Aimerがニューシングル「Ref:rain / 眩いばかり」をリリースした。
昨年は2枚のベストアルバム「BEST SELECTION "blanc"」「BEST SELECTION "noir"」を発表し、初の東京・日本武道館単独公演を成功に収めるなどアーティストとして大きく飛躍したAimer。そんな彼女の新作は、“雨”をテーマにしたコンセプチュアルな1枚となっている。
収録曲はテレビアニメ「恋は雨上がりのように」のエンディングテーマ「Ref:rain」、「After Rain」のセルフカバー、Aimerが敬愛するCoccoが書き下ろした新曲「眩いばかり」、そしてCoccoの代表曲である「Raining」のカバーという計4曲。今回音楽ナタリーでは、Aimerに充実の内容に仕上がった新作についてたっぷり語ってもらった。
取材・文 / 須藤輝
“雨”をコンセプトに、季節の中で繰り返す瞬間を歌う
──前作にあたるシングル「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」では、Aimerさんとしては新機軸と言えるアッパーでダンサブルな「ONE」と、女性的な激しさを内包したダークな「花の唄」という、両極に振り切った新曲を披露されました(参照:Aimer「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」インタビュー)。
はい。
──それもあってか、ニューシングル「Ref:rain / 眩いばかり」は正攻法と言うか、原点に立ち戻られたかのような印象を受けました。これは意図的なものですか? それとも自然な流れで?
「Ref:rain」に関しては、まず「恋は雨上がりのように」という作品とのタイアップのお話をいただいて、そこで初めてプリプロ(仮録音)をしてこの曲に決まったんです。なので、ある意味で導かれるようにして、ひさしぶりに素直なバラードを歌うことになりました。
──ノイタミナ作品とのタイアップもひさしぶりですね。2016年の「甲鉄城のカバネリ」(9thシングル表題曲「ninelie」がエンディングテーマに採用)以来です。
そうですね。ノイタミナとはデビュー曲の「六等星の夜」(2011年に放送された「NO.6」のエンディングテーマ)からのお付き合いなので、当然思い入れもあります。そこでまたバラードを歌うという点で、今おっしゃってくださったみたいに、原点を思い出すような曲になりましたね。
──「Ref:rain」という曲名もうまいですね。要は反復を意味する「refrain」と、雨の「rain」をかけている。
「恋は雨上がりのように」のエンディングテーマなので、まず“雨”をコンセプトにしようと決めて、曲名も雨に紐付いたものにしたくて、「Ref:rain」に。そこから、つまり曲名ありきで、“繰り返す”ということを軸に歌詞を書き始めたんです。どんなに年月を経ても、季節の中で繰り返し訪れる瞬間というものが自分にはあって、それを作品と重ね合わせることができないかと思って。
──事実、この歌詞は「恋は雨上がりのように」の主人公・橘あきらの心情を描いているようにも読めますね。あきらはバイト先の店長の冴えない中年男性に好意を寄せる女子高生ですが、彼女に共感する部分はありますか?
共感すると言うよりは、「愛おしいなあ、美しいなあ」って思います。やっぱり「恋は雨上がりのように」という作品自体が、ときが経つにつれて消えてしまうかもしれない輝きがたくさん詰まっている作品だと感じています。自分にも、どんな輝きもいつかは失われてしまうんだっていう、ちょっと厭世的な考え方が根付いていると言うか。逆に言えば、失われてしまうからこそ、輝いて見えるということでもあるんですけど。
──以前のインタビューでも、例えば桜はすぐに散ってしまうからこそ美しさが際立つというお話をされていましたね(参照:Aimer「BEST SELECTION "blanc"」「BEST SELECTION "noir"」インタビュー)。
はい。そうやって作品と自分の表現の共通項を探るように作詞をして。当然、作品を観てくださった方に「この曲がエンディングでよかったな」って思っていただけるように、「恋は雨上がりのように」の世界に敬意を払いながら、Aimerの歌として成り立つような曲を目指しました。
「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」以来のラブソング
──Aimerさんがご自身でラブソングの詞を書かれることって珍しいですよね?
そうなんです。実は、「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」(2012年発売の4thシングル)以来で。この曲もそれこそノイタミナ枠の「夏雪ランデブー」のエンディングですし、恋愛を扱った作品のタイアップ曲で歌詞を書くのは本当にひさしぶりで。それ以降は、どちらかと言うと物騒な感じの作品が多かったので(笑)。
──物騒(笑)。確かに先述の「甲鉄城のカバネリ」などはそちら側ですね。
そういう意味でも、「Ref:rain」は歌っていて原点を思い出す部分はありますね。
──原点話をもう1つ重ねると、「Ref:rain」を作曲されたagehaspringsの飛内将大さんは、デビュー曲「六等星の夜」の作曲者でもありますね。
そうなんです。飛内さんにはそれ以降も素敵な曲をたくさん書いていただいているんですけれど、実は飛内さんの曲がシングルの1曲目になるのは「六等星の夜」以来なんですよ。例えば「Re:pray / 寂しくて眠れない夜は」(2011年発売の2ndシングル)の「寂しくて眠れない夜は」のように、両A面シングルの表題曲としてクレジットされることは何度かあっても、1曲目ではなかったので、これもひさしぶりですね。
──その楽曲について、タイアップのオファーを受けてからプリプロをして決められたということは、「Ref:rain」はすでにあった曲だったんですか?
そうです。ただ、ちゃんと歌入れしたのはそのプリプロが初めてですし、アレンジもデモの段階からほとんど変わっていないんです。図らずも、ある種の湿っぽさを感じさせると同時に、雨上がりの晴れ間が見えるようなサウンドになっていて、おのずと「よし、このバラードでいこう」となりました。
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あえて自分の嫌いな声で歌ってみた
- Aimer「Ref:rain / 眩いばかり」
- 2018年2月21日発売 / SME Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / SECL-2252~3 -
通常盤 [CD]
1350円 / SECL-2254 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1620円 / SECL-2255~6
- 初回限定盤CD収録曲
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- Ref:rain
- 眩いばかり
- After Rain -Scarlet ver.-
- Raining
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「花の唄」MUSIC VIDEO
- 「ONE」MUSIC VIDEO
- 通常盤CD収録曲
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- Ref:rain
- 眩いばかり
- After Rain -Scarlet ver.-
- Raining
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- Ref:rain
- 眩いばかり
- After Rain -Scarlet ver.-
- Raining
- Ref:rain(TV size)
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- 「恋は雨上がりのように」ノンクレジットエンディングムービー
- amazarashi × Aimer Asia Tour 2018
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- 2018年3月3日(土)中国 上海 Bandai Namco Shanghai Base(DREAM HALL)
- 2018年3月4日(日)中国 上海 Bandai Namco Shanghai Base(DREAM HALL)
- 2018年3月24日(土)台湾 台北 Legacy MaX
- 2018年3月31日(土)シンガポール Zepp@BIGBOX Singapore
- 2018年4月5日(木)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
- FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2018
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2018年4月28日(土)大阪府 大阪城ホール
出演者ASIAN KUNG-FU GENERATION / [Alexandros] / Aimer / クリープハイプ / THE ORAL CIGARETTES
- マチ★アソビ presents「唄の降る夜」コンサート~第二夜~
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2018年5月3日(木・祝)徳島県 徳島県文化の森総合公園内野外劇場
出演者LiSA / Aimer
- Aimer(エメ)
- 女性シンガーソングライター。幼少期よりピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始め、15歳のとき声が一切出なくなるというアクシデントを経験し、それがきっかけとなり独特の歌声を獲得する。2011年から音楽活動を本格化させ、同年9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビューを果たした。以降、「夏雪ランデブー」「機動戦士ガンダムUC」といったアニメ作品のテーマソングを担当。2014年6月に2ndアルバム「Midnight Sun」と、澤野弘之とのコラボレーションアルバム「UnChild」を同時発売し、同年9月には菅野よう子、青葉市子らが参加する新作「誰か、海を。」を発表した。2015年7月に3rdフルアルバム「DAWN」をリリース。2016年7月にONE OK ROCKのTaka(Vo)と凛として時雨のTK(Vo, G)が提供およびプロデュースした楽曲を収めた両A面シングル「insane dream / us」、8月にRADWIMPSの野田洋次郎(Vo, G)制作の「蝶々結び」を収めたシングルをリリース。9月にTaka、野田のほか、andropの内澤崇仁(Vo, G)、スキマスイッチが楽曲提供およびプロデュースをした新曲を含むアルバム「daydream」を発表し話題を集める。2017年5月にベストアルバム「BEST SELECTION "blanc"」と「BEST SELECTION "noir"」を同時リリース。8月に初の東京・日本武道館単独公演を行い、1万3000人を動員した。10月にトリプルA面シングル「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」を発表。2018年2月にCocco提供の「眩いばかり」を含むニューシングル「Ref:rain / 眩いばかり」をリリースした。