吉田山田、第2の故郷でプライベートパーティ

吉田山田のマンスリー企画「555ツアー」の名古屋公演「555ツアー～名古屋プライベートパーティ～」が、8月23日に愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて行われた。

6月からスタートしたこの企画ライブツアーは、吉田山田のメジャーデビュー5周年を記念して5カ月連続で計5会場にて実施されるもの。6月の東京・LIVE BAR BIG MOUTH公演、7月の大阪・なんばHatch公演に続く本公演では「名古屋プライベートパーティ」というサブタイトルにちなんで、ステージ上には自宅のリビングを彷彿とさせるセットを用意。テーブルやソファー、本棚や観葉植物などが設置されたステージ上で、ソファーに座った吉田結威（G, Vo）と山田義孝（Vo）が「ありがとう」からライブをスタートさせた。2人は薄暗い照明の中、アコギ1本を伴奏に絶妙なボーカルワークで独自の世界を作り上げていく。そして1曲歌い終えると、山田が「いらっしゃいませーっ！」と観客に挨拶。続いて吉田が「中ホール（ビレッジホール）、大きいですね。僕の部屋と同じくらいで」と言って観客を笑わせてから、改めてデビュー5周年を祝してジュースで乾杯。その後も吉田山田の2人はバンドメンバーを交えつつ、ゆったりした空気の中人気ナンバーを次々に披露した。

この日はステージ下手側に扉が用意されており、ここからバンドメンバーやゲストが吉田山田の家に遊びに来るかのように出入りをする。6曲終えてバンドメンバーが扉から出ていくとすぐに呼び鈴が鳴り、この日最初のゲストである片平里菜が登場。同じレーベル、かつ同じディレクターという共通点を持つ2組は大勢の観客を前にしながらも、「（プライベートパーティなので、観客が）いない体で」雑談を続ける。ここでは片平のラジオ番組に山田がメールを送り、それが読まれたことが明かされた。さらに片平が高校時代、体育の授業でパラパラをやっていたことにちなんで、急に山田に「里菜ちゃんの代わりに踊って」と吉田がムチャ振りをする。すると山田は「今日、たくさんの関係者の方とかナタリーさんとか来てるんだから！ 『山田、パラパラ踊る』って書かれちゃうじゃない！（笑）」と抵抗してみせるも、最終的には自分流のパラパラを披露して客席を沸かせた。

トークとパラパラでひとしきり盛り上がったあと、3人は片平が「歌詞にひねりがあって好き。The Beatlesみたい」とお気に入りの楽曲「魔法のような」で共演。3人でボーカルを分け合ったこのコラボでは、原曲とはひと味違った魅力が感じられ、客席からも絶賛の拍手が送られた。続いて吉田が「里菜ちゃんの歌詞の世界観は山田に似ている。絵が浮かんでくるところが山田の歌詞と一緒」と片平の書く歌詞を絶賛し、3人で片平の楽曲「夏の夜」「Come Back Home」をセッション。「Come Back Home」では観客との合唱で盛り上がり、この日最初のピークを迎えた。

続いて、片平と入れ違いで2人目のゲスト・マキタスポーツがステージに登場。いきなり「今日は（吉田山田の）2人にアイス・バケツ・チャレンジをやってもらおうと思って」と言って観客を笑わせたマキタだが、吉田が一方的に大ファンだったことで今回のゲスト出演が決まったという。吉田がマキタの魅力を力説すると、マキタは自身の音楽論を熱く語ってから持ちネタを披露。観客を爆笑の渦に巻き込んだところで、「誰が一番歌がうまいか決着をつけよう」と「歌うまい歌」を3人で熱唱。吉田はアコースティックギターを置いてハンドマイクで熱い歌声を聴かせ、マキタや山田は客席に下りてディナーショーばりのパフォーマンスを披露する。さらに山田はそのまま2階席にまで移動して歌うなどして、ファンから喝采を浴びた。

マキタが「明日から『吉田山田マキタ』をよろしくお願いします！」と言ってステージをあとにすると、ライブは後半戦に突入。山田が「テンション上がってきちゃった！ ここから飛ばしていきますよ。みんな、ついてこれますか？」と観客を煽ると、それまで着席していた観客は総立ち。吉田山田とバンドメンバーは「ツボミ」「光」「ごめん、やっぱ好きなんだ。」など、アップテンポのポップチューンを立て続けに演奏して客席を沸かせる。曲の合間には山田は「歌っててすごく幸せなんだけど、いろんな曲を歌ってると今まで出会ったいろんな人の顔が浮かんでくるんですよね」と感慨深げに語り、続けて吉田も「名古屋は第2のふるさと。初めてラジオのレギュラー番組が決まった場所です。そんな大切な場所でこういうプライベートパーティができて本当にうれしい」と、喜びを口にした。

いよいよライブもクライマックスへ。バンドメンバーがひと足先にステージをあとにすると、再びソファーに座った吉田山田は改めて感謝の言葉をファンに伝える。山田は次に歌う「日々」が誕生した経緯を話し、涙ぐみながら「これからもすごく大事な曲です」と前置きしてから今や大切な1曲となった「日々」を、気持ちをたっぷり込めて歌唱した。シーンと静まり返った会場には2人の歌とアコギの音、そしてすすり泣く声が響きわたる。演奏が終わると客席からは盛大な拍手が送られ、2人は笑顔でステージをあとにした。

その後アンコールを求める手拍子が客席から沸き起こるが、その手拍子は自然と吉田山田の楽曲「約束のマーチ」を合唱する歌声へと変わっていく。この感動的な合唱にステージへと引き戻された吉田山田は、「皆さんの歌、本当に感動しました！」と喜びを隠しきれない様子。そこから山田が「このツアーでは毎公演必ず、みんなが聴いたことのない新曲をやろうと思っていて」「『日々』を作ってから、親に対する感謝の言葉を歌にしたいなと思って。現時点での親への気持ちを歌にしました」と言って、未発表の新曲「お母さん」を初披露した。現時点では1コーラスしかないこの曲について、山田は「一生かけて完成させていきたいです」とコメント。母親への気持ちをストレートにつづった新曲は、早くもファンからあたたかく迎えられた。

そして再びバンドメンバーが加わり「水色の手袋」「Wonder」「夏のペダル」で客席を盛り上げると、ついに最後のナンバーに。「いやー、終わりたくない！」（吉田）、「ホント、終わりたくない！」（山田）とそれぞれ素直な気持ちを口にしてから、山田が「ここ名古屋は特別な場所。これからもいろんな思い出を作っていきたい」と語る。続けて吉田も「歌でみんなのそばにいたいと思うから、心を込めて歌います」と話し、ラストナンバー「約束のマーチ」を2人のアカペラからスタートさせた。吉田山田の熱唱に観客はじっくりと聞き入り、そこからバンド演奏が加わると会場はピースフルで温かい空気に包まれる。こうしてプライベートパーティと呼ぶにふさわしい親密な雰囲気のライブは、3時間以上の熱演を経て幕を下ろした。

なお吉田山田は9月28日に福岡・イムズホール、10月18日に東京・Zepp DiverCity TOKYOで「555ツアー」を敢行。本日8月26日からは愛知・アスナル金山内明日なる！広場を皮切りにニューシングル「日々（みんなのうた映像付）」のリリース記念イベントをスタートさせる。