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ガガからアンパンマンまで!桑田佳祐「ひとり紅白歌合戦」

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桑田佳祐が11月30日、12月1日、3日、4日の計4日間にわたって「Act Against AIDS 2013 桑田佳祐『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』」を、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催した。

これはエイズの知識についての啓発運動である「Act Against AIDS」の活動の一環として企画されたもので、「ひとり紅白歌合戦」は2008年以来2度目の開催となった。ライブは桑田がたった1人で自身の楽曲を交えながら、日本の音楽シーンを彩ってきた名曲を白組と紅組にわけて歌い上げるというもの。最終日となった昨日12月4日の公演は約4時間におよび、桑田はGS、昭和歌謡、演歌、ポップス、ロックなどさまざまなタイプのナンバーを合計55曲歌唱した。

オープニングを飾ったのは、1936年に発表された藤山一郎「東京ラプソディ」。紗幕が上がりスーツ姿の桑田が朗々と歌いながら登場すると、歓声と拍手が沸き「ひとり紅白歌合戦」が始まった。続けて桑田は紅組の1曲目として高峰秀子「銀座カンカン娘」を、ショーガール風の衣装を着たダンサーを従えて艶やかに熱唱。最初のMCで「のんべんだらりと好きな歌を歌うだけなんですけど……」とライブの意図を説明し、「今日は長くなるから! 立ってるとバテるから」と観客を着席させると「GS・ビート歌謡対決」と銘打ったコーナーへ移った。同コーナーの口火を切ったのは、3日に再結成ライブを行ったことでも話題のザ・タイガース「銀河のロマンス」。さらに桑田の血肉になったという、オックス「スワンの涙」、ピンキーとキラーズ「涙の季節」といった1960年代後半に一世を風靡した名曲群が歌い上げられる。満員のオーディエンスは、バンドが奏でるノスタルジックで哀愁漂うサウンドや、曲ごとに変化する桑田の歌声に酔いしれた。

続いてのコーナーでは、フォークソングとニューミュージックをフィーチャーした対決企画が展開され、ここで桑田は森山良子「この広い野原いっぱい」、風「22才の別れ」などを映像演出を交えながら歌唱した。イルカの「なごり雪」では歌詞に沿った映像が上映され、その中で桑田は女装姿で白熱の演技を披露。じっと歌声に聴き入っていた観客だったが、その映像を観た瞬間に吹き出していた。さらに「バブルからの贈り物対決」と銘打たれたブロックでは尾崎豊「I LOVE YOU」、松任谷由実「春よ、来い」などを歌い上げ、それぞれの楽曲の魅力を桑田流の味付けで届けていく。また「200曲くらいリストアップしたの。当たり前ですけど、自分が知らないいい曲もあって」「コイツ才能あるな。いい曲作ってるなっていうのがあって」という言葉から、槇原敬之の「遠く遠く」を丁寧に歌い上げる一幕もあった。

ライブの折り返し地点では“審査員”に扮した爆笑問題が不謹慎な時事ネタで観客を笑わせる演出を挟み込んだのち、「昭和歌謡大ヒットメドレー」で懐かしい空気が送り込まれる。大胆なスリットの入ったドレスを着たダンサーたちがセクシーに踊った西郷輝彦「星のフラメンコ」、ローラのモノマネをする福田彩乃の映像が笑いを誘った「傷だらけのローラ」など、手の込んだ演出が続出。“ヅラ山田洋とクール・ファイブ feat. 桑田佳祐”として披露された「東京砂漠」の途中では、1人6役に挑戦した映像をバックに自身の「おいしい秘密」を歌い上げ観客を喜ばせる。ユーモアたっぷりの演出の一方で、桑田は坂本九の「見上げてごらん夜の星を」やちあきなおみ「喝采」などを愛情を込めて歌い上げ、楽曲のよさを観客に伝えていた。

中盤で会場が熱狂したのは、サザンオールスターズのメンバーがドリフの面々に扮したドリフメドレーのコーナー。「8時だョ!全員集合」の掛け声でステージに集合した桑田を含むサザンの5人は、コントを混ぜ込みつつ「ドリフのズンドコ節」「いい湯だな」で会場にハートウォーミングな空気をもたらした。そして平原綾香「Jupiter」が高らかに披露されたあとは、「やっぱり現役も負けてられてられないよねコーナー」が始まり、aiko「カブトムシ」を皮切りに、いきものがかり「ありがとう」、斉藤和義「やさしくなりたい」など近年のヒットソングが続く。休む間もなく始まった「TOKIOロックスター対決」で桑田はアン・ルイス「六本木心中」と沢田研二「TOKIO」の2曲を続けて熱唱。「TOKIO」ではパラシュートを模したパラソルを背中に装着し、曲の途中でフライングに挑戦する驚きの演出も。桑田は「ホントは怖いの!」とこぼしながらも、華麗な飛行でオーディエンスの視線を奪った。

小泉今日子「なんてったってアイドル」と郷ひろみ「男の子女の子」が披露された「スーパーアイドル対決」が終わると、ライブ本編もいよいよ佳境に。ラストコーナーは「R-15指定!愛と欲望の守護神対決」が繰り広げられた。ここでは桑田が2020年の「東京オリンピック」開催決定に伴って“エロパワー”を取り戻した90歳の“ジジイ・ガガ”になり切り、独自のメッセージを乗せてレディー・ガガの「Born This Way」を歌い、さらに続けて三波春夫「東京五輪音頭」をパフォーマンス。最後は「Born This Way」と「東京五輪音頭」のトラックがマッシュアップされた和洋折衷のサウンドが会場中に響いた。

アンコールのハイライトとなったのは、2013年に惜しまれつつ亡くなった先輩たちに捧げる追悼コーナー。「アンパンマンのマーチ」がアンパンマンの作者・やなせたかしに捧げられ、島倉千代子に向けては「愛のさざなみ」が歌い上げられた。長時間におよんだ「ひとり紅白歌合戦」もクライマックスに突入すると、紅組のラストナンバーとして美空ひばりの「川の流れのように」が会場を感動の渦に巻き込む。ひばりの在りし日の姿を彷彿とさせるきらびやかな衣装に身を包んだ桑田の姿に観客はため息を漏らすも、途中でスカートの裾が大きく広がり、桑田が徐々に高くせり上がっていくという予想外の演出にどよめく。オーディエンスは小林幸子ばりの衣装演出に驚きつつ、桑田のたおやかな歌声に酔いしれた。そして「第二回ひとり紅白歌合戦」の大トリを飾ったのは「笑って許して」。客席から乱入した和田アキ子ならぬ“和田アキ男”を前に、桑田は情熱的な歌声を響かせる。その後、「こんな終わり方でいいんでしょうか」とぼやきながら、サザンのメンバーも呼び込み「今年もホントに充実した1年でした」と「歓喜の歌」をオーディエンスと大合唱。「今年もありがとうございました! AAAの活動は続きます」と叫び、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」をバックに万歳三唱を行う。そして桑田はファンとの別れを惜しみながら舞台袖へと消えていった。

桑田佳祐「Act Against AIDS 2013 桑田佳祐『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』」
2013年12月4日 神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール セットリスト

01. 東京ラプソディ / 藤山一郎
02. 銀座カンカン娘 / 高峰秀子
03. 銀河のロマンス / ザ・タイガース
04. 虹色の湖 / 中村晃子
05. スワンの涙 / オックス
06. 涙の季節 / ピンキーとキラーズ
07. 小さなスナック / パープル・シャドウズ
08. 涙のかわくまで / 西田佐知子
09. エメラルドの伝説 / ザ・テンプターズ
10. 京都の恋 / 渚ゆう子
11. 若者たち / ブロード・サイド・フォー
12. この広い野原いっぱい / 森山良子
13. 風 / はしだのりひことシューベルツ
14. なごり雪 / イルカ
15. 22才の別れ / 風
16. わかれうた / 中島みゆき
17. I LOVE YOU / 尾崎豊
18. 恋におちて -Fall in love- / 小林明子
19. リバーサイドホテル / 井上陽水
20. 桃色吐息 / 高橋真梨子
21. 遠く遠く / 槇原敬之
22. 春よ、来い / 松任谷由実
23. グッドナイトベイビー / ザ・キング・トーンズ
24. 小指の想い出 / 伊東ゆかり
25. 星のフラメンコ / 西郷輝彦
26. 太陽がくれた季節 / 青い三角定規
27. 傷だらけのローラ / 西城秀樹
28. 手紙 / 由紀さおり
29. 港町ブルース / 森進一
30. 恋の奴隷 / 奥村チヨ
31. シクラメンのかほり / 布施明
32. みずいろの手紙 / あべ静江
33. 東京砂漠~おいしい秘密 / ヅラ山田洋とクール・ファイブ feat. 桑田佳祐
34. 北の宿から / 都はるみ
35. 見上げてごらん夜の星を / 坂本九
36. 喝采 / ちあきなおみ
37. ドリフメドレー / ザ・ドリフターズ
38. Jupiter / 平原綾香
39. カブトムシ / aiko
40. ありがとう / いきものがかり
41. イージュー★ライダー / 奥田民生
42. やさしくなりたい / 斉藤和義
43. 六本木心中 / アン・ルイス
44. TOKIO / 沢田研二
45. なんてったってアイドル / 小泉今日子
46. 男の子女の子 / 郷ひろみ
47. どうにもとまらない / 山本リンダ
48. Born This Way~東京五輪音頭~Born This Way / ジジイ・ガガ
49. SOMEDAY / 佐野元春
50. ひだまりの詩 / Le Couple
51. アンパンマンのマーチ / ドリーミング
52. 愛のさざなみ / 島倉千代子
53. 帰ろかな / 北島三郎
54. 川の流れのように / 美空ひばり
55. 笑って許して / 和田アキ男

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