V.A.「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」 PR

故・橋口靖正トリビュートアルバム特集 岡田梨沙、磯貝サイモン、松本素生、秋野温、前田恭介、桃野陽介|愛すべき“素通りできない音楽家”

2016年12月8日に虚血性心疾患で急逝した音楽家・橋口靖正。彼は稀有な音楽的才能と愛すべき人柄で多くのアーティストに慕われてきた(参照:橋口靖正、虚血性心疾患のため逝去)。そんな橋口が生前に残した素晴らしい楽曲をよりたくさんの人たちに届け、広めることを目的として発足したチーム・HGYMモテ計画が、2枚組アルバム「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」を12月6日にリリースした。

DISC 1には、橋口に縁のあるミュージシャンたちがアレンジや演奏を行った未発表曲「春色の君はかわいい」「HGYM」に加え、今年4月に東京・青山 月見ル君想フで開催された追悼ライブ「HGYM感謝祭 東京編~HほんとにGぐっちゃんYやせたらMもてたのに」の音源、さらに橋口が遺したデモ音源を収録。一方DISC 2には、彼が昨年6月にリリースしたソロ名義唯一のアルバム「-5」が改めてパッケージされている。

音楽ナタリーではアルバムに関わったメンバーたちによる座談会をセッティング。「HGYMモテ計画」の発起人である岡田梨沙(ex. D.W.ニコルズ)と磯貝サイモン、追悼ライブや今回の作品に参加している松本素生(GOING UNDER GROUND)、秋野温(鶴)、前田恭介(androp)、桃野陽介(モノブライト)の6人で橋口の魅力をたっぷりと語り合ってもらった。なお取材は橋口が生前ワンマンライブを行った場所であり、偲ぶ会と追悼ライブの会場でもあった青山 月見ル君想フで実施した。

取材・文 / もりひでゆき 座談会撮影 / 草場雄介

横のつながりが生まれたのはぐっちゃんが亡くなってから

──まずは橋口靖正さんとの出会いについて伺えればと思います。

橋口靖正

松本素生(GOING UNDER GROUND) みんな出会いはバラバラだよね?

磯貝サイモン うん、バラバラ。僕は2009年の「サマソニ」(SUMMER SONIC)で「でれんの!?サマソニ!?」の選考員をやったんですけど、そこに橋口さんが当時やってたhello!というバンドが出ていて。そこで出会ったのが最初。で、話していくと音楽的にもすごく馬が合ったので、その後は僕のバンドのサポートとしてギターを弾いてもらったり、逆に橋口さんのライブに出させてもらったりっていう関係でした。

岡田梨沙(ex. D.W.ニコルズ) 私が出会ったのもサイモンと同じ年だったと思います。共通の知人がいたのでお互いに存在は知っていましたけど、グッと仲良くなったのは寺岡呼人さんのイベント「Golden Circle」を観に行き、その打ち上げでユニコーンの話題で盛り上がったのがきっかけでした。私も橋口くんもユニコーンが大好きなので。そこからは橋口くんのソロライブでは必ずドラムを叩かせてもらうようになって、けっこう近い場所にいる関係だったと思います。普通に仲のいい友達でしたし。

秋野温(鶴) 僕も最初に会ったのは2009年かな。当時住んでいた街でご近所ミュージシャンが集まる飲み会があったんですけど、そこに橋口くんもいたんですよ。お互い人見知りのシャイボーイみたいなキャラだったんで変に波長が合い(笑)、その後はよく飲みに行くようになったんですよね。彼は音楽的になんでもできる人なので、鶴でアルバムを1枚一緒に作らせてもらったりもしました(2012年4月発売のアルバム「我がまま」)。

松本 うち(GOING UNDER GROUND)は友達づてにサポートキーボーディストとして紹介してもらったところから始まりました。2013年くらいかな。そこからはライブでもレコーディングでもずっと弾いてもらってたんで、もうバンドの一員って感覚。彼はプロデューサー気質もあるんで、2人で飲みに行くと俺のほうが歳上なんだけどけっこういろんな相談をしてました。

左から岡田梨沙、秋野温(鶴)、桃野陽介(モノブライト)、磯貝サイモン、前田恭介(androp)、松本素生(GOING UNDER GROUND)。

前田恭介(androp) 僕が会ったのは橋口くんがちょうどhello!をやめるくらいのタイミング、それも2013年だったかな。知り合いづてに「天才がいる」って噂を聞いて、会ってみたらすぐ仲良くなってお互いにライブへ足を運ぶようになって。

桃野陽介(モノブライト) 僕は2015年、モノブライトでアレンジャーを探してるときに紹介してもらったんです。お願いしようと思ってたのが「HELLO」って曲だったんで、「hello!ってバンドをやってたちょうどいいヤツがいるよ」って(笑)。それがきっかけでアルバムでも何曲かアレンジをお願いしました。

松本 ホントに出会いはみんなバラバラだから、横のつながりが生まれたのはぐっちゃん(橋口)が亡くなってからだもんね。「みんなでいろいろやろうぜ」ってことで縁が強まっていったと言うか。まあでもぐっちゃんから話は聞いてたからね、鶴のこともサイモンくんのこともだいたいは知ってた。

磯貝 そうだね。橋口さんのTwitterを見てるといろんなことが自ずとわかってくるから。「ああ、今はこんな人とこんなことやってんだなあ」みたいな。

1回仲良くなると素通りできない感じがある

──橋口さんを通じて集まった人たちには何か共通するものを感じますか?

磯貝 それはめちゃめちゃ感じますね。音楽的な面もそうだし、人間的なフィーリングもそう。やっぱり類は友を呼ぶんだなってすごく思う。

前田 さっき秋野さんが言ってたように人見知りであるとか、似たような空気を持ってる人ばかりですよね。橋口くんは共通項のある人としか仲良くならない、仲良くなれない人だったから(笑)。だからこそ別々で出会った僕らも自然と仲良くなれてるっていう。

2016年に行われたGOING UNDER GROUNDのライブより。

松本 ツボが一緒なんだよね。面白いと思うツボがぐっちゃんとも同じだったから。

磯貝 そのツボは音楽面でもそうだよね。ここにいるメンバーはみんな、ルーツも違えば音楽性もバラバラではあるけど、「そういうのカッコいいよね」っていうツボがみんな一緒な気がするな。

──その音楽面に関してのツボって言葉にするとどんなものなんでしょうね?

松本 “いい歌”じゃないですかね。いい歌を歌うバンドがぐっちゃんは好きだったから。インスタントな歌ではなく、ちゃんと心を込めて作ったいい歌がホントに好きだった。

磯貝 彼自身が歌う人でもあったからね。アレンジを考えるときでも常にその中心には歌が存在することを考えてた。

──「HGYMモテ計画」の一連の活動を見ていても思いますが、橋口さんは周囲の人々からものすごく愛されていますよね。それってどうしてだと思いますか?

松本 なんかね、1回仲良くなると素通りできない感じがあるんすよ(笑)。俺、誰かに呼び出されてもめったに行かないんですけど、ぐっちゃんから電話があるとすぐ行っちゃってたからね。で、わりとマジメに音楽の話をしたりして。

磯貝 えー、そうなんだ。僕は逆に音楽の話はほとんどしなかったんですよ。橋口さんとは宮崎県でよく一緒にライブをしていて、オフには2人でドライブすることもあったんですけど、だいたいチャゲアス(CHAGE and ASKA)の曲を流してモノマネばっかしてましたから(笑)。

松本 あー、その感じもわかる(笑)。お調子者な部分と繊細さを両方持ってる人だからね。

桃野 基本的に上下関係もまったくないじゃないですか。僕のほうが全然後輩ですけど、飲みに行くと平気で恋愛相談をしてきたりするんですよ(笑)。

左から前田恭介(androp)、松本素生(GOING UNDER GROUND)、磯貝サイモン、岡田梨沙、桃野陽介(モノブライト)、秋野温(鶴)。

松本 しかもそれ、けっこう本気な相談でしょ(笑)。とにかく面白いんだよね、アイツと一緒にいると。

前田 人を喜ばせることを常に考えてましたよね。会うときには必ずひとネタ用意して笑わせてくれるっていう(笑)。それは彼の作る音楽も同じで、聴くたびに彼が用意したいろんな仕掛けに気付かされる感じもあって。だからさっき素生さんも言ったけど、決して素通りさせてはくれないんですよね。橋口くんの曲はいまだにいろんなことを教えてくれますから。

V.A.「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」
2017年12月6日発売 / LOVEMART
V.A.「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」

[2CD]
2700円 / LMCL-002

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DISC 1 春色の君はかわいい」
  1. 春色の君はかわいい / 橋口靖正
    <参加アーティスト>
    岡田梨沙(Dr) / 磯貝サイモン(Piano) / 中澤寛規(G / GOING UNDER GROUND) / カトウタロウ(G) / 前田恭介(B / androp) / 朝倉真司(Tambourine, Toys) / 金子由衣(Violin) / 島内晶子(Violin) / 島田光理(Viola) / 小谷和秀(Cello) / 阿部健太(Tp)
  2. HGYM / 橋口靖正
    <参加アーティスト>
    岡田梨沙(Dr) / 磯貝サイモン(Piano, Synthesizer, Organ) / 中澤寛規(G / GOING UNDER GROUND) / 平田崇(G) / 根岸孝旨(B)

~2017.4.21 LIVE 「HGYM感謝祭 東京編~Hほんとに Gぐっちゃん Yやせたら Mもてたのに」~
演奏:HGYM感謝祭オールスターズ[磯貝サイモン / 岡田梨沙 / 中澤寛規(GOING UNDER GROUND) / 平田崇 / 神田雄一朗(鶴)]

  1. シャナナナ / 中澤寛規(GOING UNDER GROUND)
  2. ウォーリー / 磯貝サイモン
  3. 春色の君はかわいい / 秋野温(鶴)
  4. もしもWikipediaにのれたなら / 濱口尚
  5. UNKO / WILDTHINGS(タカタタイスケ[PLECTRUM]、石田匠)
  6. 朝の光 / 桃野陽介(モノブライト)
  7. シンクロナイズドテレパシー / 松本素生(GOING UNDER GROUND)

~橋口靖正デモver.~

  1. 春色の君はかわいい
  2. HGYM
  3. UNKO(WILDTHINGS)
  4. もしもWikipediaにのれたなら
DISC 2「-5」
  1. HGYM Theme
  2. シャナナナ
  3. (-5)
  4. Your Father
  5. Gifts
  6. シンクロナイズドテレパシー
  7. ウォーリー
  8. Top of the world
  9. メグ
  10. Kind of crossover
  11. 朝の光
「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」発売記念イベント

2017年12月8日(金)東京都 HMV record shop コピス吉祥寺
START 19:30

橋口靖正(ハシグチヤスマサ)
橋口靖正
1980年3月14日生まれのシンガーソングライター。さまざまな楽器を使いこなすマルチプレイヤーで、宅録を中心とした制作活動を行う。自身の活動以外にもアレンジャーやプロデューサーとしてGOING UNDER GROUND、モノブライト、Suck a Stew Dry、寺岡呼人、磯貝サイモン、鶴、椎名慶治、あいみょんら多くのアーティストの作品に参加した。このほかギタリスト、キーボーディストとしてサポートミュージシャンも務める。これまで4枚のシングル作品をリリースし、2016年6月には最初で最後のアルバム作品「-5」を発表。同年12月8日、虚血性心疾患のため急逝した。
HGYMモテ計画(エイチジーワイエムモテケイカク)
岡田梨沙(ex. D.W.ニコルズ)、磯貝サイモン、中澤寛規(GOING UNDER GROUND)、平田崇、濱口尚からなるチーム。2016年12月8日に虚血性心疾患のため急逝した橋口靖正が生前に残した素晴らしい音楽を、よりたくさんの人に広め、伝えることを目的に発足した。2017年12月には2枚組のトリビュートアルバム「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」をリリースした。