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坂本真綾、20周年の幕開け飾る過去最大公演「20年で後悔は1つもない」

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「坂本真綾 20周年記念LIVE "FOLLOW ME"」の様子。

「坂本真綾 20周年記念LIVE "FOLLOW ME"」の様子。

坂本真綾が昨日4月25日、埼玉・さいたまスーパーアリーナにてスペシャルライブ「坂本真綾 20周年記念LIVE "FOLLOW ME"」を開催した。

1996年4月24日にシングル「約束はいらない」で歌手デビューを果たした真綾。20周年のアニバーサリーイヤー突入を記念して行われた昨日のライブでは、新旧のレパートリーを織り交ぜた3時間以上のステージが繰り広げられた。

さいたまスーパーアリーナは彼女にとって過去最大規模のライブ会場で、場内には全国から約1万8000人のファンが集結。来場時には1人ひとりにリストバンド型のFreFlowが配布されており、オープニングSEに合わせてアリーナとスタンドが真っ白な光に包まれると大きなどよめきが起こった。そして1曲目のイントロとともに真綾がステージへ。アニバーサリーライブは「幸せについて私が知っている5つの方法」「マジックナンバー」「スクラップ~別れの詩」と疾走感あふれるナンバー3連発で幕を開けた。

「たった1日限りのお祭りに来てくれてありがとうございます。よく来たねえ、こんなにたくさん……ホントに」と観客に感謝の言葉を述べた真綾は、20年分の楽曲からセットリストを絞り込むのに苦労したことを明かし、大きなため息を1つつく。「ため息もこんなに大きく聞こえるんだね」と改めて会場の大きさを実感した彼女は客席を見渡しながら「さあ、始まっちゃいましたね。始まったらもう終わるだけなんだよね。このときを楽しみながら最後まで歌いたいと思います。今日はみんな楽しんでいってください!」と呼びかけた。

続くブロックではFreFlowを使った光の演出に加え、ステージ背面を巨大なスクリーンに見立てた映像演出も。「色彩」では真綾の影が大きく浮かび上がり、「tune the rainbow」では照明とスクリーン映像がFreFlowとリンクして美しい虹色を作り出した。サイリウムなどを使用しないのが彼女のライブの通例となっているが、1万8000人が作り出す光の演出には真綾も思わず大興奮。またステージ奥から棒状のものを取り出すと、点滅のコントロールが制御されたFreFlowを意のままに操って楽しんだ。そして客席を一面真っ赤に染め上げたところで、真綾はバンドメンバーの中から今堀恒雄(G)、扇谷研人(Key)、三沢泉(Perc)の3人だけを引き連れて花道を渡り、アリーナ中央に設置されたセンターステージへと移動。アコースティックな小編成で初期のナンバー「パイロット」「指輪」「奇跡の海」を歌い上げた。

再びメインステージに戻ってフルメンバーで「Coming up」を披露すると、真綾は一旦ステージ袖へ。暗転ののちステージ上のグランドピアノに照明が当たると、そこには猫耳を付けた菅野よう子の姿が。真綾のデビューから9年間、プロデューサーとして二人三脚で歩んできた菅野は「夜明けのオクターブ」「うちゅうひこうしのうた」「紅茶」「バイク」など自身が手がけたナンバーをピアノ演奏によるメドレーでつなげていく。さらには真綾が彼女のプロデュースを離れたあと、初めて作ったオリジナルナンバー「evertwhere」などを挟みながら、最後に演奏されたデビュー曲「約束はいらない」では観客を促し、1万8000人の合唱がさいたまスーパーアリーナに鳴り響いた。そして真綾が再びステージに姿を現すと、菅野はそのまま力強く鍵盤を叩き「約束はいらない」のイントロを鳴らす。菅野を加えたバンド演奏に大歓声が沸き上がった。続けて「プラチナ」を歌うと、真綾は「この人が私にデビューをくれた人です」と菅野を紹介。そして「どんな曲を一緒にやろうかと考えたとき、この曲だけは絶対にやる、とすぐに決めた曲があります。菅野さんとレコーディングしたときとはまた違った歌が歌えるんじゃないかなという気持ちで、彼女のピアノで歌わなければ歌わねばならない曲があります」と話すと、現時点で最後に菅野がプロデュースを手がけたアルバム「少年アリス」から「光あれ」を披露した。

菅野が去ったあとの後半戦は「トライアングラー」「レプリカ」「マメシバ」など新旧の多彩なナンバーを畳み掛け、「……それで結局、私が言いたいことは、最後の曲に詰まっています」とつぶやくと、最後に自身が作詞・作曲を手がけた音楽讃歌「シンガーソングライター」を熱唱。観客との大合唱でステージ本編を締めくくった。

アンコールにはもう1組のスペシャルゲスト、the band apartが登場。4人はセンターステージに組まれたバンドセットで、4月22日に発売された真綾のトリビュートアルバム「REQUEST」に収録された「約束はいらない」のカバーを生披露した。そして真綾が合流すると、今度はバンアパがサウンドプロデュースを手がけたナンバー「Be mine!」でコラボレーション。真綾は「楽しかったー! いいね。バンド組んだことないからすげー楽しかった」と同世代の4人との共演に大満足の様子を見せた。バンアパが去ったあと、もう一度菅野を呼び込むと、2人で一緒にライブで歌った記憶がないという1stアルバム「グレープフルーツ」収録曲「そのままでいいんだ」を、ピアノ演奏のみをバックに歌った。

そして次の曲「Eternal return」の直前には、真綾にとって思わぬサプライズが。2011年のツアー「坂本真綾LIVE TOUR 2011 "You can't catch me"」の演出をリニューアルしたスクリーン映像とともに巨大なバス型の風船が登場すると、真綾は思わず涙を流してしまった。このバスは2011年のツアーで使われたものだが、このツアー中に東日本大震災が起こったことにより、バスを使った演出は最初の2公演のみだった。ツアー中断ののち、さまざまな考えを重ねた上でツアー続行を決意した彼女は当時の思いを自身のオフィシャルサイトにつづっている。彼女はこの日ステージセットにバスが組まれていたことを知らされておらず、わずか2公演で幻となった演出が4年の時を経てよみがえったことに感極まり、涙を浮かべながら当時のツアーで歌われた「Eternal return」を振り絞るように熱唱した。

「私は記念日も忘れちゃうような女なので、20周年だからどうということもないんですね。だけど振り返ってみたときによかったなと思えることはいっぱいあって。どれだけほじくり返しても、後悔してることは20年間の中で1回もないんです。失敗や間違いはもちろんあるんだけど、時が経ってみればすべてがどこかにつながっていると思うと、後悔は1つもない。普通に毎日を過ごしていればどこかにつながるという確信があるので、明日からまた普通の日々を生きていきたいなと思っているところです。私は20年やってきてそれを知ったことで、すごくハッピーです」とこれまでの歩みを振り返った真綾は、「どの曲も同じぐらい思い入れがあるけど、しいて挙げるならいつも『一番新しい曲』が一番好きです」と告げると、現段階で最も新しい曲であり、自身が作詞・作曲を手がけた新曲「これから」をピアノの弾き語りで披露した。最後はバンドメンバーとゲスト2組を改めて呼び込み、全員でライブ恒例のラストナンバー「ポケットを空にして」を大合唱。満面の笑顔でステージをあとにした。

※音楽ナタリー PowerPush 公開中!
坂本真綾「REQUEST」インタビュー - 音楽ナタリー Power Push

坂本真綾 20周年記念LIVE "FOLLOW ME"
2015年4月25日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト

01. 幸せについて私が知っている5つの方法
02. マジックナンバー
03. スクラップ~別れの詩
04. ループ
05. SAVED.
06. 色彩
07. tune the rainbow
08. パイロット
09. 指輪
10. 奇跡の海
11. Coming up
12. ピアノメドレー / 菅野よう子
13. 約束はいらない / 坂本真綾+菅野よう子
14. プラチナ / 坂本真綾+菅野よう子
15. 光あれ / 坂本真綾+菅野よう子
16. トライアングラー
17. ヘミソフィア
18. レプリカ
19. マメシバ
20. おかえりなさい
21. 風待ちジェット
22. シンガーソングライター
<アンコール>
23. 約束はいらない / the band apart
24. Be mine! / 坂本真綾+the band apart
25. そのままでいいんだ / 坂本真綾+菅野よう子
26. Eternal return
27. これから
28. ポケットを空にして / 坂本真綾+菅野よう子+the band apart

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