本ライブは忘れらんねえよの結成10周年を記念して開催されたもの。この日のライブはメンバーの梅津拓也(B)のラストライブでもあり、多くのファンが駆けつけ会場は満員となった。なおライブの模様はニコニコ生放送で生配信され、会場に足を運ぶことのできなかったファンも柴田隆浩(Vo, G)、梅津からなる現体制最後の忘れらんねえよのライブを見届けた。
[ALEXANDROS]の「ワタリドリ」をBGMに会場後方から姿を現した柴田は「10周年と梅ックスの卒業ワンマン、始めてもいいですか? 今日は思いっきり笑えよ。思いっきり騒げよ。思いっきり泣いていいからさ!」と呼びかけ、ファンに支えられながらステージまで移動。梅津、サポートメンバーのマシータ(ex. BEAT CRUSADERS、ex. NATSUMEN)、タナカヒロキ(
前半では柴田と梅津で一緒に初めて作った楽曲だという「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」やCMソングとしておなじみの「スマートなんかなりたくない」、柴田と梅津のコーラスワークで魅せる「バレーコードは握れない」などが届けられる。また忘れらんねえよの盟友・
その後忘れらんねえよは、柴田が「最高だな! ロックンロールって!」「今日で梅津が最後な気がしなくなってきた。楽しいなあ!」「素晴らしい人と歌えているのには間違いないね」などとそのときどきの心境を口にし、梅津がそれに笑顔でうなづいたり、ツッコミを入れたりしながら和気あいあいとライブを進行。中盤では人気曲「CからはじまるABC」や柴田がバンドを組むきっかけになった曲で、チャットモンチーのトリビュートアルバムでもカバーした「ハナノユメ」などが披露され、フロアは大いに盛り上がった。
柴田はライブが終盤に差し掛かっていることを告げながら、「始まる前は泣くかと思ってたけど今すごい楽しい。こんな気持ちは初めて」と話す。梅津も「いろんな感情でいっぱい。こういう感情で過ごしたことがなかったし、こんな経験ができるのはこれっきりなんだなって……この瞬間がみんなの中に残ればいいなと思います」「10代の頃に知り合って、連絡を取っていない時期もあったけど、10代のままの気持ちでいられたなって。今日でそれも一区切り。1回旅立とうと決断しました」と語った。それを受けた柴田が「楽しかった?」と梅津に聞くと、梅津は「楽しかったよ」と返す。そんなやり取りのあと柴田は「この夜は2度とないから楽しもう!」と呼びかけ、「梅津くんとやる最後の『ばかばっか』です!」と言って「ばかばっか」に突入。曲の終盤、柴田は1000円札を握りしめてフロアへダイブし、ビールを購入すると、観客に支えられながら「このビールにお前らの夢を全部突っ込んで飲み干して叶えてやるぜ!」とそのビールを一気飲みしてみせた。
大合唱を巻き起こした「犬にしてくれ」が終わると、梅津にギターのチューニングを指摘されながら柴田は語り始める。「最後まで突き抜けようよ! 梅津くんありがとう! 忘れらんねえよのとんでもないテンションに付いてこれるか!? 泣いていいです。笑っていいです。全部付いてこいよー!」と呼びかけ、2人はパワフルに「いいひとどまり」を歌い上げた。聞きなじみのあるギターフレーズに歓声が上がる中、柴田が「明日には名曲がこのZeppに生まれんだ」と歌い始めたのは「この高鳴りをなんと呼ぶ」。曲中で柴田は「俺、歌い続けるからな! 梅津くんはベースを弾き続けるからな!」と叫び、観客と一緒に力強く楽曲を歌った。本編は「ばかもののすべて」を経て、金テープが2度発射された「明日とかどうでもいい」でフィニッシュ。ステージ上を入り乱れながら演奏を繰り広げた忘れらんねえよは清々しい表情で退場した。
忘れらんねえよの昔のライブで度々オープニングSEに使用されていた、トランペットで妙にヘタクソに演奏された「天国と地獄」が流れる中、アンコールを受けた忘れらんねえよが再登場。「世界であんたはいちばん綺麗だ」でアンコールを開始した。柴田は「下北沢CLUB Queでバンドを始めて『でっかいステージまで行ける』って言っておけば行けると心のどこかの思っていて、でかいステージに来た。この人(梅津)とやった。Zeppもソールド。最高。夢なんて叶うな! これまでも楽しかったんだけど、これからも俺も梅津くんもヒロキもマシータさんもここにいる全員が楽しいって信じてる! だってそうだったんだもん! 俺はあのとき『バンドワゴン』って歌を希望を込めて歌った。でも本当のことになった。やっぱりロックンロールってウソをつかないんだな。ロックンロールは本当のことを歌う歌なんだ!」「自分のことが大嫌いだけど大好きだからロックバンドが好きなんだよな?」と熱く語り、涙をこらえながら「俺は大丈夫だ。全然大丈夫だから」と自らを鼓舞して「バンドワゴン」を披露。その後柴田が「梅津くんにかけたい言葉とかあるんじゃない? ここでぶつけてくれないか?」と観客に呼びかけると、「ありがとう」や「お疲れさま」などさまざまな言葉が会場に飛び交う。梅津は「伝わってるよ。ありがとう」と言ってから「バンドの一部として音楽を鳴らして、こんなに喜んでくれる人がいるというのは初めての経験ですごい価値観が変わった。ここにいる人、いない人にも感謝しています。本当にありがとうございました」と感謝の気持ちを述べた。
ステージの4人は時間を惜しみながら会話をし、「梅津くんが行く道に対して、俺にはがんばれというのと、今まで一緒にいてくれてありがとうっていう言葉しかないです。ありがとね」と柴田が言うと、梅津は「こちらこそ」と返す。柴田は「本当にありがとう。面白かった。すっげー面白かった。よし、終わろうか。面白かったからこれからも面白いことをやっていきます。このステージに立ってるみんなとスタッフと。ここにいるのは熱いやつしかいないからさ。みんなを応援できるといいよね。俺らもがんばるし、みんなもがんばってるからさ。俺もみんなを応援するよ」と語り、天を仰いで息を深く吸う。タナカがギターを鳴らしたのを聞き逃さなかった柴田が「何?」とタナカに聞くと、彼は「涙が落ちた音」と説明。柴田は「はははは(笑)。忘れらんねえよらしいなあ!」と笑い、「忘れらんねえよ」を演奏し始め、観客はスマートフォンのバックライトを付けながら大合唱した。このライブを締めくくる34曲目は「まだ知らない世界」。忘れらんねえよはアウトロで名残惜しそうに楽器を鳴らし続け、サポートメンバーに続いて柴田は梅津とハグをしてステージを降りる。最後は梅津が1人でベースを演奏し、轟音を鳴らしたまま退場。3時間を超えるワンマンライブの幕が降ろされた。
忘れらんねえよは7月9日に東京・渋谷CLUB QUATTROにて、新体制初ライブ「YouTuberになればモテると聞いた」を開催。バンドのオフィシャルサイトでは5月13日23:59までチケットの先行抽選予約を受け付けている。
「忘れらんねえよ 10周年&梅津卒業ワンマン『サンキュー梅ックス』」2018年5月1日 Zepp Tokyo セットリスト
01. ゾンビブルース
02. 僕らチェンジザワールド
03. あんたなんだ
04. この街には君がいない
05. ドストエフスキーを読んだと嘘をついた
06. 美しいよ
07. 中年かまってちゃん
08. 体内ラブ~大腸と小腸の恋~
09. スマートなんかなりたくない
10. バレーコードは握れない
11. 俺たちの日々
12. うつくしいひと
13. そんなに大きな声で泣いてなんだか僕も悲しいじゃないか
14. 紙がない
15. 俺の中のドラゴン
16. バンドやろうぜ
17. 北極星
18. CからはじまるABC
19. ハナノユメ
20. サンキューアイラブユー世界
21. 花火
22. 俺よ届け
23. 愛の無能
24. ばかばっか
25. 寝てらんねえよ
26. 犬にしてくれ
27. いいひとどまり
28. この高鳴りをなんと呼ぶ
29. ばかもののすべて
30. 明日とかどうでもいい
<アンコール>
31. 世界であんたはいちばん綺麗だ
32. バンドワゴン
33.
34. まだ知らない世界
忘れらんねえよ 渋谷クアトロワンマン「YouTuberになればモテると聞いた」
2018年7月9日(月)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
リンク
- 忘れらんねえよ OFFICIAL WEBSITE
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Jimmyhoshi @jimmyhoshi
【ライブレポート】忘れらんねえよ、夢を叶え“名曲がZeppに生まれた”「サンキュー梅ックス」(写真40枚) - 音楽ナタリー https://t.co/HhVAT9Z5Yn