約4年ぶりのアルバムとなった最新作「ソングライン」リリース後初の単独公演となった2日間のライブは、岸田繁(Vo, G)、佐藤征史(B, Vo)、ファンファン(Tp, Key, Vo)の3人に加え、松本大樹(G)、山本幹宗(G)、野崎泰弘(Key)、朝倉真司(Dr)、毛利泰士(Manipulator, Per)、徳澤青弦(Cello)、湯浅佳代子(Tb)、副田整歩(Sax, Fl)、梶谷裕子(Violin)という総勢12名によるステージが繰り広げられ、満員のオーディエンスはバンドの奏でる多彩で豊かなアンサンブルに酔いしれた。
巨大な「songline」の看板を背にメンバーが順番に現れ、まずはそれぞれの楽器の音を確かめる。管楽器や弦楽器の音も混ざり、会場はオーケストラコンサートのような厳かな雰囲気に。そんなムードの中、ライブは「その線は水平線」でゆっくりとスタートした。その後、ライブの中盤までは「ソングライン」の収録曲が曲順通りに奏でられていく流れに。「landslide」でバンジョーとアコースティックギターの音色がフォーキーな空気を醸し出したかと思えば、「How Can I Do?」ではファンファンをはじめ管楽器隊の奏でる音色が会場を高揚感で満たしていく。インストゥルメンタルナンバーの「Tokyo OP」を除けば、多くの楽曲が岸田の歌を軸に展開していき、ステージ上のメンバーは岸田の声に音を重ねたり、絡ませたり、豊かなアンサンブルを紡いだりしながら「ソングライン」の世界を表現していた。
「ソングライン」のラストを飾る「News」を奏で終えたあと、岸田は「終わりました! ライブでやるのもいいですね」と朗らかな調子でトーク。なぜかその後のMCはThe Venturesや焼き鳥屋の話になり、和やかな雰囲気が漂う。次に何を演奏するのかとファンが待ち構えていると、佐藤は「『ソングライン』ってくらいだから、昔の曲もつながってるさかい!」と語り、岸田がそれに続いて「『坩堝の電圧』ってアルバムが19曲くらいあって。でもメンバーが変わったりして、なかなか再現性がなくて。やってない曲もあるんです。そういうのをちょこちょこやろうかな」と「falling」をプレイ。その後もバンドは、岸田が怒涛のようにまくしたて、楽器隊がスリリングなアンサンブルを奏でる「chili pepper japones」、ゆったりとした調子の「taurus」といった「坩堝の電圧」からの楽曲をパフォーマンスした。そして、本編のラストナンバーは、この日の編成にふさわしい「ブレーメン」。岸田の朗らかな歌声、高らかな管楽器の音色、豊かなギターや弦楽器の調べ、リズム隊が支えるグルーヴなどが一体になりホール中に響き渡った。
「今日、中野ブロードウェイ行くの忘れた……」という岸田のつぶやきで始まったアンコールは、岸田、佐藤、ファンファン、朝倉、野崎の5人を中心に進行。照明でオレンジに染まった舞台で「太陽のブルース」が演奏されたあとは、「虹」が貫禄たっぷりに届けられた。そして、松本、山本、毛利が合流して、「ロックンロール」でライブはフィナーレへ。岸田は「みんなまたね」と笑顔で観客との再会を約束し、骨太な演奏に乗せて力強い歌声を響かせた。
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くるり「くるりワンマンライブ2018」2018年10月9日 中野サンプラザホール セットリスト
01. その線は水平線
02. landslide
03. How Can I Do?
04. ソングライン
05. Tokyo OP
06. 風は野を越え
07. 春を待つ
08. だいじなこと
09. 忘れないように
10. 特別な日
11. どれくらいの
12. News
13. falling
14. Liberty&Gravity
15. chili pepper japones
16. taurus
17. さよならリグレット
18. ブレーメン
<アンコール>
19. 太陽のブルース
20. 虹
21. ロックンロール
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