忘れらんねえよ「カッコよくなる」ツレ伝ファイナルで決意新たに

忘れらんねえよが対バンツアー「ツレ伝ツアー2016」の最終公演を3月27日に東京・TSUTAYA O-EASTにて開催した。

ファイナル公演の“ツレ”として登場した夜の本気ダンスは「ツレ伝ツアー」の元ネタである「列伝ツアー」こと「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR」に今年出演。鈴鹿秋斗（Dr）は「『列伝ツアー』のファイナリストが、『ツレ伝ツアー』のファイナルにも出られて光栄」と出演の喜びを口にし、バンドはその喜びを爆発させるように「By My Side」「WHERE?」といったダンスナンバーで観客を踊らせていった。さらに鈴鹿は忘れらんねえよについて「お兄ちゃんみたいにかわいがってくれる」と関係性を語り、「MCモンスター」という称号を柴田隆浩（Vo, G / 忘れらんねえよ）より授けられた際のエピソードを明かすなど、軽妙なトークでもファンを引きつける。そしてバンドは「Logical heart」をライブ初披露したほか、ラストナンバー「戦争」では観客を全員座らせてから、米田貴紀（Vo, G）の合図と共に立ち上がって踊らせるなど、会場を大いに揺らして忘れらんねえよへとバトンをつないだ。

場内にWANIMAの楽曲「THANX」が流れると、フロア後方のPA卓に柴田隆浩（Vo, G）が登場し、彼はクラウドサーフでステージへ。彼はステージに到着すると夜の本気ダンスを真似て「踊れる準備はできますか？」と挨拶し、さっそくファンのボルテージを引き上げていく。メンバー紹介をすると、「今夜いますぐに」を歌い始めライブをスタートさせる。続く「この街には君がいない」では柴田が「さっきの夜ダンのMCが面白すぎたので敬意を表して」と前置きし、「鈴鹿！」「秋斗！」というコールアンドレスポンスも飛び出した。

MCでは柴田がこの日の公演が即日完売だったことに言及。「俺らとあんたらで作った1つの勝利だから、最高の音楽で返します！」と意気込みを口にした。またこの日の“ツレ”である夜の本気ダンスについては「踊れるっていう以前に曲がめちゃくちゃカッコいい」と大絶賛。さらに「鈴鹿はあんなMCするのにいいやつなんですよ」と愛情たっぷりに彼らを紹介した。柴田と梅津拓也（B）は勢いよくジャンプしたり、背中合わせでプレイしたりと息のあった演奏を見せる。「バレーコードは握れない」ではフロアから大合唱が発生し、感動的なムードが広がった。中盤には柴田が「今、人生で一番気持ちいい」「ツレ伝楽しすぎるんですよ」と破顔。さらに「本当にカッコいい人たちと出会って成長した」とツアーを振り返った。

サポートドラマーのマシータによる“アゲアゲのビート”を合図に突入した後半戦。「ばかばっか」では柴田が「お前らがあまりにも熱いからビールが買いたくなった」と言い、クラウドサーフでバーカウンターへ。ビールを手にすると、再びクラウドサーフでフロアの中央まで進み、ファンに囲まれる中でビールを一気に飲み干して見せた。

さらに熱を帯びた演奏で楽曲を畳みかけると、柴田は「バンドは本当に楽しいね」とこぼし、感慨深そうな表情でMCへ。彼は「ライブで各地に行くたびに『みんながここにいることは当たり前じゃないんだよね』ということをすんごく感じるようになった」「あなたたちはかけがえがなくて、キラキラして見える」とファンへの思いを真摯に述べていく。さらにツアー中にもらったファンレターに感激したというエピソードを続け、「今までは『俺らなんてロックスターになれない』って思ってたけど、俺はあんたたちの気持ちを受けとって、カッコよくならなきゃって思った。堂々と受け止めてカッコいいロックンローラーにならなくちゃ。俺ら、ブレずにちゃんとカッコいいバンドになるからどうかよろしくお願いします」と決意を新たにした。柴田の言葉を頷きながら聞いていた梅津も「今までのツアーで一番楽しい」とツアーを振り返り、観客は彼らの言葉にじっと耳を傾けていた。

そしてバンドは梅津が肩に犬のぬいぐるみを乗せて演奏した「犬にしてくれ」、柴田の弾き語りから始まった「この高鳴りをなんと呼ぶ」でラストスパートをかける。「忘れらんねえよ」では柴田が観客へ、携帯電話のライトを掲げるように提案。3人はファンがかかげたライトに照らされる中、感動的に本編を締めくくった。

アンコールでは最新ベストアルバム「忘れらんねえよのこれまでと、これから。」に収録されている新曲「世界であんたはいちばん綺麗だ」をライブ初披露。柴田は演奏前には「できるかな」と不安げな様子を見せながら、3人で丁寧に楽曲を届けた。そして柴田が「最後の曲、嫌だね」と言い、話を始める。彼は「前を向いて生きていこうとすると必ず別れがあるよね。その別れっつーのはすんごいしんどいんだけど、大丈夫だから。全然大丈夫だから。全然越えていけるから」とファンへメッセージを送り、酒田へ向けたナンバー「別れの歌」でライブを締めくくった。

3人は互いの健闘を称えるように握手をし、前を向いてファンへお辞儀。最後に柴田が10月9日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにてワンマンライブ「僕とあなたとあんたとお前のデカいステージ」を開催することを発表する。ファンの大歓声に包まれる中、「ツレ伝ツアー2016」の幕を下ろした。

※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。