竹原ピストル8カ月間の弾き語りツアーに幕、ファイナル中野サンプラザで29曲熱唱

竹原ピストルが5月から行ってきた全国弾き語りツアー「PEACE OUT」が、12月22日に東京・中野サンプラザホールにて千秋楽を迎えた。

開演前のステージには中央にスタンドマイクと譜面台、2本のギターのみ。定刻になりスポットライトが中央を照らすと、照れくさそうな笑顔の竹原が下手から登場した。12月31日に「NHK紅白歌合戦」の出場を控える竹原は「じゃあ、紅白では絶対歌わせてもらえなそうな歌から始めますね」と客席に語りかけ、「LIVE IN 和歌山」で最終公演をスタートさせた。力強いギターストロークと共に足を踏み鳴らしながら熱唱する彼の姿に客席の熱気が一気に上昇すると、竹原「虹は待つな 橋をかけろ」「みんな～、やってるか！」「よー、そこの若いの」とアップテンポなナンバーを連投。「みんな～、やってるか！」では竹原の「みーんなー」に続けてオーディエンスが「やってるかー！」と声をあげるおなじみのコール＆レスポンスが繰り広げられ、会場の一体感が高まっていった。その後竹原はおもむろにブルースハープを吹き鳴らすと、「大切な存在を思い浮かべつつ、それでいてお互い体には気を付けて元気に過ごしていきましょうねっていう気持ちを込めて歌います」と前置きし「Amazing Grace」を熱唱。舞台の照明は電球1つとなり、会場全体が暗闇に包まれた中で叫ぶような歌声を届けた。

公演中盤には竹原が出演した映画「永い言い訳」の台本を初めて読んだときに「半ば反射のようにポンと浮かんだ」という「たった二種類の金魚鉢」を柔らかな歌声で披露。歌い終えた竹原は当時の思い出を振り返りながら、「もしもまた映画に出る機会をいただけるなら、作業着以外の衣装を着てみたいです。どの監督さんも僕に作業着を着せたがる」とこぼし、観客の爆笑をさらった。数多くの作業着を着こなす機会に恵まれた竹原だが実際に作業着をまとって仕事をする経験がなかったことを明かし、「西川美和監督から“お仕事”をテーマにCM曲の制作を依頼されたときも『ヨレヨレ、ふらふらの旅芸人の歌しか作れませんよ』と言って提供したのが次に歌う『俺たちはまた旅に出た』です」と次の曲を紹介。このMCの一連の流れに「我ながら完璧な曲フリでしたね（笑）」と思わず吹き出すひと幕もあったが、いざ歌い出すと雰囲気は一変し、切ないメロディと哀愁を帯びた歌声で観客を魅了した。

ライブ終盤には竹原と同じオフィスオーガスタに所属するスキマスイッチのデビュー15周年を祝した新曲「デビュー同期の桜」を歌唱。デビュー間もない頃の2組が事務所主催イベント「Augusta Camp」に出演した際にサブステージでの苦い経験と「いつかはメインステージに」という憧憬の念を共にした同期への思いがつづられており、優しいギターの音色が会場を包み込んだ。本編ラストには竹原が野狐禅のもう1人のメンバーであった濱埜宏哉の近況を話し、野狐禅の楽曲「ぐるぐる」を歌い上げステージを降りた。

アンコールの声を受けて再び舞台に現れた竹原は「頭のタオルを巻き直してきたアンコールは2曲以上歌うと思ってください」と気合いを見せる。「オールドルーキー」「一等賞」「父から娘へ ～さや侍の手紙～」「俺のアディダス ～人としての志～」「ドサ回り数え歌」といった予定の倍以上となる5曲を歌い上げたのち、最後に己のハングリーさをつづった「狼煙」を鬼気迫る様相で披露。大歓声が沸き起こる中でおよそ8カ月におよぶ弾き語りツアーの幕を閉じた。

※記事初出時、本文およびセットリストに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。