音楽ナタリー

L'Arc-en-Ciel味スタ感動の初日「止まない雨はない」

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L'Arc-en-Cielの結成20周年記念公演「20th L'Anniversary Live」が、5月28日、29日に東京・味の素スタジアムにて行われた。

今回の公演は両日ともチケットが即日ソールドアウト。2日それぞれに約5万人のファンが集結し、あいにくの雨にも負けない盛り上がりを見せた。

初日となった5月28日は、1993年インディーズ時代にリリースされた1stアルバム「DUNE」から1998年発表の「HEART」まで、バンド前半期の楽曲を中心にしたセットリストを展開。オープニングではバンドのこれまでの歴史を振り返るように、昔のアーティスト写真や、オフショットなどが場内ビジョンに映し出される。メンバーそれぞれの懐かしく若々しい姿に、客席からは歓声や笑い声が上がった。そしてメンバー4人は、場内後方のゲートからリムジンに乗って登場。オーディエンスが驚愕する中、悠々とレッドカーペットを歩いてステージへ向かった。

5万人の大きな拍手に迎えられて、4人はステージにスタンバイ。tetsuya(B)が情感豊かに最初の曲「In the Air」のイントロを鳴らし、hyde(Vo)が高らかにシャウトを決め、20周年公演の幕開けを飾る。続く「Caress of Venus」ではhydeとken(G)が降りしきる雨にもかまわずステージ左右の花道に飛び出し、会場を盛り上げる。続いては「Vivid Colors」。往年のファンにはたまらない3曲連続のパフォーマンスに、場内の熱気は序盤とは思えない上昇を見せた。

最初のMCでhydeは「L'Arc-en-Cielです! L'Anniversaryへようこそ! 20年経っちゃいました」と挨拶。会場から20年を祝う拍手が沸き起こると、感慨深げに「ありがとう」と返していた。そして「今日の雨は演出なんで(笑)。最後に虹がかかるようになってます。みんな楽しんでくれ!」と観客の期待を煽る。さらに「今日は1998年までの曲をやる、ちょっとマニアックな日なんですけど大丈夫ですかね(笑)。今まで皆さんはL'Arc-en-Cielと一緒に過ごしてきて、きっと曲を聴くといろんなことを思い出したりするんでしょ? そんな顔してるわ(笑)」と、長年にわたって彼らを愛してきたファンへ言葉を投げかけていた。

そしてyukihiro(Dr)が叩き出したイントロでオーディエンスが狂喜した「the Fourth Avenue Cafe」、tetsuyaのベースラインに観客が身体をゆだねて揺れた「風の行方」、kenの緻密なギターフレーズから壮大なアンサンブルへ広がる往年の名曲「As if in a dream」と、懐かしいナンバーが続く。1stアルバム収録曲「Dune」ではhydeが艶めかしくも骨太なボーカルを響かせ、20年のキャリアを感じさせた。

曲間には直前に披露された「winter fall」を、さまざまな著名人が歌い継ぐスペシャル映像が流れ、場内を大爆笑に導いた後、ステージは後半戦へ。会場が夜の闇に包まれ始める中、赤い照明に照らされた4人は「fate」でディープな世界観を提示。hydeは髪を振り乱し、鬼気迫るパフォーマンスを見せる。「Blurry Eyes」ではhydeが高らかに鳴らしたホイッスルに合わせ、ステージ上方に7色の花火が打ち上がった。この曲の間奏では、kenが下ネタを放ちつつ「L'Arc-en-Cielは君たちのスパイスになれてるんでしょうかね? 胡椒? 塩? 味の素ぐらいにはなれてる?(笑)」と会場名に引っかけたトークでオーディエンスを笑わせていた。

本編終盤は「Lies and Truth」「flower」「I'm so happy」と、キラーチューンを連発。最後の「Shout at the Devil」ではステージ上方から炎が噴きあがり、会場中をレーザー光線が飛び交う中、この日一番の激しさで4人のプレイが繰り広げられる。hydeは客席を睨みつけながらシャウトを響かせ、kenは激しいカッティングを続ける。tetsuyaは迫力ある重低音を夜空に向けて鳴らし、yukihiroは圧巻のドラムソロを聴かせる。ロックバンドとしての真髄を5万人にアピールするようなパフォーマンスを見せ、メンバーは一旦ステージを後にした。

彼らの再びの登場を待ちわびるオーディエンスはそれぞれの席でウェーブを繰り返す。そんな中、真っ暗な会場で響き渡ったイントロはピアノとストリングスの音色が奏でる「あなた」。客席を埋め尽くすサイリウムの光を見つめながら、hydeが丁寧に歌声を響かせる。ken、tetsuya、yukihiroもそれぞれの音を悠然と奏で、さながら20周年の感謝をファンに届けるようなひとときを生み出していた。

その直後のMCを任されたtetsuyaは「MCで考えてたこと全部kenちゃんに言われてもうたわ」とこぼす。そしてこの両日の内容について「みんな今までやった曲、全曲知ってんの? ちゃんと予習してきたんか。俺らも大変やで、だって2日間で1曲もダブリがないもん(笑)。普通『あなた』で終わりやん、まだやるからね」と語り、ファンを喜ばせた。

そして演奏されたのは「milky way」。直前のMCで「雨でギター濡れて弾きにくくない?」とkenに問いかけていたtetsuyaだが、花道へ走り出て隅々のファンに向けて笑顔を振りまく。さらに「Voice」「White Feathers」と、近年はめったに披露されないレアなナンバーを連発。初期から彼らが持っていた確固たる世界観を改めて提示するかのようなサウンドに、5万人がうっとりと聴き入る。「White Feathers」のラストではステージ上に白い羽根が降り注ぎ、彼らの演奏を幻想的に彩った。

最後の曲に入る前、hydeは「最後に少し前向きな曲をやります」と観客に語りかける。「今回の収益は全額義援金として被災地に送られます。メンバーが意見を交換した結果ですけど、L'Arc-en-Cielらしくていい決断だと思いました」。さらに「今日という日を迎えられて本当にうれしいです。無理にでも前に進まないと、希望が見えづらくなってるから。みんなで前に行けたらなと思って今日を迎えました。雨の中来てくれて本当にありがとう。この20年間もありがとうございます」と語り、ほとんど雨の上がった夜空を見上げてつぶやくように「止まない雨はない」と口にした。

ラストナンバー「虹」ではhydeの言葉を裏付けるかのように、4人それぞれのこの公演に賭けた思いが伝わる、力強くも温かい音が響き渡る。hydeは瞳を潤ませながらも、彼の現在の気持ちをそのまま歌いあげるように、力のこもった歌を5万人に届けた。

最後の曲が終わり、メンバーが去った後は大型ビジョンで6月29日リリースのニューシングル「GOOD LUCK MY WAY」のPVを上映。彼らの新たな前進をアピールするような映像で、初日の公演が締めくくられた。

L'Arc-en-Ciel「20th L'Anniversary Live」2011年5月28日 味の素スタジアム セットリスト

01. In the Air
02. Caress of Venus
03. Vivid Colors
04. the Fourth Avenue Cafe
05. 夏の憂鬱 [time to say good-bye]
06. 風の行方
07. As if in a dream
08. Dune
09. winter fall
10. ガラス玉
11. fate
12. Floods of tears
13. Blurry Eyes
14. Lies and Truth
15. flower
16. I'm so happy
17. Shout at the Devil
18. あなた
19. milky way
20. Voice
21. White Feathers
22. 虹

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