1月31日の東京・WWWを皮切りに、全国3都市で実施されたこのツアー。ファイナル公演は彼女の地元福島にある思い出のライブハウスで、約250人およぶ幅広い世代の観客を前にアットホームなステージが繰り広げられた。ライブはまず、片平の弾き語りによる「澄んだ瞳の先は」からスタート。薄暗い照明が徐々に明るくなっていく中、片平は感情を抑え気味にギターの弾き語りを披露する。続いて田村玄一(G, Pedal Steel, Steelpan, etc.)、TATSU(B)、伊藤大地(Dr)というそうそうたる面々がバックバンドとして加わると、片平はデビューシングル「夏の夜」をリラックスした表情で歌い上げた。
2曲歌い終えると片平はMCで「大雪の中、来ていただいてうれしく思います。皆さん大丈夫でしたか?」と、前日の記録的な降雪について触れる。そして「地元の人も遠くから来た人も、精一杯楽しんでいきましょう」と言うと、「baby」「Hey boy!」など勢いのある楽曲で会場の熱気をヒートアップさせていった。特に「Hey boy!」では観客とのコール&レスポンスを繰り返し、いつもより大きなリアクションに喜びを隠しきれない片平は女性だけ、男性だけでコール&レスポンスを行うなど観客とのコミュニケーションを楽しんだ。
ライブ中盤には比較的緩やかな楽曲を連発。「今日はお母さんの誕生日なんですよ」と笑顔で語る片平は、そんな母親のことをつづった「ぺんぺん草」をしっとりと歌う。そして曲のエンディングではそのまま、会場を訪れていた自身の母親に向けて「Happy Birthday To You」を観客とともに合唱した。会場内が一気に祝福モードになったところで、片平は「恥ずかしいですよね(笑)。でも母がいなかったら、こんなにいろんな曲を作れなかったと思う」と会場の母親に向けて感謝の言葉を送る。さらに彼女はキャロル・キングのカバー「You've Got A Friend」などを歌唱して、そのピースフルな空気を増幅させていった。
ライブ後半は最近作ったという新曲「最高の仕打ち」から、再びロックモードに突入。片平はパワフルで伸びやかな歌声を会場に響かせると、さらなる新曲「Oh JANE」でハッピーな空気をフロアに充満させる。小気味よいノリのポップチューンは早くも観客から歓迎を受け、曲中のハンドクラップではさらなる一体感を得ることができた。そして片平がアコースティックギターから初めてエレキギターに持ち替えると、客席からどよめきの声が上がる。2ndシングル「女の子は泣かない」のジャケットにも登場したチェリーレッドのエピフォン・カジノを抱えた片平は、「ここで発表があります。3rdシングル発売が決定しました! まだ発売日やどんな曲かは決まってないんですけど、楽しみにしていてください」とファンに向けてサプライズ発表をした。フロアからひときわ大きな歓声と拍手が上がると、そこから「女の子は泣かない」に突入。フロアが笑顔で満ちたところで、片平は「始まりに」を感情豊かに歌い上げてライブ本編を終えた。
アンコールでは新たに決定したイベント出演について告知。中でも4月26日に福島・郡山HIP SHOT JAPANでGoose houseとのライブ決定が告げられると、会場からは驚きと喜びの声が上がる。片平は「週末には福島でインストアイベントもあるし、また近々皆さんと会えそうな予感がします」と微笑みながら話し、続けて「一緒に歌いましょう」と観客に呼びかけて「Come Back Home」を歌い始めた。この曲ではさらなる大合唱となり、片平は曲のエンディングで観客だけでなく、会場スタッフやバーカウンターのスタッフにまで合唱に加わるように呼びかけた。
こうして大きな盛り上がりを見せたライブも、いよいよ終わりが近付く。ここで片平は先日福島・浪江町の仮設住宅を訪れたことを明かし、「『Come Back Home』を歌ったんですけど、帰り道で『この曲を歌ってよかったのかな?』と罪悪感を感じてしまって」と本音を口にした。そして「改めていろんなことを考えていかなくちゃと実感しました。これからも福島のことを思って、歌っていきたい」「次の曲は18歳のとき、自分の苦しみから逃れるために書いた曲だったけど、震災以降は被災地のことを思いながら歌うようになりました」と語り、「amazing sky」を弾き語りで披露。感情がたっぷり込められた片平の歌に観客は惜しみない拍手を送り、約2時間にわたる初ワンマンツアーの最終公演は大成功のうちに幕を閉じた。
なおナタリーではライブ終了後、片平にツアーの感想を聞いた。
片平里菜コメント
──初のワンマンツアーを終えた率直な感想は?
初ワンマンなのにどの会場でもお客さんがあったかくて、大盛況だったなって。意外とワンマンツアーってやれてしまうものなんだなと思いました。あと自分自身、細かい課題がすごく見えたツアーでしたね。
──例えばどういった課題が?
音楽の基本的なところですね。グルーブとかピッチとか、バンドの一体感とか会場の盛り上げ方とか、もっと追求できるんじゃないかなって。
──去年弾き語りで全国を回りましたけど、今回のワンマンツアーはそれとも違った?
違いましたね。弾き語りだと私のことだけを集中して観てくれるんですけど、バンド編成だと自分を強く持たないと埋もれてしまうんで、そこがまだまだだなって思いました。あと弾き語りだと会場全体がワーッて盛り上がることはあまりなかったから、そこは大きな違いかな。
──ではツアーを通じて、けっこう自分なりによくできてたと思う部分は?
1時間半から2時間のワンマンライブをなんとかやっていけるんだなって。こんなに長時間ライブをすることはほぼなかったので。あとMCもそんなにガチガチにならずにおしゃべりできたし、ワンマンならではのホーム感があったのでホッとできました。
──今後のツアーに向けて、新たな目標はできましたか?
そうですね……なんか、何かが足りない感じがしているので……うん。もっとライブ自体に酔いしれることができるような余裕ができたらいいなと思いました。
片平里菜 1stワンマンツアー2014 “女の子は泣け、笑え、叫べ”
2014年2月9日(日)福島県 Live Space C-moon セットリスト
01. 澄んだ瞳の先は(弾き語り)
02. 夏の夜
03. tiny room
04. baby
05. Hey boy!
06. 小石は蹴飛ばして
07. ぺんぺん草
08. Happy Birthday To You
09. 心は
10. You've Got A Friend
11. 最高の仕打ち
12. ironic
13. Oh JANE
14. 女の子は泣かない
15. 始まりに
<アンコール>
16. Come Back Home
17. amazing sky(弾き語り)
awake or asleep Vol.1
2014年2月27日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
<出演者>
the band apart / 神聖かまってちゃん / PASSPO☆ / 片平里菜
バイザラウンドSO企画「まっすぐに I Love You SO 宮古編」~みんなで弥良幾に会いに行こう!~
2014年3月9日(日)岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
<出演者>
バイザラウンド / アルカラ / LACCO TOWER / 片平里菜
飯坂温泉「おと酔いウォーク2014」
2014年3月22日(土)福島県 福島市飯坂町「飯坂温泉街」6会場
片平里菜×Goose house Special Live “連休頃に遊びにきっせ”
2014年4月26日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
<出演者>
片平里菜 / Goose house
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