土岐麻子の「大人の沼」 ~私たちがハマるK-POP~ Vol.9 [バックナンバー]
2021年を彩った、トワイライト気分な10曲
SSWからラッパー、アイドルグループまでをプレイリストでお届け
2021年12月23日 12:00 4
シンガー
取材・
アルバム制作をともにした10曲
「イカゲーム」ならぬ、「KPOPオタクのイカちゃん」とコラボしたゲーム「カムバックすごろく」(参照:土岐麻子プロデュースの「カムバックすごろく」で遊ぼう)から始まった「大人の沼」の2021年でしたが、早いものでもう年末ですね。今年は夕暮れをテーマにしたアルバム「Twilight」を作ったんですけど、その制作期間によく聴いていたK-POPの楽曲を10曲、紹介していきたいと思います。いつもこの連載ではK-POPアイドルを中心に語っていますが、そこからセレクトすると本当に王道というか皆さんご存知のものばかりな選曲になってしまいそうなので(笑)、今回は広い意味でのK-POPというセレクトにしました。
1. LambC「Real Love」(2021年)
LambC(レムシー)さんには、「Twilight」に「Mirrors」という曲を提供していただきました。彼の音楽を知ったのは確か一昨年かな。サブスクでいろんな曲を聴いていたら「Lady」という曲に出会って、それにまずハマりまして。いわゆるソウルやR&Bをベースにした今っぽいサウンドなんですけど、ちょっとメロウな要素があって、韓国語の歌い方も滑らかで素敵だなと思いました。歌い上げても熱すぎないタイプというか、すごくソフトに聞こえるボーカルなんですよね。アー写によってK-POPアイドルみたいなビジュアルに見えたり迫力ある感じに見えたりいろいろなんですけど、ライブで歌ってる姿を見たら、メガネをかけて普段着で、音楽仲間にいそうな感じというか、自分に近いものを感じました。曲によってミニマルなロック調だったりスティーヴィー・ワンダーみたいなソウルな曲もあったり、自由自在なイメージです。ネットの情報では、バークリー音楽大学で作曲とエンジニアリングを学んだとか。「Real Love」は11月にリリースされたばかりの新曲ですが、夕暮れを見ながら聴きたい曲リストの上位に入れたい曲です。
コロナ禍で家にいる時間が長くなってきて、いろんな人とコンタクトを取ってみようという気持ちになって。それで拙い韓国語でInstagramのLambCさんのスタッフアカウントにDMをしてみたら返信をいただいて、一緒に制作できることになったんです。「Mirrors」は私が聴いていたLambCさんのメロウな楽曲とは少し違ってダンサブルなサウンドなんですけど、趣味で聴いていた音楽が自分の作品につながるという喜びを感じましたね。
2. Meego「Painting」(2019年)
6. dress「Painting School」(2018年)
Meegoさんは、K-POPを聴き始めてすぐの頃に好きになりました。チェット・ベイカーを思い出すような、男性ボーカルにしては珍しいタイプのジャズシンガーっぽさがあって。この「Painting」もですけど、Meegoさんは全部いいですね。声に色気があって、情緒的だけどベタっとしていないというか、上品で暑苦しくない感じ。UKロックのような鬱屈感と静謐な感じが同居していますね。
Meegoさんの前にまず行き着いたのがdressさんでした。dressさんはMONSTA Xの事務所STARSHIPの系列であるHIGHLINEに所属してるんですけど、モネク(MONSTA X)メンバーが参加している「COOL LOVE」という楽曲をdressさんがプロデュースされていて。まずdressさんのことが気になって、インスタでずっと活動を追っていたんです。プロデュースする作品によって多様な曲調を聴かせてくれますが、いずれも洗練されたサウンドで、Kid Milli氏と共同名義の作品も出しています。dressさんはいろんなタイプのアーティストを手がけているんですけど、その中で素晴らしいボーカルの曲があって、調べてみたらMeegoさんだった……という順にハマっていきました。
3. Cosmic Boy「Can I Love ? (Feat.youra,Meego)」(2019年)
この方は音楽プロデューサーなので、自分で歌うのではなくいろんな人とコラボしていらっしゃいますね。「Can I love?」は全曲よくて、ずっと聴いてました。この表題曲はMeegoさんも参加している曲です。いろいろ掘っていくうちにたどり着いたのがCosmic Boyさんで、そのことは去年の(オカモト)レイジくん(OKAMOTO'S)との対談のときもお話ししましたね(参照:アイドルからヒップホップまで、オカモトレイジが選んだ10曲(後編) )。いい声をセレクトする感性がすごいなと思っています。とてもおしゃれなんですけどそこに留まらず構成やメロもよくて、ポップスとしてすごく構築されていて飽きないですね。4. OLNL「BLUETOOTH(Feat. Kid Milli)(Prod. sec paul)」(2019年)
OLNLさんも「Can I Love?」に参加していますが、すごくいい声でハマってしまいました。Cosmic BoyさんとOLNLさんのareyouchildishっていうユニットもすごく好きなんです。ラッパーなんだけど、歌ってもとても映える声で。声だけ聴いているとすごく体格のいい方をイメージするんですが、ミュージックビデオを観たら朴訥としたかわいらしい感じの青年で、ちょっと驚きました(笑)。入り口がアイドルでも、K-POPを掘り下げていくとヒップホップに行き着くことが多くて、そこが面白いところだなと思います。
5. MONSTA X「Sorry I'm Not Sorry」(2020年)
モネクの曲はいつもスタイルを更新していて好きなんですけど、これは「Fatal Love」というアルバムの最後に入ってる曲で、「最後にして変化球! 超名曲来た!」って、インスタのストーリーズに興奮気味に投稿しちゃったくらいでした(笑)。K-POPってメンバーそれぞれ歌の持ち味が違うので、場面が転換し続けてく曲が多いと思うんですが、この曲は淡々と同じメロディを歌っていく、すごく自制の効いたポップスだなと。こういう曲をアルバムに入れようと思ったメンバーはすごいと思いましたね。私のラジオでも積極的にかけていますし、トワイライトタイムにこれを聴きながら空を見ていると最高な夕暮れを感じられます。K-POPに疎いヘアメイクさんとかに薦めたら「作業中ずっとかけてる」って言ってくれる人もいて。中毒性のある曲だなと思います。
モネクは、ショヌさんが今年7月に兵役に行ってしまったんですが、残ったメンバーで11月に出したアルバム「No Limit」はすごく音楽的に吹っ切れている感じがしました。メンバーが曲作りにも積極的に参加しているからよりアーティスト感も強まっていて、「このメンバーでしっかりやっていくぞ」という意思を感じました。
Seung-il Chang(張 勝一) @smileschang
土岐麻子さんによるK-POP年末総集編。いや、知らん人&知らん曲ばっかりやし。ええお勉強になりました~(*^^*)
https://t.co/TDu3hAz5uY