昨年11月に開幕したこのツアーは、Aimerが大好きな季節と語る“冬”をテーマに展開。演出や衣装なども冬を意識した、コンセプチュアルな内容となった。開演時刻を迎えると緞帳が上がり、白で染められたステージが観客の前に現れる。続いてバンマスでもある野間康介(Key)の弾くピアノの旋律が響き、ステージ中央の幕の後ろから真っ白なドレスに身を包んだAimerが登場。彼女はライブの幕開けを告げるように、「When You Wish upon a Star」を静かに歌い上げた。
最後のフレーズを歌い終えたあとすうっと息を吸うと、ミディアムテンポのウインターソング「雪の降る街」を披露。雪景色を思わせるような真っ白な光の中で歌う彼女の姿に、オーディエンスは釘付けになった。切々と歌われた「悲しみはオーロラに」を経て、Aimerは「皆さんこんばんは。皆さんにお会いできるのをとっても楽しみにしていました」と穏やかに挨拶をする。続いて冬への思い入れを存分に語り、「最後まで存分に楽しんでいってください」と観客に語りかけた。
序盤のブロックは、ミディアムチューンが中心に。幽玄でオリエンタルな雰囲気の「歌鳥風月」、茜色の照明が憂いを帯びたサウンドを彩った「茜さす」、抑制を効かせた声がサビで解放されていく「君を待つ」が披露され、観客は楽曲ごとに変化するAimerの多彩な歌に耳を傾けた。しかし静謐な空気は、Aimerの「ここからは皆さんと盛り上がっていきたいと思います!」という宣言で一転。彼女はステージを歩きながら観客の手拍子に合わせて「カタオモイ」を朗らかに歌い、続く「Hz」が始まる前には「皆さん、席を立って盛り上がってくれたらうれしいです!」と呼びかける。総立ちの観客を前に、彼女は飛び跳ねながら弾むような歌声を聴かせる。ミラーボールの下でくるくると回り歌う彼女に、オーディエンスも笑顔を浮かべた。
ダンサブルな「ONE」で会場のテンションを十分に引き上げたのち、Aimerは軽やかな足取りで一旦退場。バンドメンバーが奏でるインストが終わると同時に、ノースリーブのロングドレスに着替えた彼女がステージに現れた。「冬のダイヤモンド」で始まった中盤戦はディープな楽曲を軸にした流れに。艶のあるサウンドにマッチした赤い照明が印象的だった「凍えそうな季節から」、Aimer曰く「歌っていて深く沈み込んでいける大好きな曲」という「花の唄」、エモーショナルなボーカルがドラマチックに響いた「ninelie」などでダークで幻想的な音世界が描き出されていった。
「LAST STARDUST」の余韻が残る中、Aimerは長めのMCを展開。ベスト盤のリリースや初の日本武道館公演など多くのトピックがあった2017年のことや、充実した日々の一方で苦しさやつらさがあったことを柔らかな口調で語る。また自身を支えてくれるファンへの感謝の思いを何度も口にし、「2018年も音楽を通して皆さんと生きていきたいと心から願っています」と明かした。「皆さんとの出会いに感謝して歌います」という紹介からつなげられたのは、中島みゆき「糸」のカバー。Aimerのあどけない声に寄り添うように、ギターやピアノの音が重なり優しい時間が紡がれた。
続けて彼女は「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」「蝶々結び」というタイプの異なるラブソングを披露。さらに雨を思わせる青い光の中でこの日リリースされたばかりのシングル「Ref:rain / 眩いばかり」より「Ref:rain」を披露し、たおやかな歌声で観客を酔わせた。そして「またこうして旅に出て、また東京に戻ってきます。そのときは『おかえり』って言ってもらえたらうれしいです。この先もこの声が出る限り歌い続けていきたいと思います」という言葉から「everlasting snow」を歌い始め、温もりのある声でホールを優しく包み込み、本編のクライマックスを彩った。
ステージが暗転したまま始まったアンコールは、Aimerが激しい一面をあらわにする「us」でスタート。感情をたぎらせるような彼女のパフォーマンスに観客は息を飲んだ。「RE:I AM」を届けたあとAimerは、「今日は本当に皆さんのおかげで忘れられない夜になりました」と感慨深そうにする。そして「これからの季節にぴったりな1曲をお届けしたいと思います」と、ラストナンバー「March of Time」を紹介した。ピンクに染まったステージの中央に立った彼女は、切なさと柔らかさをたたえた声で“春の歌”を届ける。最後に彼女は観客を抱きしめるように両手を広げ、2時間半におよんだライブに幕を下ろした。
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Aimer「Aimer LIVE TOUR 17/18 "hiver"」2018年2月21日 NHKホール セットリスト
Prologue. When You Wish upon a Star
01. 雪の降る街
02. 悲しみはオーロラに
03. 歌鳥風月
04. 茜さす
05. 君を待つ
06. カタオモイ
07. Hz
08. ONE
09. 冬のダイヤモンド
10. 凍えそうな季節から
11. 花の唄
12. ninelie
13. LAST STARDUST
14. 糸
15. あなたに出会わなければ~夏雪冬花~
16. 蝶々結び
17. Ref:rain
18. everlasting snow
<アンコール>
19. us
20. RE:I AM
21. March of Time
※本文中「Hz」の「z」はストローク付きが正式表記。
リンク
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アニカンドットジェイピー @anicanjp
Aimer:愛する冬を歌い上げた“忘れられない”ツアーファイナルレポート2/21NHKホール - 音楽ナタリー https://t.co/rCslxVLJZK