KANA-BOON、ブルエン、DMMG、シナリオが新木場で同レーベル競演

Ki/oon Music主催のライブイベント「Ki/oon Music presents / SLASH /」が、11月15日に東京・新木場STUDIO COASTにて開催。同レーベル所属のKANA-BOON、BLUE ENCOUNT、DJみそしるとMCごはん、シナリオアートらが出演した。

トップバッターを務めたのは、このイベント開催を記念して行われたオーディションを勝ち抜いて出演権を獲得した3組のうちの1組であるさらばルバート、空を飛ぶ。ダンサブルなビートと卓越した演奏力、独特の空気感を持つボーカルで1曲目「クレイジー・スタイル」からオーディエンスの心を鷲掴みにし、そのまま最後まで駆け抜けていった。続く女性4人組バンド、CHAIもオーディションを経ての出演。脱力感の漂うラップや振り付けとグルーヴィな演奏、可憐なボーカルを複雑に組み合わせたパフォーマンスでフロアを翻弄した。

2組のフレッシュなバンドの熱演に続いて登場したシナリオアートは、1曲目に高揚感たっぷりの「ナイトフライング」をプレイ。透明感のあるハヤシコウスケ（G, Vo, Programming）の声とハットリクミコ（Dr, Vo）の伸びやかな歌声が織り成す美しいハーモニー、メロディアスで躍動的なヤマシタタカヒサ（B）のベースがオーディエンスを惹き付けていった。

MCではクミコが「私が正しいイベントの言い方教えるから！」と勢いよく手を斜めに振りながら「スラッシュ！」とシャウト。「今日はそれくらい勢いのあるバンドが集まったということや。わかった？」と観客に説明する。そして自分たちのデビューのきっかけとなった3年前のキューン主催オーディションを振り返り「すごく緊張したし、KANA-BOONさんが優勝して腹が立ったし（笑）。でも私たちもキューンさんからデビューしまして。今に至ります」と語る。

MCの朗らかな雰囲気を一変させたのは新曲「ナナヒツジ」。クミコの刻む性急なリズムに乗せて、エモーショナルかつハイボルテージなツインボーカルが響きフロアを圧倒した。新曲の盛り上がりを推進剤に、3人はさらに勢いを加速させていく。コウスケの「みんなのおかげで本当に本当に楽しいです。キューン、不器用な僕らを愛してくれて本当にありがとうございます。KANA-BOON、めっちゃ愛してるよ」という言葉を経て、ラストナンバーの「ワンダーボックスII」へ。高揚した空気を保ったままシナリオアートのライブはクライマックスを迎え、3人は温かな拍手に見送られながらステージをあとにした。

オーディション枠3組目のCoupleは札幌出身のギターポップバンド。小林もも（Vo）の透明感のある歌声とカラフルなサウンドで、フロアに爽やかな空気をもたらす。続いて登場したのはBLUE ENCOUNT。「DAY×DAY」「ロストジンクス」からライブをスタートし、フロアのテンションを一気に上昇させる。続いては、2016年1月にシングルリリースする新曲のバラード「はじまり」を披露。それまでのアグレッシブなパフォーマンスから一転し、熱く丁寧な演奏と歌がフロアに響き、オーディエンスもじっくりと聴き入っていた。

曲が終わると田邊駿一（Vo, G）はKi/oon Music所属の先輩アーティストにまつわる自身の思い出を語り、「絶対届かないと思っていた場所に、所属アーティスト代表として出られるのがうれしいです」と喜びを明かす。が、話は彼らを除いた同世代同士でスプリットシングルをリリースしたKANA-BOONとシナリオアートに対する愚痴へと脱線。「知らないうちに一緒にCD出して！（笑）」とぼやきつつ、「あいつらがそういう態度なら俺らも仲良くなるつもりないんで（笑）、ここにいる全員と仲良くなっていこうと思います！」と絶叫し、フロアから大歓声を浴びた。

後半では「LIVER」「NEVER ENDING STORY」などアッパーチューンを連発し、場内の熱気を再び上げていく。最後の曲「もっと光を」の前、田邊はレーベルのスタッフに向けて「誰よりも俺らの音楽を愛してくれてる人たちがキューンの人たちです」と感謝を述べ、渾身の演奏でその思いを表現した。

フロアに和やかなひとときを提供したのはDJみそしるとMCごはん。彼女が冒頭で「おまんじゅうを作っていきたいと思います！」と宣言すると、相棒であるおまんじゅうシスターズが調理を開始。おみそはんはそれをバックに、軽妙なトラックに乗せて「スクランブルエッグ」「ホットパイ」「PIZZA」と空腹を誘う曲を振り付きでラップしていく。

中盤で彼女はステージに設置されたコンロにまんじゅうを入れた蒸し器をセット。「みんな頭から湯気出す準備できてるのか？ 湯気出せるか？」とユニークな煽りで会場を笑わせ、まんじゅうを蒸しながら「おまんじゅう」をパフォーマンスした。その後も彼女は「あの国民的漬物の曲歌います！」と「きゅうりのキューちゃん」を、「私のテーマソング聴いてください！」と「ジャスタジスイ」をドロップ。「ジャスタジスイ」の曲中で、彼女は「おまんじゅう、ご開帳のお時間です！」と蒸かしたてのおまんじゅうを披露した。そして観客が拍手喝采を送る中で、シナリオアートのクミコが呼び込まれ試食することに。あんこ嫌いというクミコだが、できたてのまんじゅうはそんな彼女に「おいしーい！」と言わしめる仕上がり。ほのぼのとした空気が会場を包み込む中、ラストナンバーの「あの素晴しい味をもう一度」が優しく響いた。

トリを飾るKANA-BOONは、4人全員がイベントのスタッフTシャツ姿。1曲目からヒット曲「なんでもねだり」を披露し、オーディエンスのジャンプでSTUDIO COASTは大きく揺れる。MCで谷口鮪（Vo, G）は「今日はいろんなバンドがキューンへの愛を語ってるけど、みんな形にはできてない！ その点俺らはどうですか！」と揃いのTシャツを自慢し、観客を笑わせた。

会場の一体感を高めた「結晶星」のあとは、新曲「talking」を演奏。飯田祐馬（B）のベースラインが牽引するソリッドなロックサウンドで観客を魅了する。「フルドライブ」でフロアが再び壮絶に盛り上がったあと、谷口はこの日のイベントについて「今日は若手ばかりなんやけど、これからの音楽シーンにキューンの若手が切り込んでいくという意味が込められているそうなんです」と説明。そして「今日集まったバンドはみんないい距離感やし、2回目や3回目があればいいなと」と自身の思いを語った。

そんな言葉のあとは「ダイバー」「シルエット」と、メジャーシングルとしてリリースした楽曲を連発。圧巻の演奏と力強い歌声で本編を締めくくった。アンコールでは谷口が「今日は僕らより若いバンドもいましたけど、気に入った人は応援してあげてください。僕らのことも忘れないでください（笑）」と挨拶。そして彼らが3年前のオーディションライブで披露した楽曲「A.oh!!」をエモーショナルに演奏し、原点回帰とも言えるパフォーマンスで「/ SLASH /」のエンディングを飾った。