香川照之主演「災 劇場版」の何が怖いのか?背筋、関友太郎、平瀬謙太朗がトーク

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災 劇場版」のトークイベントが本日3月6日に東京・武蔵野館で行われ、ホラー作家の背筋、監督の関友太郎平瀬謙太朗が登壇した。

「災 劇場版」トークイベントの様子。左から背筋、関友太郎、平瀬謙太朗

「災 劇場版」トークイベントの様子。左から背筋、関友太郎、平瀬謙太朗

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本作は、WOWOWで放送・配信された全6話の「連続ドラマW 災(さい)」を大胆に再構築し、ドラマ版とは異なる恐怖の形を描いたサイコサスペンス。葛藤を抱えながら生きる罪なき6人の日常に、香川照之演じる“男”がいつの間にか紛れ込み、やがて6人の人生に災いが降りかかる。

「災 劇場版」より、香川照之演じる“男”。彼は姿、口調、性格、所作を変えて、葛藤を抱えながら生きる罪なき6人の日常に紛れ込む

「災 劇場版」より、香川照之演じる“男”。彼は姿、口調、性格、所作を変えて、葛藤を抱えながら生きる罪なき6人の日常に紛れ込む [高画質で見る]

映像の構造や手法を作り、そこに肉付けしていく形で作品を作っていくという関と平瀬。もともと香川演じる男は殺人鬼の設定だったそうだ。平瀬は「タイトルを決めなきゃという段階で厄災みたいなキーワードが出てきたんです。そのときに僕らが描けばいいのはこれだなと。地震や交通事故、病気など思いもよらず僕らの人生を壊していくものの象徴として男を描けばいいんだと思いました」と振り返る。

平瀬謙太朗

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これを横で聞いていた背筋は「災というテーマで、物語を描こうとすると隕石だったり宇宙人だったり、大いなるものに収斂していく気がするんです。でも、どうしてそこに向かっていかないんだろうと不思議だったので、お話を聞いて腑に落ちました。災というタイトルなのに描いているのは1人の男で、対象物としては小さい。そのアンバランスさが怖さを醸成するポイントになっていると思います」と言及。また「災が降りかかる人にはそれぞれに人生があって、そのバックボーンも作品の中で緻密に描かれている。でも男の登場によって急に人生が断ち切らてしまう。その絶望感。パンフレットでは『物語を否定している』と表現させていただいたんですが、こんなに悩んでいる人たちが、悩みと関係ないところで急に死んでしまうという怖さがこの作品にはある。それはある種、自分たちの実生活でも起きていること。この映画は自分もこうなってしまうんじゃないかという怖さが常につきまとってくる作品だと思います」と話した。

背筋

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「言い方が難しいんですけど」と前置きしたうえで、「登場人物に愛のない書き方をするというのは怖いですよね」と語る背筋。「まさに『災』もその文法を使ってらっしゃると思います。いろいろな葛藤を抱えた登場人物たちが次の瞬間では地面に伏して、そこに蟻が這っていたりする。こういうのはお化けが襲ってくるとかよりも、文脈としての怖さがあるんです。メタ的に見たときに、この作者って何するかわからないなと。自分も怖さを追求するときに、幽霊は別にそんなに人のこと考えてないよという書き方をすることがあります。そういう部分は『災』と通じるものを感じました」と述懐。さらに背筋は「“愛がない”というのは、高度な語り方だと思っているんです。まず観客が登場人物を愛さないと『この作者は登場人物に愛がない』という考えは生まれないと思うんです。そういう意味では愛させる人物作りをして、そのうえで土台を崩すというのを『災』はやっている」と分析する。

「災 劇場版」より、藤原季節演じる皆川慎(左)と内田慈演じる崎山伊織(右)

「災 劇場版」より、藤原季節演じる皆川慎(左)と内田慈演じる崎山伊織(右) [高画質で見る]

平瀬は「普通は物語が最初にあって、それをどう見せるかだと思うんです。でも僕らは映像手法、構造を決めてから物語を作っていく。登場人物たちの人生がどうなったらいいかといったことは考えてない。そういう作り方が恐怖につながっているのかなと思いました」とコメント。関は「器ができたあとにストーリーを作るというのが自分たちにはいいんです。物語だけを作ろうとすると、どうしてもウェットになるなと。それが登場人物への愛みたいなところに通じるのかもしれない。作った器にもっともハマりがいいストーリー、登場人物は何かな?と考えると、急に物語が作れるようになるんです」と制作手法について明かした。

関友太郎

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災の周辺で描かれる自然も本作の特徴となっている。関は「風などの自然が恐怖を描く助けになってくれたと思います。本当は火も入れたかったんですが難しくて叶わず、水が増えていきました」と回想する。平瀬は「タイトルに使われている『災』は象形文字なんです。下が火、上が川を表していて、真ん中に棒があるのは水の流れがせき止められて氾濫しているということらしいんです。古くから、火と水は人間が制御できないものとして恐れられていた。火と水はこの映画を象徴するアイテムですし、冒頭の地震は意識して入れました」と語る。背筋は「怖い物語、言い伝えは山・川・海にまつわるものがとても多いですよね。それは制御できないから。でもそこに何らかの意思みたいなものを見出さないと、人間は救いがなくてやってられない。自分では認知できないけど、そこに神様やお化けがいるんだと思うことで、神話や怪談が生まれてきた。だからあえて入れようとしなくても、作品の中に自然は出てきちゃうなと思います」と続いた。

最後に背筋は「ドラマ版を1回観て、総集編かなと思いつつ映画を観たら全然構成が変わっていて、男の見え方も変わっていた。こうやってお話しさせていただくにあたって、さらにもう1回映画を観たんですが、災の意味を見出したくなっちゃう自分に怖くなるという現象が起こりました。観るうちに怖さが増していくという不思議な映画になっている。また足を運んで観るといい映画体験ができるのかなと実体験として思っています」と呼びかけた。

「災 劇場版」は上映中。

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