韓国映画「
本作の主人公は、製紙会社で25年間、堅実に仕事をしてきたマンス。彼は郊外の大きな家で“理想的”な人生を送っていたが、ある日、突然会社から解雇される。再就職にも失敗したマンスは、「ライバルがいなくなれば、仕事は手に入る」と思い立ち、ある決断を下すのだった。
普遍性があるモチーフだと確信できた
ドナルド・E・ウェストレイクの小説「斧」に惚れ込み、20年ほど前に映画化を企画したパク・チャヌク。長年その情熱を失わずにいられた理由を問われると「まず非常に単純な理由でありながら最大の理由なんですが、映画化したいと考え、実際に脚色もし、脚本も書き、そして何度も書き直していたんです。ロケハンのためにカナダや米ニューヨークに行って、ストーリーボードまで作っていた。情熱を失わなかったというよりも、せっかく誠意を注ぎ込んだ作品なので、あきらめるのはもったいないと思っただけなんです」と述べ、「その間あちこちの映画祭に行ったり、各地の友達に会うたびに『次の作品はこういうものを準備してるんだ』と話したのですが、みんなが『面白そうだ』と言ってくれたんです。『自分たちの国でもたぶんこの話なら共感できる』と言われ続けて、この作品は普遍性があるモチーフなんだと確信できたのも理由です」と伝えた。
続けてパク・チャヌクは「劇中、息子がある問題を起こして、警察に連れて行かれますよね。父親のマンスがそれを解決しようとします。マンスは仕事を失って失業者になったときには、男としても家長としても、自己肯定感をなくしていたわけですが、ある選択をすることによって、自信を回復していく。息子の犯罪の件に関しては、積極的に介入して、警察で嘘をつけ、偽証をしろと教える。その場面が非常に悲しくもあり、面白いとも思えたんです。マンスは道徳性が堕落してしまっていて、父親から息子にそれが受け継がれてしまう。これはすごい内容だなと。この小説を映画化するという作業は、たいそうなことだと感じていました」と言及。そして「マンスは、家族を守るために自分が道徳的に堕落していくことを受け入れました。しかし、もしかしたら本人はそれを意識していなかったかもしれないのです。意識していないまま、自分は家族を守るんだと思い込んで、闇を抱えてしまったのかもしれない」と分析し、「実際のところ、家族のためだけではなかったと思います。彼はかなり身勝手で、自分は製紙業の仕事にしがみつきたいという気持ちがあった。そして製紙業に従事していることに対しての自負心が強すぎて、それ以外の仕事はしたくないと思っていたとも思うんです。ほかの仕事を探して、それで食べていくこともできたのに、紙を作る仕事にこだわっていた。口では家族のためと言いながらも、結局は自分のため。もちろんその背景には家族のためを思ってのこともありましたが、結果的に彼の行動によって家族が変わっていくのです」と説明した。
イ・ソンミンとヨム・ヘランは深い洞察力を持った俳優
取材会では、ボムモとアラ夫婦に扮した
俳優は取り替えることできない
最後に映画の未来に触れ、パク・チャヌクは「私自身も予測ができませんし、AIの発展のスピードもまったく予想ができない。ただ漠然と絶対に俳優だけは変えられないと思っています。例えば、AIでその方の顔をスキャンすれば、同じ表情を作るのは理論上可能なわけです。でも本人には絶対に勝てないと思います。ほかのことは変えられても、俳優さんは取り替えることできないと思います」と述べた。
「しあわせな選択」は全国で上映中。
映画「しあわせな選択」本予告
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パク・チャヌク「しあわせな選択」と映画の未来語る「絶対にAIは俳優に勝てない」 https://t.co/B2mK2Teb4o