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諏訪敦彦がジャン=ピエール・レオの「ライオンは今夜死ぬ」への思い読み上げる

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諏訪敦彦

諏訪敦彦

2月7日、「ライオンは今夜死ぬ」のQ&Aが東京・YEBISU GARDEN CINEMAにて開催され、監督の諏訪敦彦が登壇した。

本作は、南仏コート・ダジュールを舞台に、老年の俳優ジャンが子供たちと一緒に映画を作り、心を通わせていく物語。ジャン=ピエール・レオが主演を務め、彼の脇をポーリーヌ・エチエンヌ、イザベル・ヴェンガルテンらが固める。

先週フランスでレオと会ったという諏訪は「敬愛する諏訪監督の作品で主演を務められたことに感謝しています。この作品に出演したことで、私と同じ俳優という職業に就く多くの人たちが直面する試練とも言える困難な課題についての考えを前に進めることができました。その課題とは、いかにして1人の俳優が神話から伝説に移行していくのかという課題です」とレオからの日本の観客へのメッセージを代読。続けて2005年公開の監督作「不完全なふたり」でレオにゲスト出演してもらう計画があったことに触れ「しかしジャン=ピエールがまとっている映画的神話を利用するのは本人がかわいそうとプロデューサーの吉武美知子さんが言ってくださり、声をかけずに終わったんです」と振り返る。

「こんなに歳を取ったのかと思った」とレオと初めて話したときの印象を語った諏訪は「存在自体が消耗しているように感じた。でも昔の映画の話をして笑ったりすると『大人は判ってくれない』の頃の表情がよみがえってくるんです」とコメント。たまに会って雑談をしながらゆっくりとこれから作る映画の話をしたと述べる諏訪は「どんな役をやりたいかを聞いたら、ジャン=ピエールは『歳を取った役をやりたい』と言うんです。彼は歳を取った役を演じたと思ったことがなくて、青年であることを演じ続けてきたんじゃないかな」と裏話を明かす。

劇中で子供の演出にレオが従わないシーンについて「理由を聞いたら『乗らなかった』と言っていた」と笑いながら述べ、子供たちとスープを飲む場面でのレオの表情に関しては「観たことないような素晴らしい表情をしている。でも決してリラックスはしてないと思います。彼は眠れないぐらい考えに考えているはず」と述懐。最後にフランスの映画雑誌カイエ・デュ・シネマにレオのメールインタビューが掲載されたことに触れ「多くの場合、子供は俳優を脅かす存在です。彼らの驚くべき自然さは俳優にとって1つの脅威となります。しかし私はまったくそのようには感じませんでした。私は子供時代に演技を始めましたが、今回子供たちと一緒に撮影しているときも当時と同じ喜びを感じました」と読み上げた。

「ライオンは今夜死ぬ」は現在公開中。

カイエ・デュ・シネマに掲載されたジャン=ピエール・レオのメールインタビュー(抜粋)

「男性・女性」の中で私は非職業俳優と一緒にカフェでのシーンを撮りました。それを知ったフランソワ(・トリュフォー)は「君が非職業俳優と演じるなんて、とても難しかっただろう?」と聞いてきました。私は「いや、すごくうまくいったよ」と言いました。それぞれのシーンにおいて発生する自分の内的なリアリズムに身を委ねることで、シーン自体が私のリアリズムと呼応してくる。そうすることでさまざまな役を、さまざまなパートナーと演じることができる。この作品はそのタイトルによってアンリ・サルヴァドールの声を想起させます。そしてポーリーヌ・エチエンヌは私の父が書いたテキストを軽やかに、そして優雅なものにしてくれました。彼女との演技はとても幻想的なものでした。私が彼女と踊るシーンでは「ウイークエンド」で私自身が歌った曲を再び歌うのですが、それはジャン=リュック(・ゴダール)へのオマージュです。特機のスタッフはシーンのリズムを的確に捉えて素晴らしい移動撮影を実現してくれました。また諏訪が提案してくれた子供たちと一緒に演じるというアイディアも、子供たち自身が書いたシナリオも素晴らしかった。多くの場合、子供は俳優を脅かす存在です。彼らの驚くべき自然さは俳優にとって1つの脅威となります。しかし私はまったくそのようには感じませんでした。私は子供時代に演技を始めましたが、今回子供たちと一緒に撮影しているときも当時と同じ喜びを感じました。私は子供たちとともに諏訪の映画の持つ幻想的な世界に入っていきました。映画の中に出てくる女の子の1人が帽子を被っていますが、まるで(ルキノ・)ヴィスコンティの映画に出てくる帽子のようでした。

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