レキシVSオシャレキシ東京の陣!“戦から和睦へ”一大絵巻描いた3時間

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レキシとオシャレキシ(Piano / 上原ひろみ)が12月28日、東名阪ツアー「レキシ 対 オシャレキシ~お洒落になっちゃう冬の乱~」の東京・豊洲PIT公演を開催した。

熱演を繰り広げるオシャレキシ(左)とレキシ(右)。(撮影:太田好治)

熱演を繰り広げるオシャレキシ(左)とレキシ(右)。(撮影:太田好治)

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8月20日の“ハニワの日”に行われたレキシの日本武道館ライブにて開催が発表されたこのツアー。全3公演の最終日となったこの日の会場には、2組がどのようなステージを繰り広げるのか期待に胸を膨らませる3200人のファンが詰めかけた。

ほら貝の音色が舞台の幕開けを告げると、紋付姿のレキシと健介さん格さん(G / 奥田健介 from NONA REEVES)、元気出せ!遣唐使(Piano, Cho / 渡和久 from 風味堂)、蹴鞠chang(Dr / 玉田豊夢)、御恩と奉公と正人(B / 鈴木正人 from LITTLE CREATURES)が姿を見せる。レキシが開口一番「ついにこのときが来てしまいました。東京、将軍様のお膝元です! どうなっちゃっても付いて来てよね? そして最後まで……レキシのこと忘れないでねー!」と叫ぶと、バンドは「狩りから稲作へ」のイントロを奏でた。「まさかの1曲目よ! その時点でいつもと違うでしょ!?」とファンの期待感を煽るレキシ。彼の言葉に大歓声で応える観客は「稲作中心!」というおなじみのコール&レスポンスで冒頭から大きく盛り上がる。そして「暮らし安心、クラシアーン!」とかけ声が響いたのを合図に健介さん格さんがギターソロをとると、その瞬間ステージ下手袖からオシャレキシが猛ダッシュでステージに現れ、勢いのままにピアノをプレイし始めた。

オシャレキシの驚きの登場方法とエモーショナルな演奏にフロアは大歓声を上げ、主役を奪われたレキシはぼう然と立ち尽くす。レキシは続けて「やめろ、やめろー!」と演奏を阻止しようと試みたが、オシャレキシはバンドの指揮を取り、息の合った決めのフレーズまで披露した。ステージを乗っ取った彼女にレキシは「一応聞くけど、あなたは誰ですか?」と問いかける。彼女は小さな声で「……オシャレキシ!」と名乗りを上げた。

レキシは演奏を終えた彼女を強制的に舞台から引き上げさせ、「よし、じゃあ気持ち切り替えて“Shake!”していこうか!」と仕切り直した。するとオシャレキシはTAKE島流し(Sax, Flute / 武嶋聡)、ほっぺた犯科帳(Tp / 類家心平)からなる「黒船ホーンズ」を引き連れ、「オシャレキシ」と書かれたのぼりを振りながら再登場。「やめて!」と反抗するレキシをよそにカウントを取り「姫君Shake!」をスタートさせた。なおオシャレキシはこのツアーの披露楽曲の選曲とリアレンジを担当しており、「姫君Shake!」はテンポを落とした朗らかなジャズナンバーに。彼女は全バンドメンバーとのソロの掛け合いを行って会場を一層盛り上げた。レキシは「何その1人1人に稽古つけるみたいなやつ。相撲か! ぶつかり稽古か!」と悪態をつきながら、しぶしぶこの曲を歌い上げる。

「次の曲やったら、みんなレキシのこと思い出すんじゃない?」というレキシの言葉からプレイされた「きらきら武士」も、健介さん格さんのアコースティックギターの音色をフィーチャーしたボサノバ調の楽曲に装いを変えた。レキシは「俺だっておしゃれにできますよ!」と対抗し「♪Twinkle, twinkle, 武士ー」と歌詞をアレンジ。しかし、ほっぺた犯科帳がレキシをステージ中央から押し退けてトランペットソロを披露したり、「♪眼鏡が星 ブーツィー 武士」のくだりではファンクのフレーズが挿入されたりと“オシャレキシ勢力”の自由な勢いは増すばかり。ついにレキシは「ちょっと、いつものレキシやろう!?」とオシャレキシと黒船ホーンズを退出させ、オリジナルのアレンジで楽曲をもう1度演奏した。

オシャレキシ(左)とレキシ(右)。(撮影:太田好治)

オシャレキシ(左)とレキシ(右)。(撮影:太田好治)[拡大]

オーディエンスと「武士武士武士!」の掛け合いで盛り上がり自身のペースをつかんだレキシは、満足げに「この調子で年貢納めていこうかー!」と「年貢 for you」を歌唱する。しかし楽曲が終盤に近づくと、電柱を模したパネルを隠れ蓑にした人物が彼に接近していく。気配を察したレキシが「あなたは誰!」と声をかけると、パネルの奥からオシャレキシが顔をのぞかせた。バンドメンバーが引き上げ2人きりになった舞台上でレキシが「寂しかったの?」と聞くと、小さくうなずくオシャレキシ。「あなたはおしゃれにし過ぎたんです。もうおしゃれにしないって約束できます?」というレキシの言葉に再びうなずいた彼女はもう1度ピアノの前に座った。

続く「ハニワニハ」は2人のセッションで披露された。軽やかなタッチで音を紡ぐオシャレキシは、レキシの自由な歌唱にぴったり寄り添った伴奏を披露する。曲中レキシは「トルコ行進曲」「残酷な天使のテーゼ」「魔王」などを歌う脱線を展開するが、オシャレキシは全てのアドリブに対応して美しいフレーズを返す。目を輝かせながら生き生きとレキシに向き合う彼女に、レキシは「もうそういうカラダなのね。誰も止められない。好きにやっていいよ。あなたは自由だ!」と観念したように声をかけた。

ついに和解を果たした2人。バンドもステージに戻り、続いて「salt & stone」がプレイされる。この楽曲はサンバ調にアレンジされ、蹴鞠changの激しいドラムソロにステージ上もフロアも熱狂。「憲法セブンティーン」はタイトルにちなんでイントロとアウトロに17拍子という変則的なリズムが取り入れられ、バンドが披露する息ぴったりのアンサンブルにオーディエンスは歓声を上げた。

そして本編最後の楽曲に選ばれたのは、レキシがこれまでライブで演奏したことのなかった「和睦」。この選曲に彼は「今まで1回もやったことがない曲だけど、レキシのテーマはラブ&ピースならぬラフ&ピースですから。最後にこの曲をチョイスしてくれて、ありがとうオシャレキシーー! 最後に和睦しよう!」と叫ぶ。楽曲はビッグバンドジャズの装いをまとい、レキシはステッキを手に軽快なステップを披露。続けてキーボードと向き合うと、オシャレキシとともに「お正月」のフレーズを奏でた。観客から「和睦!」と大きな掛け声が飛ぶ中演奏を終えたレキシは「まだアンコールありますから!」と予告し、メンバーとともにステージを後にした。

熱演を繰り広げるオシャレキシ(左)とレキシ(右)。(撮影:太田好治)

熱演を繰り広げるオシャレキシ(左)とレキシ(右)。(撮影:太田好治)[拡大]

彼らは言葉通りに舞台に戻り、レキシはこの公演が開催されることになったいきさつを語り出す。彼は「言ったらオシャレキシから私への有り余る愛情から生まれた公演なので。次はレキシへの愛をみんなで確かめたいと思いまーす!」という言葉とともに「LOVEレキシ」をプレイした。破顔しながら流麗なメロディを奏でるオシャレキシには、オーディエンスから「オシャレキシ!」とコールが送られる。そして、3時間にわたって描かれた一大絵巻はいよいよ終演に。レキシは「いろんなことを感じながらやっていたんだけど……1つだけ悔いに残っていることは、1曲目が中途半端に終わっちゃったこと! “キャッツ”もやってないしー! 最後にドキドキしていこう!」と、最後にもう1度「狩りから稲作へ」を届けた。オシャレキシはゴージャスなフレーズで楽曲を彩り、バンドメンバーもそれぞれに熱のこもったスキルフルなプレイでフロアを沸かせる。レキシは歌詞のフレーズを「♪レキシとオシャレキシ、どっちが好き?」と言い換えて歌唱し、LEDが発光する特別仕様の「オシャレ稲穂」を手にオーディエンスを盛り立てる。さらにおなじみの「キャッツ!」コールをオシャレキシに無茶ぶりするなど、やりたい放題のステージングでラストスパートをかけた。彼は「今年もありがとう。来年もキャッツキャッツ言っていくんで、よろしくお願いしまーす!」と叫び、21分間展開したこの楽曲を締めくくり。最後にメンバーは全員で手をつなぎオーディエンスの前へ。深いお辞儀から頭を上げた8人の表情は、充実感いっぱいの笑顔で満たされていた。

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レキシ&オシャレキシ「レキシ 対 オシャレキシ~お洒落になっちゃう冬の乱~」
2014年12月28日 豊洲PIT セットリスト

01. 狩りから稲作へ 乱入編
02. 姫君Shake!
03. 君がいない幕府
04. きらきら武士
05. 年貢 for you
06. ハニワニハ
07. salt & stone
08. 憲法セブンティーン
09. 和睦
<アンコール>
10. LOVEレキシ
11. 狩りから稲作へ オシャレキシ編

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きなまんなついろはこと @kinamannatsuiro

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