神聖かまってちゃん「友だちを殺してまで。」再現ライブでレア曲も続々披露

神聖かまってちゃんがHMV主催のライブシリーズ「HMV GET BACK SESSION」の一環として東名阪でライブを実施。この初日公演が3月15日に東京・LIQUIDROOMで開催された。

「HMV GET BACK SESSION」はアーティストが自身のアルバムを収録曲順どおりに演奏する企画。神聖かまってちゃんは今回、2010年3月にインディーズでリリースしたCDデビュー作「友だちを殺してまで。」の再現ライブを行った。アルバム再現ライブは基本的に、作品が発表された時期のファンが当時を懐古する趣旨で行われることが多いが、この日は若いファンの姿も多く見られ、バンドが発するメッセージがリリース時と同じように若者に届いていることを感じさせた。

開演時間を過ぎると、雷と嵐の音とともにの子（Vo, G）の「タイムマシンにつかまれー！ みんなでタイムスリップするぞー！」といううめき声が会場に流れ、さらに歪んだ音で学校のチャイムが鳴り響く。それからおなじみの登場曲であるB.B.クイーンズ「夢のENDはいつも目覚まし！」に乗せてメンバーが登場。フロアから大きな声援が沸く中、さっそく「友だちを殺してまで。」の1曲目「ロックンロールは鳴り止まないっ」からライブがスタートした。

その後も彼らは「ぺんてる」「死にたい季節」と、「友だちを殺してまで。」収録曲を曲順通りに次々に披露していく。バイオリンやギターをサポートメンバーに入れた近年のライブとは違い、再現ライブ本編はかつてと同じように4人だけで演奏。セットリストに並んでいるのはいずれも初期の代表曲だが、タイトでパワフルな音を繰り出すみさこ（Dr）のドラムを始め、演奏力は発売当時と比べて明らかに大きく向上している。

なお、この日のメンバーの衣装は「友だちを殺してまで。」発売時にそれぞれがステージで着ていた服。ちばぎん（B）が「どんな衣装を着てたのか当時の動画を観て調べてたんだけど、初めてLIQUIDROOMに出演したのが2009年！ もう6年以上前！」と観客に自らの驚きを伝えると、それを受けての子も「あの日はトイレでリストカットして血まみれでライブやって、ステージで対バンの人に『爆発しちまえ』って八つ当たりしたのが思い出」と当時を振り返って観客を笑わせた。

「学校に行きたくない」ではの子とmono（Key）がハンドマイクで大暴れし、ラストの「ちりとり」ではの子が鬼気迫る表情で絶叫。アルバム全収録曲を歌い終えたの子は「最近クソみてえなバンドがはやってっけどよ、そんなもんはどうでもいいんだ！ きれいごとばっかぬかしやがって！ 目で見ろよアーティストども！」と怒りをあらわにし、観客に向けて「俺はお前らの代弁なんかしねえよバカ。俺は俺のままいくから、ついてこいよ？」と告げてステージを去った。

アンコールではバイオリンとギターをサポートメンバーに迎えた近年の編成で、定番曲ばかりだった本編とは一転して新曲やレア曲ばかりを演奏。詩情あふれるポップチューンから、激しく荒々しいロックナンバー、サイケデリックでカオスな楽曲など、バンドの持つさまざまな側面を次々に見せていく。アンコール5曲目の「レッツゴー武道館っ！」が終了し、の子が威勢よく「次が最後の1曲だ！」と叫んだところで、ちばぎんが「いや、今の曲が最後だったんですけど」とツッコミを入れてライブは終了。観客からちばぎんに対するブーイングが起こり、不満げなの子に扇動されて会場で「死ね」というコールが沸く。

その後ちばぎんが、スタッフと交渉して1曲多く演奏できることになったとの子に告げると、の子は「こんなに優しい人に死ねだなんて、お前ら謝れ！」とオーディエンスを叱責。彼らは予定になかった「バイトなんかでへこたれないぞっ」を急遽披露した。の子は演奏後に、激しいパフォーマンスのため両足をつってしまったと告白。そんな彼をちばぎんが肩車して退場し、温かな雰囲気の中で「友だちを殺してまで。」の再現ライブは終了した。