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美少女に裸のリカちゃん託した上坂すみれ、“超中野大陸”上陸戦に完勝す

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上坂すみれ「超中野大陸の逆襲 草莽の巻」の様子。(写真提供:キングレコード)

上坂すみれ「超中野大陸の逆襲 草莽の巻」の様子。(写真提供:キングレコード)

上坂すみれのワンマンライブ「超中野大陸の逆襲」が2月11日と12日に東京・中野サンプラザホールで開催された。ここでは2日目「超中野大陸の逆襲 草莽の巻」の模様をレポートする。

上坂は2014年から毎年2月11日の建国記念の日に、自らの人格形成に大きく寄与した“聖地”とする商業施設・中野ブロードウェイ至近の中野サンプラザホールでライブイベントを実施。3回目を数える今回は初の2DAYS公演にして、彼女の単独公演としては初のバンドセットでのライブとなった。その2日目公演には、飯島真理「愛・おぼえていますか」、電気グルーヴ「Let's Go! 無間地獄」、大貫妙子「都会」、Pantera「Drag the waters」などが開場SEとして流れるサンプラザに2000人のファン、通称“同志諸君”が集結した。

当日、上坂がまず同志諸君の前に“登場”したのは開演直前のこと。公演時の諸注意を告げる影ナレーションを担当した彼女は、そのまま舞台袖から「すみぺ」コールを煽ってみたり、手元のモニターに映る同志の福耳をイジってみたりと奔放なトークで笑いを集めつつ「『超中野大陸の逆襲 草莽の巻』、始めてもいいですか?」「でもバレンタイン直前なのに、そんな要素は1mmもない!」とシャウト。この声とともにライブの幕が上がると、1月リリースの2ndアルバム「20世紀の逆襲」のオープニングトラックであるインスト曲「予感02」のエクステンデッドバージョンが爆音で流れ出し、総勢10名のダンサーが切れ味鋭いダンスを披露した。そして「予感02」のビートに呼応した2000人の「ハイ! ハイ!」コールと、“ゲバルトの赤い棒”ことウルトラレッドのペンライトの光があふれかえるホールに“本当に登場”した上坂は、サポートバンドとともに「来たれ!暁の同志」と「サイケデリック純情」をやはり爆音で投下。続けて前日の「超中野大陸の逆襲 群星の巻」の進行が押しに押し、公演が3時間半に及んだことを振り返り、2日目「草莽の巻」の目標として「(時間を)押さない」「(時間を)かけない」「しゃべらない」を発表した。

しかしこれに同志たちから不満の声が。上坂自身、目標を発表した直後こそNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮)作編曲の高速クラストコア「パララックス・ビュー」や、和嶋慎治(人間椅子)作編曲のドゥームメタル「冥界通信~慕情編~」を矢継ぎ早に叩き込んだものの、その後のMCタイムでは「しゃべらない」のスローガンを完全に無視。サポートバンドのベーシストに「なぜバンドマンはウェービーなロングヘアなのか?」と問いかけてみたり、バンドメンバー紹介の参考に視聴したIron Maidenのライブ映像がまるで役に立たなかった話で盛り上がってみたりと、またも自由なおしゃべりを繰り広げ、足元のプロンプターを通じて「そろそろ次曲をお願いします」とツッコまれてしまう。その文言を丸読みしながら「すみません」と照れ笑いを浮かべた彼女は、ロシア民謡「カチューシャ」や喜多村英梨「Happy Girl」をセッションするお遊びを挟みつつ、ダンサー陣とともに「繋がれ人、酔い痴れ人。」「全円スペクトル」「テトリアシトリ(PARKGOLF REMIX)」という3つのダンスナンバーを一気にパフォーマンスして、一旦ステージをあとにした。

幕間には上坂と、アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」の共演者でもある声優・洲崎綾と武内駿輔が出演する学園ドラマ風映像が流れ出す。キャスティングと荒唐無稽なストーリーに客席からどよめきと笑いが起きるも、上映後ステージへと舞い戻った上坂はそのムードを一掃してみせる。最新アルバム収録のシリアスなハードロック3部作「20世紀の逆襲 第一章~紅蓮の道~」「第二章~蠱惑の牙~」「第三章~絶叫の蝶~」を連投し、さらにはミラーボールの光が乱反射しスモークが雲海のように敷き詰められたステージで、ヘヴィロックバラード「ツワモノドモガ ユメノアト」をドラマチックに歌い上げて万雷の拍手を集めてみせた。

上坂と洲崎が「最近どう?」「給料日が楽しみです」と雑談に花を咲かせるという、およそ学園ドラマとは思えない幕間映像の続きからスタートしたライブ後半戦では、またも空気が一転。原曲以上にスカビートを強調した「無限マトリョーシカ」でかわいらしくもコミカルなダンスを披露した上坂は「幕間映像以外のライブの記憶って残ってます?」と笑いながら、再び変幻自在のMCを展開する。今回の共演を機に洲崎と武内とLINEアカウントを交換したことを報告したかと思えば、直後には「歯列矯正をしている人を見ると体の中に金属があるメカニカルな感じにときめく」ということをカミングアウト。今度はイヤーモニターを通じてスタッフから直接「早く次に行きなさい」とツッコまれ、その文言をオウム返しにしながら、ライブの定番チューン「閻魔大王に訊いてごらん」と「げんし、女子は、たいようだった。」を笑顔で大合唱してライブ本編を締めくくった。

「超中野大陸の逆襲」は上坂曰く2部構成のライブイベント。「げんし、女子は、たいようだった。」を歌い終えた彼女がステージを去ったあとには、レーベルメイト・小倉唯の2015年7月のライブで上映された幕間映像「ゆいゆい散歩」に酷似した「すみすみ散歩」が流れ出す。映像の中の上坂は「中野とはなんの関係もない」が、小倉も散策していた東京・板橋のハッピーロード大山商店街で大学芋やクレープに舌鼓を打ち、いかにも商店街の一軒といった風情の衣料品店で「爆買い」を繰り広げる。そしてこれまでのサンプラザ公演と同じく2階客席エリアに登場すると、そのハッピーロード大山商店街や中野ブロードウェイなどで買い込んだアイテムを彼女がばら撒く「おみやげ配付コーナー」がスタートした。

手始めに近くの「美少女」同志に「おしゃれにしてあげてください」と全裸のリカちゃん人形を手渡した上坂はそのまま2階席を巡回。「ロリコンですか?」と聞いて回っては男性同志たちに女児用のニーハイソックスや、乳児用のよだれかけをプレゼントする。さらにサンリオピューロランドで作ったという自身のネームシールを女性同志の「デリケートなところ」こと胸元に貼り付け、「就活中だ」と語る男性同志に「就活に役立つ1冊」こと横山光輝のマンガ「野獣」を贈りながら歩を進め、1階席中央にたどり着くと今度は「歌詞を覚えている人は一緒に歌いましょう」とひと言。自作詞曲「無窮なり趣味者集団」で、2000人と「烈しき日を共に征く 我らこそ同志 電子の波濤越えて 脳髄より叫ばん」と声を合わせた。

「超中野大陸の逆襲 草莽の巻」のラストを飾ったのは2013年のデビューシングル曲「七つの海よりキミの海」と、自身と同志の集団の名前を冠した2014年の1stアルバム表題曲「革命的ブロードウェイ主義者同盟」だ。「七つの海よりキミの海」のエンディングでは、何度もかき回しを繰り返すバンドに煽られてジャンプを連発。息も絶え絶えになりながらも満面の笑みを浮かべた上坂は、自身と同志のためのスローガン「生産!」「団結!」「反抑圧!」を三唱したのち「私は皆さんの明るい生活を祈っております!」と「革命的ブロードウェイ主義者同盟」をドロップ。感極まって声を詰まらせながらも、ロシア語で「万歳」を意味する「Ура」をシャウトして、この日の全演目を歌いきってみせた。

その後改めて同志諸君と「Ура」を三唱したところで2日間にわたった「超中野大陸の逆襲」は大団円。上坂は「さよならしたくないなー」を繰り返しながら「ふつつか者ですがこれからもよろしくお願いいたします」「またお会いできたらうれしいです」とファンへの感謝を口にする。そして2000人に手を振りつつ「週末のバレンタインの日は寝てればいいんじゃないですかね?」と、いたずらっぽく笑いながらステージをあとにした。

なおナタリーストアでは「超中野大陸の逆襲」の開催を記念して、上坂のインタビュー記事をプリントした「読めるTシャツ」をプロデュース。近日、僅少ながら最終ロット版が再発売される。

上坂すみれ 読めるTシャツ
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上坂すみれ 読めるTシャツ

上坂すみれ「超中野大陸の逆襲 草莽の巻」
2016年2月12日 中野サンプラザホール セットリスト

01. 来たれ!暁の同志
02. サイケデリック純情
03. パララックス・ビュー
04. 冥界通信~慕情編~
05. Inner Urge
06. 繋がれ人、酔い痴れ人。
07. 全円スペクトル
08. テトリアシトリ(PARKGOLF MIX)
09. 革命的ブロードウェイ主義者同盟(INST piano solo ver.)
10. 20世紀の逆襲 第一章~紅蓮の道~
11. 20世紀の逆襲 第二章~蠱惑の牙~
12. 20世紀の逆襲 第三章~絶境の蝶~
13. ツワモノドモガ ユメノアト
14. 罪と罰 -Sweet Inferno-
15. 無限マトリョーシカ
16. 閻魔大王に訊いてごらん
17. げんし、女子は、たいようだった。
18. 無窮なり趣味者集団
19. 七つの海よりキミの海
20. 予感~革命的ブロードウェイ主義者同盟

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