東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「カンヌ監督週間 in Tokio 2025」にて、12月13日に映画「
第3回目の開催となる本イベントは、カンヌ国際映画祭「監督週間」に選出された最新ラインナップを日本国内でいち早くスクリーンで鑑賞できる特集上映会。「見はらし世代」は日本人監督として史上最年少の26歳で団塚が「監督週間」に選出された作品で、第78回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミアが行われた。団塚は「再びこのような形で上映できて、とてもうれしいです」と喜びを口にする。
団塚の長編デビュー作「見はらし世代」では、再開発が進む東京・渋谷を舞台に、胡蝶蘭の配送運転手として働く主人公・蓮が、母の死をきっかけに疎遠になった父との関係を見つめ直すさまが描かれる。黒崎煌代が蓮、遠藤憲一がランドスケープデザイナーとして働く父の初、木竜麻生が結婚を控える姉・恵美を演じ、井川は母・由美子に扮した。
まず「監督週間」への選出ポイントについて、レジは「息子と父親の関係性を描いた物語が感動的であると同時に、東京という都市を美学的に捉え、そこでの若者の在り方を描いている。(そのテーマの)選び方にとても惹かれた」と評価。団塚は「“変わっていくものを描く”ことが映画の持つ特性だとしたときに、そのまま映画にしたいと思い、街が変わっていくこと・家族が変わっていくことを映画にしようと思いました」とテーマを選んだ理由を説明する。さらに渋谷を選んだ理由について「自分の父(団塚栄喜)が宮下パークのデザインをやっていて、そこに対しての思いもありましたが、これまでに納得できる形で渋谷が描かれた映画がなかった。どうすれば“人が街を作っていて、街が人を作っている”感じを出せるかを考えながら撮影しました」と語った。
レジから“都市と若者の関わり”について問われると、団塚は主人公・蓮について「明確な個人の意志を持たずに、街を漂流している」存在だと表現。そして急速にスクラップアンドビルドが進む“空洞化された都市”渋谷と、喪失感を抱える“空洞化された若者の心”を重ね合わせたと明かす。井川は、都市の風景描写にとどまらず、社会的な問題や人の心の揺れを捉えている作品であると述べつつ、「人が無意識にそこで過ごしている“時代の流れ”をこのように切り取った映画は、ドキュメンタリー的な“記録”でもあり、同時に物語のある“作品”でもあって。10年、20年経っても振り返られる映画だと思う」と称賛した。
さらに井川は、作中の時代設定である10年前と現在で変化する家族観や夫婦の関係性を、若い世代の監督が鋭く描いている点にも言及。「とても若い監督ですが、2度目の人生なんじゃないかと思うくらい自分よりもずっと成熟している」と井川から評された団塚は「たくさんの方に支えられながら作った映画です。ご一緒してくださってありがとうございます」と改めて感謝を伝えた。
「見はらし世代」は各地で上映中。「カンヌ監督週間 in Tokio 2025」は12月25日までヒューマントラストシネマ渋谷にて開催している。
映画「見はらし世代」予告編
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出町座 @demachiza
家族を繋ぎとめる存在であった母・由美子をワンダラスに演じられた井川遥さんもご登壇。
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