人見記念講堂に1日だけの“砂の城”、黒木渚が描く「幻想童話」の世界

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黒木渚のワンマンライブ「~幻想童話~砂の城」が2月24日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。

黒木渚「~幻想童話~砂の城」の様子。(撮影:椋尾詩)

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黒木渚(撮影:椋尾詩)

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およそ1年間の休止期間を経て、昨年9月から12月にかけ活動再開後初のワンマンライブ「音楽の乱」を実施した黒木。今回の公演はタイトルにも冠されている「童話」をモチーフに、さまざまな物語の一節をイメージした演出が施された。

黒木渚「~幻想童話~砂の城」の様子。(撮影:椋尾詩)

黒木渚「~幻想童話~砂の城」の様子。(撮影:椋尾詩)[拡大]

オープニングでは砂嵐の音のSEが流れたあと、黒木による「マッチ売りの少女」の朗読とともにステージの幕が上がる。舞台中央で黒木が佇む中、マッチの火のイメージ映像がステージ後方に投影され、物語の世界観が描かれた。この朗読が終了すると、黒木は井手上誠(G)のアコースティックギターをバックに「エジソン」を歌唱。「あしかせ」では多畠幸良(Key)、「窓」では宮川トモユキ(B / 髭)と柏倉隆史(Dr / toe、the HIATUS)もステージに登場し、続く「マトリョーシカ」では力強いバンドサウンドでオーディエンスをリードしていった。

りんごを手にする黒木渚。(撮影:椋尾詩)

りんごを手にする黒木渚。(撮影:椋尾詩)[拡大]

「マトリョーシカ」演奏後にはMCコーナーに突入。黒木はワンマンライブやツアーを焼肉に例えて説明し観客の笑いを誘いつつ、「1日だけ砂の城を建てるので、終わリが来ることをしっかり意識して、ライブを楽しんでください」と来場者を温かく歓迎した。鏡にさまざまな質問を投げかける「白雪姫」をモチーフにした朗読が終わると、黒木たちは「カルデラ」「あたしの心臓あげる」などを立て続けにプレイ。両楽曲では黒木はギターを弾きつつ、伸びやかな歌声でフロアを包み込んでいった。

黒木渚「~幻想童話~砂の城」の様子。(撮影:椋尾詩)

黒木渚「~幻想童話~砂の城」の様子。(撮影:椋尾詩)[拡大]

「枕詞」の後に黒木はステージから去り、「アダムとイヴ」の朗読を開始。ステージ中央に木から落ちたりんごを描写するライトが1つずつ点灯され、最後の1個が光ると白いドレス姿の黒木が登場し、今回の公演のために制作された「砂の城」の演奏が行われた。さらに今回はマザーグースの詩を参考に、月曜日生まれの子供のその後を描いたという新曲「月曜日にうまれた子供は」も披露。「ピカソ」では黒木が童謡「桃太郎」の一節をリコーダーで吹いたり、来場者に配布されたりんごのカードの絵柄でチームを分け、「桃太郎」を合唱する場面もあった。

ライブ後半の「解放区への旅」「君が私をダメにする」では井手上や宮川のソロパートも飛び出し、黒木たちはクライマックスに向け、さらに会場を温めていく。黒木が「みんなの声が聞き足りないんだな!」とアジテートした「虎視眈々と淡々と」では再びりんごのカードを使用した掛け合いが行われ、フロアとの一体感を高めた。本編終盤、黒木は「もうすぐ砂の城、崩さなくてはなりません」と名残惜しそうに伝えつつ、「今日はこの場所に、小さな“命の模型”を作りたかったんです。とてももろくて長続きしないのに、ずっと心に残るもの」「最後の最後の瞬間まで、骨になる瞬間まで、最大瞬間風速を出しながら生きてください」と今回のライブに込めた思いを告白し、「骨」で本編は締めくくられた。

アンコールに入ると、黒木はバンドメンバーにお気に入りの童話を質問し、自身は「赤い靴」がとてもショッキングだったと告白。そのストーリーを思い出しつつ「大人になって、『赤い靴』って私の物語みたいだなって思ったんです。何かを作り続けることが呪いみたいな、魔法みたいな、よくわからないものを掛けられたみたいで。声を出せなかった時期でさえ作ることがやめられなくて」「だから私は、物語の“めでたし”の権利を放棄しようかな、と思いました」と自身の活動に対する意識を明かした。そして「今夜作った砂の城を皆さんと偲ぶことができます。そういうちょっとした接点って、とても素敵だと思うんです」「砂の城がなくなっても、また新しい場所で作りたいと思います。だからまた会いにきてください。次に会うときまで、お元気で!」とオーディエンスとの再会を約束。最後に黒木は柔らかな歌声で「ブルー」を届け、「幻想童話」に終止符を打った。

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黒木渚「~幻想童話~砂の城」
2018年2月24日 昭和女子大学人見記念講堂 セットリスト

01. エジソン
02. あしかせ
03. 窓
04. マトリョーシカ
05. カルデラ
06. あたしの心臓あげる
07. 枕詞
08. 砂の城
09. はさみ
10. 月曜日にうまれた子供は
11. ピカソ
12. 解放区への旅
13. 君が私をダメにする
14. 虎視眈々と淡々と
15. 骨
<アンコール>
16. ウェット
17. ブルー

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佐々木ミー @SasakiMie

【ライブレポ】人見記念講堂に1日だけの“砂の城”、黒木渚が描く「幻想童話」の世界(音楽ナタリー)
#黒木渚 #砂の城
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