音楽ナタリー - 最新音楽ニュース

愛あふれた故・橋口靖正トリビュートライブ、岡田梨沙や磯貝サイモンらバンド結成

325

「HGYM大感謝祭 2018」の様子。(撮影:鈴木友莉)

「HGYM大感謝祭 2018」の様子。(撮影:鈴木友莉)

3月14日、東京・青山 月見ル君想フでライブイベント「HGYM大感謝祭 2018」が開催された。

このイベントは、2016年12月8日に虚血性心疾患のため死去したシンガーソングライター橋口靖正のトリビュートアルバム「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」の発売に伴って行われたもの。橋口の誕生日であるホワイトデー当日、彼を愛するさまざまなアーティストがパフォーマンスを繰り広げた。

2部制で行われたライブの第1部では、橋口が生前に所属していたバンド・hello!が復活。メンバーのやべなつき(Vo, Dr)とフチザワサダノリ(B, Vo)がステージに上がったほか、ボーカルを西村晋弥(シュノーケル)、キーボードを磯貝サイモン、ギターを安江望(ex. ステンレス)が担当した。橋口の誕生からhello!結成までを追ったVTRののち、ステージに登場したhello!は「ラブリーナタリー」で華やかにライブをスタートさせる。温かくも切ないミディアムチューン「アイテラス」演奏後、メンバーのフチザワは「まさかhello!をやれる日が来るとは思わなかった。次やるとき、橋口がいないなんて思わないじゃないですか……」としみじみと語る。すると彼はすかさず、「今活動休止中の人! ダメですよ、休止なんてしたら」とピンポイントな指摘をして会場の笑いを誘った。また橋口と20年来の付き合いだというボーカルの西村は「彼がこうやって今もいろんなアーティストやお客さんに愛されていることがうれしい」と思いを述べた。そしてhello!は小気味いいリズムとトリッキーな展開の「冬の帰り道」でオーディエンスを魅了して第1部を締めくくった。

第1部と第2部の転換中には、橋口の愛すべき人柄が表れた生前の映像集が放映された。橋口のソロ初ワンマンでなぜか彼と秋野温()がCHAGE and ASKA「YAH YAH YAH」を熱唱するシーンなどでフロアが和んだあとは、ゲストボーカリストが橋口のナンバーを披露する第2部へ。磯貝サイモン(Key, Vo)、岡田梨沙(Dr / ex. D.W.ニコルズ)、カトウタロウ(G)、平田崇(G)、出口博之(B / モノブライト)、近藤美里(Cho)というバンドメンバーをバックに、中澤寛規(GOING UNDER GROUND)が「シャナナナ」を歌い第2部の幕を開けた。この曲のみ“撮影OK”のプラカードが提示され、同曲のミュージックビデオでもおなじみの外国人キャストがステージを盛り上げる中、ファンはスマートフォンを掲げてバンドの演奏を楽しんだ。

ゲストボーカリストの1番手を務めた中澤がギタリストとしてバンドメンバーに加わると、橋口と親交の深い谷澤智文がステージに登場。「今日はリハからいろんなことが起きていて、『あ、ヤツ(橋口)だな』と」と不思議な現象をうれしそうに話した谷澤は、ステップを踏みながら「Kind of crossover」を柔らかな歌声で届けていった。橋口が好きなThe Beatlesのナンバーと演歌をマッシュアップした2曲を披露すると前置きした秋野温は「ここまで素敵な橋口くんのナンバーが届けられたのに、俺だけ橋口くんの曲じゃねえ!」と笑う。「与作」で「ヘイヘイホー」のコール&レスポンスを巻き起こした秋野は、「みんなも『与作』していって!」とひと言残してステージを降りた。「UNKO」ではタカタタイスケ(PLECTRUM)と石田匠からなるWILDTHINGSが姿を現し、軽妙なトークとパフォーマンスで会場を大いに盛り上げた。

不穏な音と共に警察官コスチュームの中澤と学生服姿の濱口尚が2人だけでステージに上がると、彼らはオケに乗せて「(-5)」をパフォーマンスし始める。するとそこに「(-5)」を歌うべくライブに参加したという椎名慶治が乱入。椎名はバンドメンバーをステージに呼び込み「バンド演奏に乗せて歌いたい」とリクエストするも、磯貝から「『(-5)』はいつもオケでやってるからできない」と断られる。このやりとりを何度も繰り返すも、あきらめない椎名の指揮によってバンドサウンドの「(-5)」がスタートすると、完璧な演奏と椎名の艶やかな歌声が会場いっぱいに広がり、オーディエンスからは拍手喝采が。演奏後、「とんだ茶番だな!」と笑った磯貝は「私たち、この曲ばっかり演奏しておりました! 今後もやっていきたいので、末長くこの伝統芸にお付き合いいただければ」と種明かしをしつつオーディエンスに呼びかけた。

第2部の前半でベーシストを務めた出口と、後半のベーシスト神田雄一朗(鶴)の交代を経て「もしもWikipediaにのれたなら」では濱口がゲストボーカルを担当。彼は橋口の人形を片手に同曲をハツラツと届ける。「長い!! 体感92時間あったよ!」とここまでのMCや茶番の長さを指摘した桃野陽介(モノブライト)は、バラード「朝の光」を熱のこもった歌声で披露した。磯貝の「ここからはさらにスペシャルなミュージシャンをお呼びします!」という紹介から、ステージには金子由衣(Violin)、島内晶子(Viola)、大浦萌(Cello)からなるストリングセクションが加わり、ストリングスを入れるのは初めてだという楽曲「ウォーリー」が磯貝のボーカルで届けられる。続いて「シンクロナイズドテレパシー」では松本素生(GOING UNDER GROUND)が登場。「あなたっていつもそう」という岡田梨沙のセリフから松本が熱い歌声を響かせ、楽曲の最後にはメンバーと観客のシンガロングが朗らかに広がった。

本編のラストに、磯貝は橋口や彼のトリビュートライブについて「2016年12月8日、突然この世を去ってしまって。なんでそんなときに……やり残したこともあったろうに。それから1年4カ月の時が経って、なんで僕らがこういう活動をやってるのかって、橋口さんの音楽が大好きだから。シンプルに、それが原動力です」とコメント。さらに「本人はこの世にいないですけど音楽は残るので、ぜひ橋口靖正の音楽を好きになってもらえたらと思います」と言葉を重ねた。そしてラストナンバー「春色の君はかわいい」では橋口の写真が月型のスクリーンに映し出され、橋口本人のボーカルトラックを使用して演奏が届けられた。アンコールは出演者全員と、hello!の初期ドラマーである冨田政彦、「春色の君はかわいい」のレコーディングに参加しているパーカッショニスト・朝倉真司が加わっての「HGYM」。大勢のメンバーが歌い踊ったお祭り騒ぎのあと、ステージには「シンクロナイズドテレパシー」のMV監督であるルナコムロ作のバースデーケーキが登場。橋口の誕生日を祝う祝福ムードの中、イベントは幕を閉じた。

またこれまで橋口のトリビュートイベントは岡田梨沙、磯貝サイモン、中澤寛規、濱口尚が中心メンバーの“HGYMモテ計画”によって行われてきたが、この4人が中心となりバンド「HGYM」を結成したことが発表された。「バンド形態にしてよりフットワーク軽い活動をしたい!」という思いから結成されたHGYMは対バンイベントやフェスへの出演を目的に、流動的なメンバーで活動していく。バンドの最新情報は、Twitterアカウントや新たにオープンした公式サイト上で更新される。

「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~リリース記念『HGYM大感謝祭 2018』」2018年3月14日 青山 月見ル君想フ セットリスト

[第1部]
01. ラブリーナタリー
02. アイテラス
03. 冬の帰り道

[第2部]
01. シャナナナ
02. Kind of crossover
03. 浪花節だよ人生は
04. 与作
05. UNKO
06. (-5)
07. もしもWikipediaにのれたなら
08. 朝の光
09. ウォーリー
10. シンクロナイズドテレパシー
11. 春色の君はかわいい
<アンコール>
12. HGYM

音楽ナタリーをフォロー