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黒沢清「予兆 散歩する侵略者」がベルリン映画祭で上映、「ベルリンも懐が深い」

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黒沢清

黒沢清

黒沢清が監督を務めた「予兆 散歩する侵略者 劇場版」が、第68回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品され、ドイツ現地時間2月21日夜に公式上映が行われた。

上映に先駆けて開催された公式会見では、記者たちから黒沢に質問が殺到。「散歩する侵略者」から誕生した本作の制作の経緯について問われた黒沢は「『散歩する侵略者』は“宇宙人侵略SF”というジャンルの形式を借りながらも、さらに夫婦のラブストーリーやコメディなどの要素を盛り込んだものだったのですが、本作ではむしろもっと純粋に“宇宙人侵略SF”というジャンルを、そのジャンルの法則にしたがって純粋に作ってみたいと思いました」と明かす。

さらに本作で描かれている「恐怖」について「昔から優れたジャンル映画では、普通の物語ではなかなか想像できないある種の非現実的な状況の中、それでも人間がどう乗り越えていくかというところにドラマの中心があります。本作では僕もそれに倣いました」と述べ、「“宇宙人に侵略される恐怖”が1つのテーマではありますが、それを通して僕がもっとも描きたかったのは、この極限的な状況の中で“愛”というものを貫くことができるのか、ということです」と思いを語る。

また、ベルリン国際映画祭の印象について尋ねられると「かなり純粋な“侵略SF”というジャンル映画である本作でベルリン国際映画祭が招待してくれるとは思ってもみませんでした。僕が愛しているジャンル映画、直接こういう映画が好きなファンに届けるために作っている映画をベルリンが目ざとく見つけて招待してくれるというのは本当にうれしいです。ベルリンも懐が深いなあというのが正直な感想です」と笑顔を見せた。

850席の劇場が満席になり大盛況となった公式上映で黒沢は「もともとはテレビドラマとして制作された作品がこうしてベルリン国際映画祭で上映されて感激しています。スタッフ、キャストとともに大きなスクリーンで観てもらえることを目指して作ってきたのでとてもうれしいです」と挨拶した。

本作は、前川知大率いる劇団イキウメの同名演劇をもとにした映画「散歩する侵略者」のスピンオフドラマ全5話を、約140分の劇場版として再編集したもの。主人公の山際悦子を夏帆、夫の辰雄を染谷将太、辰雄が勤める病院の新任外科医・真壁司郎を東出昌大が演じた。

(c)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ

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