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生カンタンカンタビレにMTRYライブ再現!奥田民生の気ままな武道館“ひとり股旅”

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奥田民生(撮影:三浦憲治)

奥田民生(撮影:三浦憲治)

奥田民生が10月13、14日に東京・日本武道館にて単独公演を開催した。この記事では「ひとり股旅スペシャル@日本武道館」と銘打たれた14日の弾き語り公演の模様をレポートする。

2015年11月に広島・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島で実施されて以来の「ひとり股旅」となったこの日。1階のステージ後方席が開放され、客席に囲まれた正方形のステージにはギター5本にサイドテーブル、キャスター付きの事務用椅子、サボテンとラーメンカレーミュージックレコードのキャラクター「ヘロ・ディギン」のオブジェ、黄緑のソファーが置かれ、前日の「MTRY LIVE AT BUDOKAN」とは異なる雰囲気に。明るく照らされたステージに現れた奥田はペコリとお辞儀をすると、自らSEを流し、両手を上げながら観客に挨拶をする。そして、アコースティックギターを手にすると、指先でサングラスの位置を直し、「花になる」をのんびりした調子で弾き語った。続く「CUSTOM」は最初こそ穏やかなトーンだったが、曲のクライマックスで奥田は声を張り上げ、勢いよくギターをかき鳴らし気合いのほどをにじませた。

最初のMCで「昨日、バンドでコンサートを行いまして。けっこううまくいきました。そこそこよかったと思います」と「MTRY LIVE AT BUDOKAN」を振り返った奥田は、「今日、楽屋に入って……1人。5人用の楽屋に1人なんです。昨日と今日……逆でしたね」と寂しそうにしつつ、「あとは適当にやります。何時間かは曲をやらないといけないですから。武道館の空調の音、よく聞こえますからね。普通は聞こえないと思います」とつぶやく。するとステージが回転し始め、観客は大笑い。ほのかに会場の熱気が高まったところで奥田は「ワインのばか」を歌い出した。しかし「君に電話 夜にするのがいいね」と歌うところをなぜか「君に電話 昼にするのがいいね」と歌ってしまい、「カンペに『夜』って書いてなかったんだよ」とエクスキューズするところからライブは予測不可能な状態に。「ミュージアム」を歌い終えると、「昨日の様子をダイジェストで」と「MTRY LIVE AT BUDOKAN」の様子を大雑把に再現し始めた。

数分にわたり“再現ライブ”が繰り広げられたところで、奥田が「もうダイジェストはいいか」と切り上げようとすると「もっと!」という声が客席から上がる。その声を受けて、奥田は「俺は楽よ」と言いつつ前日も披露した「サケとブルース」をアコースティックスタイルで熱唱。しゃがれたダミ声が特徴のこの曲だが、間奏を挟んでのパートで奥田の声は普段の調子に。「しまった! 普通に歌っちゃった!」と彼が慌てるとオーディエンスは爆笑した。「スカイウォーカー」「エンジン」と2曲をフルサイズで届け終えたところで、奥田は「15分休憩!」と第1部の終了を告げ悠々とステージを降りていった。

休憩を挟み、再びステージに登場した奥田は開口一番に「ひさしぶりー!」と挨拶。前日もプレイした「The STANDARD」をしみじみ歌い、バンド編成とは違う弾き語りならではの魅力を伝える。深い余韻に観客が浸っていると、今度はシタールの音が鳴りステージが半回転。奥田は「はい! カンタンカンタビレの時間です!」と宣言してレコーディング企画「カンタンカンタビレ」から生まれた8トラックポータブルMTR「DP-008EX-OT」を画面に映し出してみせる。その流れでユニコーン「働く男」のセルフカバーの音源がマルチトラックで収録されていることを紹介して、音源を大音量で流した。「なんていい曲でしょう」「これで俺はこれから先、たぶん大丈夫だと思った曲です」と述べ、「DP-008EX-OT」からボーカル以外のトラックを流しながらレコーディングを開始した。少し不安げな様子の奥田だったが、観客にコーラスを呼びかけつつ1曲を歌いきってみせた。その後、彼は「では、聴いてみましょう」と収録された歌を、一部のトラックの音量を下げたりしながらスピーカーから流していく。無事に“生カンタンカンタビレ”の実演を終えると、北側の客席を前に「愛のボート」を熱唱。そして次の曲に進むのかと思いきや、彼は「昨日、ここでコンサートしたんですよ!」と再度「MTRY LIVE AT BUDOKAN」のダイジェストを届け始める。「イナビカリ」のワンフレーズを歌うと、「アコギバージョンにすれば、なんでもいけるな」と新たな発見をした様子で、気の向くままに「白から黒」やユニコーンの「エコー」などをギターをつま弾きながら歌った。

「最近作った曲で、一番僕的には気に入ってる曲がありまして……」という紹介から始まったのは「私はオジさんになった」。奥田は「ぜひ皆さんも歌ってほしい」と呼びかけ、同曲を情感たっぷりに歌い上げてみせた。自然と起きたハンドクラップに乗せて「風は西から」を伸び伸びと弾き語ったあと、奥田は万雷の拍手を浴びて退場。彼を送り出した拍手は瞬時にアンコールを求める拍手へと変わっていく。間を置いて現れた奥田は、「帰っていったら、スタッフに『まだ早いです』って言われまして。そんな言い方ある?」とぼやく。一方で「楽しい感覚は昨日とは違いますけど、楽しいことは楽しいです。両方できて幸せだと思います」とうれしそうに笑い、「マシマロ」「イージュー★ライダー」という自身の代表曲をアンコールで届けた。

しかし、観客はまだ足りないとばかりに拍手をし、奥田をステージに呼び戻す。「ありがとーう! またお願いします」と武道館での再演を誓った彼は、「さすらい」を全力でパフォーマンス。客電が点き、ステージと客席の垣根がなくなったところでライブは佳境を迎えた。

奥田民生「ひとり股旅スペシャル@日本武道館」2018年10月14日 日本武道館 セットリスト

第1部
01. 花になる
02. CUSTOM
03. ワインのばか
04. ミュージアム
05. ギブミークッキー~快楽ギター~イージュー★ライダー(ダイジェスト)
06. サケとブルース
07. スカイウォーカー
08. エンジン

第2部
09. The STANDARD
10. 働く男
11. 愛のボート
12. イナビカリ~快楽ギター~KYAISUIYOKUMASTER(ダイジェスト)
13. 白から黒
14. エコー
15. 私はオジさんになった
16. 風は西から

アンコール
17. マシマロ
18. イージュー★ライダー

ダブルアンコール
19. さすらい

※「The STANDARD」は180度回転した形が正式表記。

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