2019年11月11日、THE NOVEMBERSの“NEO TOKYO”へようこそ

THE NOVEMBERSのワンマンライブ「NEO TOKYO -20191111-」が11月11日に東京・TSUTAYA O-EASTで開催された。

毎年11月11日に恒例の自主企画を開催しているTHE NOVEMBERS。今年の公演は“NEO TOKYO”というテーマが掲げられ、2019年を舞台にしたSF作品「ブレードランナー」「AKIRA」を彷彿とさせるダークな世界観がサウンドで表現された。

開演までのBGMには雨の環境音が使用され、集まった観客は静かにライブ開始を心待ちにしていた。ガムラン風の打ち込みを用いたSEが流れるとメンバーが登場。近年THE NOVEMBERSのライブでは1曲目に「TOKYO」が選ばれることが多かったが、この日は吉木諒祐（Dr）と高松浩史（B）が強靭なビートを刻む「Louder Than War（2019）」で幕を開けた。疾走感あふれるイントロが追加された「彼岸で散る青」を挟み、爆音のセッションが繰り広げられる「黒い虹」では長尺のアウトロでオーディエンスを圧倒。キレよくフィニッシュを決め、小林祐介（Vo, G）が「ようこそ、NEO TOKYOへ」とひと言告げると、客席から歓声が飛び交った。

序盤のハードなパフォーマンスから一転、「Dream of Venus / children」からはスローナンバーを中心にプレイ。「みんな急いでいる」や「クララ」では小林が優しい歌声を響かせ、会場のムードを穏やかに変えていった。「永遠の複製」以降は再び重厚なサウンドの楽曲が続き、「Ghost Rider」では小林とケンゴマツモト（G）が激しいギターバトルを展開。さらに「こわれる」「Xeno」など、これまで発表された楽曲の中でも特に激しい曲調のナンバーが立て続けに披露され、オーディエンスのテンションは一気に高まった。

バイクのエンジン音を合図に演奏された「TOKYO」の新バージョン「NEO TOKYO」は、前半はケンゴがエフェクターを駆使し、ノイジーなサウンドを前面に押し出したアレンジが施された。さらに間奏に入ると、小林は軽やかな足取りでステージを歩き回り、持ち場に戻ると映画「AKIRA」で使用された芸能山城組の楽曲「金田」の一節を歌い始める。聴き覚えのある歌詞にフロアがざわつく中、“ラッセッラ”のコーラス部に入ると、オーディエンスも一緒に合唱。THE NOVEMBERSは“ネオ東京”を舞台にした「AKIRA」の楽曲をオマージュすることで、“NEO TOKYO”の世界観をよりハイスケールに彩った。

4人はメロウで幻想的な「今日も生きたね」で本編を終え、アンコールに入ると、小林は「これからTHE NOVEMBERS、どんどん面白くなっていきそうな実感があって。2020年も『面白くなってきやがった』って感じでやっていきます」と自身のTwitterのツイートでもおなじみの言葉を引用し、2020年に向けての意気込みを述べた。そして最後は「ANGELS」で、“NEO TOKYO”の世界を描く一夜を締めくくった。

THE NOVEMBERSは来年5月からワンマンツアー「THE NOVEMBERS TOUR -消失点-」を開催。バンドのオフィシャルサイトではチケットの先行予約を受け付けている。