この会場でのワンマン実現は、7人が2015年の活動の目標に掲げてきたもの。超特急の今年の夢が叶う2日間、会場には約2万5000人の8号車(超特急ファンの総称)が集まり、メンバーとともに熱狂の空間を作り上げた。この記事では、24日に行われた2日目の公演の模様をレポートする。
超特急にとって初めてのアリーナ公演が行われる会場には、ユーキ考案のもとメインステージから大きく8の字型に伸びる花道が設けられた。公演は架空のテーマパークである「Fantasy Train Park」を舞台として展開。8号車をこのテーマパークへと迎え入れるオープニング映像がスクリーンに映し出されると、メルヘンチックなアレンジが施された超特急のデビュー曲「TRAIN」のイントロが鳴り響く。ステージを覆う紗幕に歯車が動き出す映像が投影されオーディエンスの期待感が一気に高まると、次の瞬間、その奥で踊る5人のダンサーの姿が光に照らされ浮かび上がった。
5人は「TRAIN」に乗せ、紗幕に映し出された映像とダンスを融合させたパフォーマンスを展開する。5色のイメージカラーの光を放ちながら、猛スピードで前へ進んで行くレールの上で踊るダンサーの姿を、8号車は食い入るように見つめた。するとステージ両端のスクリーンに映し出されたのは会場の外で歌うコーイチとタカシの姿。この登場方法に大きなどよめきが上がる中、2人は歌いながら体育館の中へと歩みを進めてスタンド1階席と2階席の間の通路に設けられたトロッコに乗り込んだ。2階席の最前列と同じ高さを進んでゆくこのトロッコは、メンバーが決めた「君の元までつながるRail」という代々木公演のテーマを具現化したもの。会場上層部の席で声援を送る8号車は、自分たちの目の前を進んで行く2人の姿に熱狂した。
メインステージに7人がそろうと、「No More Cry[3rd Anniversary Special!!!!!!!!ver.]」のスタートとともに紗幕が切って落とされる。8号車は大歓声でペンライトを振り、タクヤとユースケは目の前にはっきりと広がった一面の光に、感激で顔をくしゃくしゃにしながらこの曲を踊った。自己紹介ではカイが、広い会場を3ブロックに分け「水金地火木土天―?」「カーイ!」というやりとりを3度行って満足げな笑みを浮かべ、客席を埋め尽くすペンライトの光に「どこのイルミネーションよりもきれいだね。生きててよかった」とつぶやく。タカシは会場を見渡し「寂しがり屋の8号車のみんな、安心して。超特急が今からそっちに行くから!」と甘い言葉を投げて、悲鳴のような歓声を集めた。
ユースケが右手を高く挙げ、スクラッチのポーズを決めたのを合図に「No.1」がスタートすると、彼は「代々木、行くぞ!」と絶叫。この言葉を受けて、メンバーは一斉に花道へと飛び出した。7人は花道のあちこちに散らばって8号車と笑顔を交わす。リョウガはステージにしゃがみ込んで8号車に目線を近付けながら客席に手を振った。ユーキはバック転を華麗に決めてステージを盛り上げ、ぐんぐんと高まっていく会場の熱気にタクヤは「お前らがNo.1だ!」と叫ぶ。続く「Burn!」ではカイとリョウガ、タクヤとユーキがそれぞれトロッコに乗り込んで客席へ。ボーカルの2人と一緒にステージに残ったユースケは元気いっぱいに花道を駆け抜け、じゃんけんで勝ち取った大サビ前のソロ歌唱パートでは「振り切った限界をまた乗り越えて みんなで叶えたよ、代々木でのワンマンライブーーー!!」と歌詞を言い替えてセンターステージで声を張り上げ、コーイチから「ユースケ騒ぎ過ぎ!(笑)」と頭突きされていた。
Fantasy Train Parkの「DANCEエリア」の扉が開く映像がスクリーンに映し出されると、ダンサーによるソロダンスコーナーへ。ディスコサウンドに乗り、それぞれの個性が際立つパフォーマンスで舞台上を躍動した5人は、続く「One/O Signal」では一転、息のあったダンスで客席を魅了する。また、コーイチとタカシは「Snow break」で豊かな歌唱力を提示。お互いのほうを向き、目を合わせながら歌声を響かせるボーカル2人の姿と、感情を込めた動きで楽曲を彩るダンサーの姿を観客は息をのむように見つめていた。
多彩なダンスシーンが8号車の眼前に広がったあとには、不穏なメロディが会場に響き渡る。「HORRORエリア」のステージの幕開けを告げたのは空間を切り裂くようなギターサウンド。そのサウンドを鳴らしていたギタリストのマーティ・フリードマンがメインステージに姿を見せると、8号車は大歓声で彼を迎えた。歓声を一身に受けたマーティはギターを構え直すと勢いよく「Beautiful Chaser」の象徴的なギターリフを轟かせる。センターステージにはライダースジャケットをまとったダンサーが登場し、スモークの中で鋭く視線を光らせながら楽曲のダークな世界観を表現した。曲を終えるとユーキは「気持ちよかです!!」とマーティとの共演に笑顔を弾けさせる。コーイチは「この1曲でコラボが終わるの、もったいないと思いませんか?」と客席に問いかけ、8人は続けてglobe「Love again」のカバーを披露した。コーイチはマーティと対峙して力強く歌声を響かせ、タカシはギターの音色に身を委ねるようにマーティに笑顔で寄り添う。ダンサーの5人は両腕で大きなハートマークを作るキャッチーな振りを披露し、8号車もこれを真似てペンライトを持つ手でハートマークを形作った。
続く「SPORTSエリア」のステージには、
ライブが終盤に差し掛かると、「Fantasy Train Parade!」というアナウンスとともに、メインステージに置かれていた電車が動きだした。後ろの車両にはメンバー全員が乗り込んでおり、リョウガは「今行くぞー!」と8号車に向かって叫ぶ。7人を乗せた電車は花道を進んで行き、メンバーはサインボールを客席へ投げ入れながら8号車に手を振った。電車が花道を1周したところで「バッタマン」がドロップされ、ボーカルを残し電車を降りたダンサー5人はセンターステージでフルスロットルのパフォーマンスを披露。ユースケはサビで普段より長めに変顔を炸裂させ「フェーーーーーッ!!!!」と絶叫する。8号車のテンションを一気に引き上げた7人はここから「Drive on week」「Shake body[Yoyogi National Gymnasium ver.]」と8号車のコールが楽曲を彩るナンバーを次々投下。「Shake body」で特大のコールを受けたユーキは顔をくしゃくしゃにして笑い、リョウガはコールに合わせてカメラ目線でキメ顔。タクヤはサビの見せ場でキュートなポーズを作ってみせた。
公演の中では来場者全員での思い出作りとして、ペンライトを使ったメッセージ作りが行われるシーンも。メンバーの指示通りにスタンド席の8号車がペンライトの光を灯すと、スタンド一面に「MERRY Xmas 12.24」の字が浮かび上がった。いつもはクールな立ち居振る舞いのカイもこの演出に笑顔で体を弾ませ、メンバーは「何が起きた!?(笑)代々木の奇跡だ!」と彼を見て驚きの表情を見せる。「ユースケ、どう?」とコーイチから聞かれたユースケは会場を見渡して「やっぱ“家”だよな。こんな大きい家は初めてだよ!」と満面の笑みを浮かべた。この思い出作りのお礼としてメンバーから8号車に届けられたのは、今回のライブのテーマソングである新曲「Fantasy Love Train~君の元までつながるRail~」。優しい表情でこの曲を歌い踊ったメンバーは「走れ!!!!超特急」で7人一緒に花道へ飛び出すと、センターステージで「fanfare」をパフォーマンスする。8号車はコーラスパートを大合唱し、体育館の真ん中で8号車の大きな声援を受けたメンバーは万感の表情で何度も力強く拳を突き上げた。大サビ前のブレイクでは、一瞬の静寂に「メリークリスマス。……大好きだよ!」と声を響かせたコーイチ。彼の言葉を合図にセンターステージからは銀テープが勢いよく放たれ、大歓声の中で会場は大きな一体感に包まれていた。
本編最後のMCで2日間の公演を振り返ったコーイチは「超特急っていう電車は僕たち7人だけじゃなくて、スタッフさんの夢も8号車1人ひとりの夢も背負って走っています。だから代々木で止まるつもりはないし、もっともっと突っ走って行きます!」と決意を新たに語る。カイは「僕らはもっと上のステージに行けると思うので付いて来てください。……というか、付いて来させます」と力強く前を見据えた。カイの男らしい言葉に「ハードル上がりました……」と笑ったリョウガは、ライブ前の意気込みとして「届けます。夢の時間を。感じてください。心のレールを。」というメッセージを発表していたことを挙げて「届けられました、夢の時間を」と深みのある声で語る。しかし次の瞬間「そして感じさせることができました、夢の……ああっ!」と大事なところでつまづき、メンバーと8号車は大爆笑。彼は「僕らしい演出も入ったところで(笑)、今日は本当に楽しい時間を皆さんと過ごすことができたので、もっと超特急の輪を広げて……僕ら、宇宙いちメンバーの多いグループになりましょう!」と呼びかけた。
タクヤは前日の公演を観に来た自身のいとこが、この日のライブをきっかけに自分の夢であるダンスの道を進むことを決意してくれた、と8号車に伝える。彼は「僕は8号車の笑顔を求めています。たった1人でもいい。それが例えいとこでもいい。誰かのためにステージに立てたことがうれしかったです」と涙で声を震わせ「今日は最高のステージができました。ありがとうございました!!」と大きな声で叫び、くしゃくしゃに握ったタオルで顔を覆った。ユーキは「超特急はみんなで築き上げてきたグループなんです。だから、何か思うことがあったら、遠慮なくぶつけてきてください。8号車の皆さん1人ひとりがメンバーです。だから、もっともっと大きな夢……東京ドームに向かって、今日は皆さんと笑顔でお別れして! 次につながる日々を過ごしていきたいと思っています。だから、今日は1日、ありがとうございました!」と客席に語りかける。目を赤くしたユースケは「あー鼻水止まらんわ(笑)。とある歌に『夢にまで見た 夢の切符は 君とつかむんだ』っていう歌詞があります。さて、『君』とは誰のことでしょうか!?」と突然クイズを出題し会場をざわつかせる。彼は続けて「そうです、8号車さんのことです。……なんだよ。笑ってくれよ! そう、その笑顔です。その笑顔が、僕たちを幸せにしてくれてるんですよ!!」と訴え「くじけそうになるときもあるけど、元気担当は元気担当らしく、8号車さんに元気と、幸せと勇気と愛と!……を、届けます!(笑)」と弾ける笑顔で自身の挨拶を結んだ。最後にマイクを握ったタカシは「クリスマスイブっていう大事な日にこんなにたくさん集まってくれて、改めて8号車って、すてきなメンバーやなって思います。というか自分の中では家族だっていう気持ちでライブやらせてもらってます。だから今日、8号車の顔を見れてめちゃくちゃうれしかった。みんな楽しめた? 俺も楽しめた!」と客席に伝える。そして「だから、ここで立ち止まることなく突っ走っていきたい。本当に8号車は家族やって思ってるので、これからもタカシやで……めっちゃ甘えさせてください!」と言葉を弾ませた。
「僕らが結成当初から変わらないこと、それは、8号車のことをずっと思ってやってきたっていうことです。ずっと変わらない思いを込めて」というコーイチの言葉とともに8号車へ贈られたのは「Starlight」。感情を強く込めるように歌い踊る7人が立つステージのスクリーンには、メンバー1人ひとりから8号車へのメッセージが投影され、8号車はまっすぐな眼差しでステージの上を見つめていた。
アンコールではこの公演のためにアレンジされた「Signal[Yoyogi National Gymnasium ver.]」が披露される。夢に向かっていく諦めない思いを歌ったこの曲で2015年の集大成のライブを締めくくった超特急。リーダーのリョウガは「この2日間でみんなわかったと思いますが、僕たちと8号車の心のレールはずっとつながっています。これからも同じメンバーとして、前に前に突き進んでいきましょう!」と8号車に呼びかける。充実感いっぱいの表情を浮かべたリョウガが「以上、僕たちは!」と最後のかけ声をかけると、客席を埋め尽くす“メンバー”と7人は一緒に「超特急でした!!」と大きな声を会場に響かせた。
超特急 終演後コメント
コーイチ
ライブ中、僕が一番テンションが上がったのは「Shake body」。もう、ヤバかったです。気持ちよすぎてちょっと危なかった(笑)。
会場が8号車で埋まっている景色を見て、ステージに立つ仕事をしている人間にとって、今のこの時間はすっげー幸せな時間なんだなっていうことを、本当に思った。あの景色をもう一度観られるようにずっとずっとがんばっていきたいって。いろんな人の期待を乗せて、観てくれる人を笑顔にできて、楽しませることができるのが
カイ
単純に楽しかったです。2日目には踊っていて「もっと行けるな」とも思えたし、これからのビジョンがはっきりと見えました。
ライブに参加できなかった方も気持ちは代々木に飛ばしていてくれましたね。8号車も代々木に特別な思いを持ってくれていたんだなっていうことがわかってうれしかった。
2016年はもっともっと超特急というグループをいろんな方に知ってもらって、名前を言えばどんなグループか分かってもらえるようになりたい。8号車の誇りになれるような7人になっていきたいです。
“代々木の奇跡”は……あれはなんだったんだろうね。キャラ変だよね(笑)。でもそれくらい楽しかった!!
リョウガ
MCで噛んじゃったのはねえ……? 俺、いつになったら成長するんだって話ですよね!でも言ったことは間違いじゃないから。
濃厚な2015年。集大成のライブを終えて、超特急っていうグループがどんなにすてきなものなのか、メンバーも8号車もわかったと思うので、もう何も恐れるものはなくて。いつまでもかけがえのない仲間と一緒に、スピード上げていろんな景色を見に行きたい。まだ会えていない8号車にも会いに行きたいし、最終目標である東京ドームに向けて、突き進んで行きます!
タクヤ
1日目の本番前はみんなすごく不安になってて、僕もユースケと「やばいね」って涙してたんです。そうしたら、1曲目の「TRAIN」でステージに出る直前、リョウガが「大丈夫!」って言ったのがイヤモニから聞こえて、一瞬で肩の力が抜けました。初めて言葉の力ってすげえなって思った。本人はそれほど大したことない感じで言ったと思うんですけど、ナイスすぎるタイミングだったし、めちゃくちゃグッときました。「No More Cry」で泣いてしまったのは、やっぱりあの景色が夢のようで信じられなかったから。自然と涙が出ていました。
1年後のこの時期には代々木よりももっと大きなステージに立って、また皆さんとすてきな景色を観たいので、2016年もがんばります!
ユーキ
今年の目標にしていた舞台に立ってみたら「超特急ってこんなにたくさんの人に支えてもらえるようになったんだ」って実感しました。僕は「fanfare」がめちゃくちゃグッと来ました! 曲が始まった瞬間に涙してる8号車が見えて、一気に感情が込み上げて来て……うわあーって泣きながらサビ全力で踊る、みたいな(笑)。「fanfare」の演出は、タクヤのアイデアだったんです。メンバーの思いが形になったっていうこともあって、余計に感情が入りました。
1日目の8号車からのサプライズ演出は本当にびっくりした! あんなにロマンチックなことをしていただいて、もうサプライズを受けた彼女みたいな気持ちでした。
このライブで、上を目指すのは大事なことだって実感した。でも僕自身のスキルはまだ全然足りないです。もっとメンタルもボディも作り込まないと。
ユースケ
もう僕は始まる前から涙出てきて迷惑かけっぱなしでした(笑)。今年は7人が別々に活動することも多かったけど、超特急に戻ってくると「やっぱりこの7人だな」って思うし、ライブをすると8号車さんがいつもそばにいてくれてるんだなって実感できるんです。そんな気持ちがあったから、「代々木まで来られてよかった」って思って泣けちゃいました。そういうときにメンバーに声かけられるともっと涙ヤバくなっちゃうけど(笑)、でも安心する。
ステージを走り回ってみて、目が何個もあればいいなって思いました。それくらい、周りの景色をいっぱい見たかった。
これから先は、まだ会えてない8号車さんに会いたい。会場の規模が大きいから距離が離れるなんて思わないで。これからも8号車さんと一緒に作り上げるライブができたらいいなって、僕はそういうふうに思ってます。
タカシ
今までは大きな会場でライブをやると緊張で記憶がないことがよくあったんですけど、今回のライブはすべて記憶に残っているから、自分楽しめたんだなあって思いました。
俺は「TRAIN」の演出が好き。「超特急、こんなに夢のあるライブができるんやなあ」って、リハーサルでダンサーが踊っているのを観たとき、涙止まらなかったんです。
代々木の会場はデカかったけど、8号車との距離は近くて、代々木体育館で8号車全員の顔がしっかり見えたってことがすごいうれしかったな。
乗車してくれた8号車、来られなかった8号車も、全員に音楽のすばらしさを届けて、みんなを笑顔にするのが僕らの役割だと思っているので、これからもそのスタンスを変えることなく進んで行きます。だから、これからもずっとずっと一緒に走って来てください。
超特急「超特急 CHRISTMAS ONEMAN LIVE 2015 Fantasy Love Train~君の元までつながるRail~」
2015年12月24日国立代々木競技場第一体育館 セットリスト
01. TRAIN[Fantasy ver.]
02. No More Cry[3rd Anniversary Special!!!!!!!!ver.]
03. No.1[Christmas ver.]
04. Burn!
05. Secret Express
06. One/O Signal
07. Snow break
08. Beautiful Chaser
09. Love again
10. HOPE STEP JUMP
11. OVER DRIVE
12. バッタマン
13. Drive on week
14. Shake body[Yoyogi National Gymnasium ver.]
15. Fantasy Love Train~君の元までつながるRail~
16. 走れ!!!!超特急
17. fanfare
18. Starlight
<アンコール>
19. Signal[Yoyogi National Gymnasium ver.]
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