9月より5週連続で横浜市内の縁のある地を舞台にオンラインツアーを行ってきたゆず。各公演とも代表曲「夏色」以外は異なる内容のセットリストで、AR演出も盛り込みながらライブを繰り広げてきた。音楽ナタリーでは本ツアーの初日からステージの様子を追ってきたが、今回は最終日の模様と共に、ツアーを完走したゆずのコメントも紹介する。
「YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN」で横浜文化体育館、母校の横浜市立岡村中学校、ぴあアリーナMM、神奈川県民ホールを回ったゆずはツアータイトル“AGAIN”にちなんで、最終日に横浜文化体育館のステージに戻ってきた。9月に惜しまれつつ閉館した文体は、ゆずが数々のライブを行ってきた、思い出の詰まった会場だ。また最終公演の当日10月25日は、ゆずのCDデビュー日。1997年に1stミニアルバム「ゆずの素」が発売されてから丸23年が経ったこの日、北川悠仁と岩沢厚治は「最後に歌わせて。」というキャッチコピーを掲げて約1時間半のライブを展開した。
デビュー23周年を祝福するゆずっこ(ゆずファンの呼称)のコメントでトークルームがにぎわう中、開演時刻を迎えると、カメラが文体の入り口にいる北川と岩沢の姿を映し出す。扉を開けて会場内を進み、スタンドマイクの前にたどり着いた2人は、ライブの幕開けとして「センチメンタル」をアコースティックギターの弾き語りで披露した。2001年のシングル曲「3カウント」をにこやかに歌った2人は、このシングルのカップリング曲で、ライブではあまり披露する機会のなかった「夕暮れどき」を演奏。レアな選曲で視聴者を喜ばせたあと、「からっぽ」では固く目をつぶりながら温もりのある歌声を響かせ、「心のままに」ではシャウトも織り交ぜ熱のこもったパフォーマンスを見せた。
ライブ中盤、文体を出た北川と岩沢は車に乗り込み“スペシャルな場所”だという次なるステージへ。オンラインツアーの思い出話に花を咲かせ、車を降りて2人が向かったのは、デビュー前に路上ライブを行っていた伊勢佐木町にある、カトレヤプラザ伊勢佐木の屋上。赤い絨毯が敷かれた特設ステージには、ゆずの形をした巨大なくす玉が設置され、2人が同時に紐を引くと、中から「祝24周年目突入」の垂れ幕が顔を出した。新たなスタートを切った彼らは、下積み時代に思いを馳せながら「贈る詩」「栄光の架橋」を力強く届けた。
文体に戻った2人は、青いライトに照らされながら「みらい」をしっとりと歌唱。無邪気な表情を浮かべながら「みぞれ雪」「少年」をエネルギッシュに歌い上げた。高揚感そのままに「夏色」へ突入すると、会場全体がAR演出によってカラフルな海底に様変わり。華やかな空間でこの曲を元気よく歌った彼らは、先日のオンラインツアーを視聴したというゆずっこ・市川猿之助が出演したドラマ「半沢直樹」のセリフをモノマネしてファンを沸かせた。そして2002年発表のシングル曲「アゲイン2」では本作のジャケットも手がけた世界的アーティスト・村上隆による「お花」のアートが画面を埋め尽くした。
ひと息ついた北川は手探りだったというオンラインツアーへの思いを語り始める。「音楽は国境を越えると言うけど、今回のオンラインツアーで電波も越えられるということに気付いちゃいました」「オンラインツアーも楽しかったけど、やっぱり生がいいな。またどこかで会おう。約束だぞ」と口にした。そして2人は、ゆずのツアーを締めくくる恒例ソング「ツアーお疲れさまのうた」で「YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN」をフィナーレに導いた。ライブ配信の最後には、カメラが深々とお辞儀をした北川と岩沢を捉え、文体の床に刻まれた2人の直筆サインにズームアップした。
終演後に北川は「コロナ禍で制限がある中、できないと考えるより、今だからこそ、そして自分たちにしかできないことを追求しました。全公演、セットリストや場所を変えながらだったので、毎回初日のような緊張感があり、新鮮な気持ちで全公演に向き合いました」「また忘れられないツアーが増えました」とコメント。岩沢は「かなりひさしぶりにやった曲をみんなが覚えていてくれたこと、何よりひさしぶりに歌えたことがまずうれしかった。5日間合わせるとなかなかの曲数で、まるでリハビリのようなリハーサルはキツかったですが、すべて報われたような気がしてます」とツアーを振り返った。さらに北川は「どんな状況下においても、アイデアとユーモアと、そして勇気を駆使して、これからもみんなにゆずの音楽を届け続けるので、楽しみに待っていてくださいね」、岩沢は「いい緊張感とモチベーションを保って演れたのもすべてあなたたちのおかげです。いつもありがとうございます。大感謝です」とファンにメッセージを送った。なお最終日のライブ映像は11月4日までアーカイブ配信されている。
ゆず コメント
初のオンラインツアーを終えた感想
北川悠仁
コロナ禍で制限がある中、できないと考えるより、今だからこそ、そして自分たちにしかできないことを追求しました。
全公演、セットリストや場所を変えながらだったので、毎回初日のような緊張感があり、新鮮な気持ちで全公演に向き合いました。
曲順や企画の練り上げなど、とてもタフなツアーになりましたが、その甲斐があったと思います。
スタッフのみんなや、関わってくれた関係者の皆さんのたくさんの支えでやりきれた気がします。
また忘れられないツアーが増えました。
岩沢厚治
とにかく完走できたことをうれしく思います。
スタッフ関係者、観てくれた皆さんに感謝しかないです。
ツアーで印象深かった出来事
北川悠仁
ピグで参加してくれた皆さんが登場するシーンは、本当に目の前でファンの方に会えた気がして、胸がいっぱいになりました。
配信時には、皆さんが動画横のチャットやTwitterなどでコメントしながら参加してくれて、オンラインならではの臨場感を感じられたのは新発見でした。
DAY2の岡村小学校ライブでは、校長先生を始め、先生方のパワーでたくさん背中を押してもらえました。
特に、校長の「バカヤロー!」は五臓六腑に染みました。高橋校長、ありがとうございました(笑)。
母校でのライブというのも、こんな機会がなかったらできなかったなあって思います。
ほかにも、みなとみらいの日本丸や、伊勢佐木町のカトレヤプラザに飛び出せたのも今回ならではで、
通常のライブでは絶対にできないライブだなと思いました。
岩沢厚治
かなりひさしぶりにやった曲をみんなが覚えていてくれたこと、何よりひさしぶりに歌えたことがまずうれしかった。
5日間合わせるとなかなかの曲数で、まるでリハビリのようなリハーサルはキツかったですが、
すべて報われたような気がしてます。
ツアーを視聴したゆずっこへメッセージ
北川悠仁
目の前に姿は見えなくても、なんだかすごく近くにファンのみんなを感じながら歌っていました。
最終日にデビュー24年目突入記念日をみんなと迎えられたのもうれしかったです。
どんな状況下においても、アイデアとユーモアと、そして勇気を駆使して、
これからもみんなに
いつもありがとう。これからもよろしく。
オンラインもいいけど、やっぱり生でみんなに会いたいね。必ずまた会おう。
岩沢厚治
目の前にお客さんがいないんじゃなくて
お客さんは必ず観ていてくれている、
聴いてくれているんだという気持ちを強く持って5日間臨みました。
いい緊張感とモチベーションを保って演れたのもすべてあなたたちのおかげです。
いつもありがとうございます。大感謝です。
ゆず「YUZU ONLINE TOUR 2020 AGAIN『未来図』」 2020年10月25日 セットリスト
01. センチメンタル
02. 3カウント
03. 夕暮れどき
04. からっぽ
05. 心のままに
06. 贈る詩
07. 栄光の架橋
08. みらい
09. みぞれ雪
10. 少年
11. 夏色
12. アゲイン2
13. ツアーお疲れさまのうた
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