にありがとう」と発言。続けて「このライブが終わったら、宮本佳林として新しい1歩を踏み出して、人間もパフォーマンスも磨いていきます。Juice=Juiceの宮本佳林を愛してくれて、ありがとうございました!」と深々と礼をした。そして宮本はメンバー8人と並んで立ち、涙を流す仲間たちを笑顔で見つめながら、優しくしなやかに楽曲を歌い上げた。
宮本がはけたあと、金澤は宮本と過ごした年月を振り返り、「友人のような、家族のような、でもそのどちらとも違う特別な存在。佳林の卒業に対して寂しい気持ちがないと言ったら嘘になりますが、佳林の大きな1歩を応援したい。ここにいるメンバー全員が同じ気持ちです」とコメント。グループにとっても宮本の存在は大きく、彼女のまっすぐな優しさに救われた後輩たちも多くいると語り「同期の私たちにも、普通なら恥ずかしくて直接言えないような褒め言葉や愛ある言葉をたくさんかけてくれました。なかなか素直に喜ぶことができなかったけど、本当はいつもうれしかったです。ありがとう」と声を震わせた。そして卒業を改めて祝福し、「これまで挑戦してこなかった新しい道にも果敢に飛び込んで、佳林らしく邁進していってください」とエールを送った。
場内が感動的なムードで満たされる中、宮本は様子を伺いながら再びメンバーのもとへ。「いえーい!って出ていこうと思ったらそういう空気じゃない……」「いやあホント、リーダーってすごいっすね……」とおどけて、メンバーと観客の笑いを誘った。そして「Juice=Juiceは私が卒業したあともどんどん輝いていくと思うので、心配ないです! みんな目を離しちゃダメですよ。ずっと見てててね。私のこともだけど」と笑顔でコメント。その後9人で「Magic of Love(J=J 2015Ver.)」に突入すると、宮本が曲中でライブお決まりの「ここだよ朋子!」コールを繰り出して高木が吹き出しそうになったり、金澤と段原が「佳林が好きよ」、植村が「りんかが大好きー!」と歌詞を変えて歌唱する一幕も。そして彼女たちは観客の手拍子に包まれながら、ラストナンバー「Wonderful World」をパフォーマンスし、満点の笑顔でステージをあとにした。
なお宮本は公演終了と同時に自身の公式YouTubeチャンネルをオープン。ライブで歌唱したソロ曲「未来のフィラメント」のミュージックビデオを公開している。またiTunes storeでは同曲の音源が配信されている。
Juice=Juice「Juice=Juice コンサート2020 ~続いていくSTORY~宮本佳林卒業スペシャル」2020年12月10日 日本武道館 セットリスト
01. 「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
02. 好きって言ってよ
03. プラトニック・プラネット
04. 風に吹かれて
05. 禁断少女
06. 愛・愛・傘
07. 銀色のテレパシー
08. 如雨露
09. メドレー(伊達じゃないよ うちの人生は~アレコレしたい!~背伸び~Vivid Midnight~SEXY SEXY~スクランブル~ラストキッス~香水~大人の事情)
10. CHOICE & CHANCE
11. ポップミュージック
12. この世界は捨てたもんじゃない
13. 未来のフィラメント
14. がんばれないよ
15. 微炭酸
16. 私が言う前に抱きしめなきゃね
17. ロマンスの途中
18. 生まれたてのBaby Love
19. 泣いていいよ
<アンコール>
20. 続いていくSTORY(Symphonic Version feat. Karin)
21. Magic of Love(J=J 2015Ver.)
22. Wonderful World
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宮本佳林「Juice=Juiceが居場所をくれた」メンバーとの日々噛み締めた笑いあり涙ありの卒業公演 https://t.co/dw8IB9mcAv