GOING UNDER GROUND伊藤洋一、野音で涙のラストライブ

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GOING UNDER GROUNDの全国ツアー「TOUR 2008-2009 "LUCKY STAR"」のファイナル公演が、4月18日に日比谷野外大音楽堂で開催された。

寂しさを振り切るようにパワフルなパフォーマンスを見せた伊藤洋一(写真右)。

寂しさを振り切るようにパワフルなパフォーマンスを見せた伊藤洋一(写真右)。

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松本素生は伊藤との別れに耐えかねたのか、ラストで泣き崩れて会場の涙を誘った。

松本素生は伊藤との別れに耐えかねたのか、ラストで泣き崩れて会場の涙を誘った。

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このライブは昨年11月より、5カ月にわたって繰り広げられてきたロングツアーのファイナル。また、このステージを最後にメンバーの伊藤洋一(Key)がバンドを脱退することが既に発表されていたこともあり、開演前の会場にはライブ前ならではの高揚感と一抹の寂しさが混ざった、独特の空気が漂っていた。

開演時刻を少し過ぎた頃、ステージに一番最初に姿を現したのはこの日がラストライブとなる伊藤。満員のオーディエンスが両手を挙げて迎える中、他の4人もゆっくりとステージに現れる。河野丈洋(Dr)の力強いドラムソロが鳴り響く中、松本素生(Vo,G)は「晴れたね!楽しんでってね」と挨拶し、おなじみのナンバー「ハートビート」でライブの幕開けを飾った。

「スタンドバイミー」「Mr.Lonely」と、彼ららしい爽やかなナンバーで序盤は展開。MCで松本は、過去の野音ライブで雨にたたられ続けたことを引き合いに出し「3度目の正直だよ(笑)。昨日雨降ってきたから『出たー!』って思ってたんだけどね」と笑わせる。その一方、「知ってる人も多いと思うけど、よういっさんが今日の野音で最後のライブになります。子育てに専念するという、もう外タレのような理由なんだけど(笑)、今日はとにかくいいライブを、精一杯やれればいいかなと思っています」と語り、ステージに賭ける意気込みを見せた。

「頼むぜ、よういっさん!」という松本のかけ声に応えて伊藤のソロからスタートする「グラフティー」。伊藤はいつもどおりにステージを走り回り、オーディエンスを煽り続けるが、時折客席の様子を目に焼き付けるかのようにじっと目を凝らす。続く「同じ月」「夕」が奏でられる頃、ちょうど日比谷の空は薄闇に包まれ始める。薄暗くなった会場に映えるライティングが時間の経過を感じさせる。

この後のMCでも、以前の野音がよほど悔しかったのか再び“雨話”をはじめる松本。「この感じだよな野音って。ちゃんとみんなの声聞こえるもん、雨だと何も聞こえない(笑)。前回さんざん『雨男は誰だ!』って言われて、今回も野音決まったら友達やなんかからすごいブーイングされたんだけど、よかったよ晴れて」と嬉しそうに語る。そこへ中澤寛規(G)が「(雨男だと思われたくないから)雨降ったら日比谷には来ないって言ってたもんね?」と突っ込み、「そうだよ、これで日比谷線にも乗れるよ(笑)」と返すなど、ゴーイングらしい仲良さげなトークで和ませた。

そして河野がボーカルを取る「ラストダンス」、軽やかなリズムが空に響き渡る「How you do feel?」と、穏やかに続くライブ。9曲目「全ての音楽が鳴りやんだあとに」では、静寂に包まれた野音に松本の歌声が響く前半から、徐々に熱いグルーヴが生まれていく後半で、場内の空気を変えていく。「なんでぼくらは」では、優しいメッセージを歌うメロディと、河野のドラムと石原聡(B)が生み出す力強いリズムの対比に心をつかまれる。ライブ前半の山場とも言える演奏に、会場からは大きな拍手が沸いた。

後半戦に入る前、再び観客に向かって松本が語り出す。「5人でやるのが最後とかウソみたいです。みんなアルバム聴いてくれた?あのアルバムを5人で作れて本当によかったっていう、そういうアルバムなんで、借りてでもいいから絶対聴いてほしいです」「よういっさんがいなくなるって決まった時、これからどうしようかなって考えたんです。5人でゴーイングみたいなところがあるから、一度バンドを終わらせてまた新しく……ってことも考えたんだけど、俺バカだから、音楽やるしかないから。看板は下ろさずに続けていくことにしました。よういっさんにいい未来があるように、俺たちにもいい未来があるように、まだまだ歌おうぜ!」彼らしい言葉で伊藤とバンドへの想いを熱く語り、ファンも真剣な表情で聞き入っていた。

ライブ後半戦はアッパーチューン「TRAIN」で始まり、シリアスな空気が再び明るく爽やかなものに変わっていく。中澤のボーカル曲「ショートバケーション」ではステージの端まで行き過ぎた伊藤が慌てて駆け戻り、「Holiday」では電飾をつけたショルキーでイントロを奏でる。サビではオーディエンスとともにタオルを振り回す。そんな彼の一挙手一投足を、会場中のファンが笑顔で見つめていた。

熱狂のうちにライブ本編はまもなくラストへ。「TWISTER」の後半では感極まった松本が涙声になり、歌えなくなる一幕も。このあたりで徐々に目頭を押さえるファンの姿も目立ち始める。ラストは「旅立つ事はきっと さよならなんかじゃなくて」と、まるで伊藤を送り出すかのような歌詞が胸に残る「トワイライト」。力強い歌声と演奏で、本編を締めくくった。

5人がステージを去ってすぐさま始まったアンコールの拍手。それに応えて登場したメンバーは、それぞれオーディエンスに手を振る。松本が一言「ありがとう」と挨拶し、「センチメントエクスプレス」「ミラージュ」と、ロックバンドとしてのたたずまいを見せつけるナンバーを次々に披露。ラストの「世界のまん中」を歌う直前、松本は「ありがとう、それしか出てこないよもう。あんまりこういうこと言うのは好きじゃないけど、5人のライブを君らに観てもらえてよかった。またやろう!またやろうぜ!」と、伊藤との別れを惜しむかのように語った。

「世界のまん中」を終えてメンバーがステージからいなくなる前から、早くもダブルアンコールを求める拍手が沸き起こる。三たびステージに登場した5人は、ラストナンバーに向けての気合いと寂しさが入り混じったような表情を見せる。「最後に言っとくかな、青臭いことも」と松本がつぶやき、伊藤とファンに向けた最後のMCを語り始めた。

「寂しいね、俺寂しいです、よういっさんがいなくなるの。でも4人で新しいゴーイングをやるって決めたから。他によういっさんみたいな人がいるわけはないんで(笑)、よういっさんモドキみたいな人は入れません。この先は俺もソロをやるし、ゴーイングもせっかくやるなら新しいことをやりたいです。だから今までのゴーイングは今日ここでいなくなればいい、そのぐらいに思っています。来年はまたツアーをやるから遊びに来いよ!」

松本の言葉に拍手が起こり、いよいよ5人のゴーイングのラストナンバーが始まる。「最後に5人でやりたい曲をやります」と紹介して始まったのは「俺たちの旅」。伊藤のピアノのイントロが静かに鳴り響き、5人それぞれの音が柔らかなハーモニーを奏でていく。だが、曲後半では松本が再び涙声になり、もはや歌うこともままならない。他のメンバーもそれぞれ袖で目元を押さえ、上を向き、涙を必死にこらえている様子が伝わってくる。

そのまま曲は「521」へ続き、一旦松本も落ち着いて歌い始める。5人の鳴らす穏やかな音が日比谷野音をゆっくりと包み込むが、エンディングでの松本は完全な号泣状態に。客席にもすすり泣きの声が聞こえ始め、涙の中に最後の音が鳴り響いた。

崩れ落ちるように泣き出した松本が立ち上がると、伊藤がファンに向けて最後の挨拶を行う。「今までありがとうございました。俺が辞めるって言った時、4人はすぐ俺らで続けていくと言ってくれたんで安心してください。安心して次の曲を待っててください。このメンバーでライブができて最高です。すっげえ楽しかったです。あと、こうやって全国でみんなと一緒にライブができたこと、すっげえ楽しかったです。本当にありがとうございました!」伊藤も涙声で挨拶をし、客席に向かって深々と礼をする。松本は湿っぽさへの照れ隠しのように「カッコわりぃ……(笑)これがゴーイングだよ、覚えといてくれよ!」と客席に向かって叫んだ。

それぞれがステージに立っている最後の姿を目に焼き付けるように、お互いを見つめながら名残惜しそうに去っていった5人。最後までステージに残った伊藤はファンに向けて「さよなら!」と未練を振り切るように叫び、ゆっくりと姿を消した。

アルバムツアーながら懐かしいナンバーも積極的に取り入れ、伊藤のラストライブにふさわしい気合いの入ったパフォーマンスを繰り広げた5人。それぞれの未来を願いながら悔いのない歌を、演奏を披露し続ける真摯な姿勢と、彼らの強い絆が印象に残るステージとなった。

GOING UNDER GROUND TOUR 2008-2009 "LUCKY STAR"
2009年4月18日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01.ハートビート
02.スタンドバイミー
03.Mr.Lonely
04.グラフティー
05.同じ月を見てた
06.夕
07.ラストダンス
08.How do you feel?
09.全ての音楽が鳴りやんだあとに
10.トーキョー・キャンバス
11.LUCKY STAR
12.なんでぼくらは
13.TRAIN
14.ショートバケーション
15.Holiday
16.ボーイズライフ
17.TWISTER
18.Twinkle
19.トワイライト

EN1-01.センチメントエクスプレス
EN1-02.ミラージュ
EN1-03.世界のまん中

EN2-01.俺たちの旅~521

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としちゃん(40) @shimizutsy

ちょうど15年前のこの時間

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