「キミのありふれた日常に、青春を、今。」をキーワードに掲げて活動しているフューチャーサイダー、通称チャイダー。昨年は初出演となった夏のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024」で大きな経験を得て、さらにはライブツアー「ダダダダッシュ!ツアー!」を大成功のうちに終え、グループとして着実にステップアップしてきた。そんな中、今年1月に初期メンバーの本多あおいが卒業し、入れ替わるようにして新メンバーの水瀬そらが加入。グループに新鮮な変化がもたらされた。
音楽ナタリーでは水瀬が加入して間もないフューチャーサイダーにインタビューし、2024年の活動で感じた手応え、新体制で生じた変化、そして3月5日にZepp Shinjuku(TOKYO)で開催される4thワンマンライブに向けた意気込みなどを聞いた。さらに特集の後半には、フューチャーサイダーと関係の深いクリエイターやアイドルのコメントを掲載。グループに対する印象や、Zeppワンマンを控える彼女たちへのエールをつづってもらった。
取材・文 / 川崎龍也撮影 / 佐々木康太
「TIF」出演はファンの皆さんと勝ち取ったもの
──フューチャーサイダーの皆さんには昨年の春に一度インタビューをさせていただきましたが(参照:フューチャーサイダー インタビュー|夢のTDCホールに向けて突き進む6人組アイドル)、そこからライブツアー「ダダダダッシュ!ツアー!」を開催したり、「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024」に出演したりと、忙しい日々を過ごしてきたかと思います。
瀬乃みく 「TIF」はずっと夢見ていた場所だったので、それが実現したときは本当にうれしかったです。実際にステージに立ってみると、「TIF」でしか味わえない感情がたくさんあって、今振り返ってもその特別な経験が強く心に残っています。今回は3つのステージに立たせてもらったのですが、そのうちの1つが浮島STAGEという、去年新しく作られたステージで。そこはもう熱気がすごくて、野外ならではの空気感に圧倒されました。
──浮島STAGEは日陰がないので、直に日光がステージに当たるんですよね。しかも、360°全方位に開放された独特のステージで。
瀬乃 そうなんです。このステージでパフォーマンスするために新しい振付を作っていただいたりして、その日限りの特別なライブになったと思います。
桜歌ひな 私は逆に屋内ステージのほうが印象に残っています。そこで新衣装と新曲をお披露目したんですよ。パフォーマンスや曲に対する私たちの意識が変わってきたタイミングで、万全な状態で、これまでで一番いい形で新曲を披露できたと思います。今でも「あの日のライブが忘れられない」とファンの方に言ってもらえることが多くて、私自身も手応えを感じたライブでした。
彩菜まり ひなが言っていた屋内ステージから見た光景は、今でも鮮明に心に残っていて。ワンマンライブももちろん楽しいですけど、それとはまた違った手応えがありました。特に新曲を披露したときに、自分の中で初めてゾーンに入ったような感覚があって。ワンマン以外で、あんなふうに集中できたのは初めてだったかも。あと、ファンの方々の表情もいつもと違って見えて、目が合ったときに普段感じない何か特別なものを感じました。すべてが合わさって、本当に忘れられないライブになりましたね。
瑞野ひより 「TIF」の3つのステージすべてで、ファン以外の方も含めたくさんの人が私たちのパフォーマンスを見てくれたのが印象的でした。「TIF」をきっかけにフューチャーサイダーを知ってくださった方も多いので、新規のお客さんの期待に応えるようなステージができたんだなと、初めての手応えを感じることができました。今思い返しても、あの時間は本当に楽しかったし、自分にとって特別な瞬間だったなと思います。
櫻衣まい フューチャーサイダーは、「TIF」への出演が開催のギリギリまで決まらなかったんです。メンバー内で「今年は絶対に出たいよね」と話していたから、少し焦りもあって。そんな中で「mini TIF」というイベントに出演したのですが、そこでの集客が「TIF」出演の鍵を握っていると知って、なんとか出演権を獲得できるように、ファンの皆さんにお願いをしました。そしたら「mini TIF」の当日、本当にたくさんの方が来てくださり、ライブもものすごく盛り上がって、その直後に「TIF」の出演が決まったんです。だから、去年の「TIF」出演は私たちの力だけじゃなく、ファンの皆さんと一緒に勝ち取ったものだと思っています。
──瑞野さんがおっしゃったような、「TIF」が普段のライブの集客につながった感覚はほかのメンバーにもありますか?
瀬乃 あります。「TIF」開催に合わせて、お台場周辺でプロモーションを行ったんですよ。ジャックと言うほどではないんですが、アドトラックを走らせたり、お台場周辺の駅にポスターを掲出したりして。その効果もあって、「トラックを見て来ました」とか「ポスターを見て好きになりました」という声をたくさんいただきました。普段出演している対バンライブやイベントでも特典会で「初めて観に来ました」と伝えてくれるお客さんがいて、そういう方にどこでフューチャーサイダーを知ったのか聞くと「『TIF』のトラックを見た」という答えが多かったんです。「TIF」に出演してから、フューチャーサイダーは1つステップアップして大きく変わることができたなと感じています。
ツアーを経て自然と信頼し合えるようになった
──「ダダダダッシュ!ツアー!」には、通算3回目となる神田明神ホール公演も含まれていました。ライブのときはダンスの先生から厳しい言葉をかけられることも多いそうですが、今回はどうでしたか?
櫻衣 今回は先生に褒められました(笑)。普段ほとんど褒められることがないくらい厳しい先生なんですけど、「まだまだだけど、よくがんばったよね」と言っていただけて、少しだけ認めてくださったのかなと本当にうれしかったです。
彩菜 先生に注意していただいたことがきっかけで個々のパフォーマンスに対する意識が上がったと思いますし、それがグループ全体のパフォーマンス力にもつながってると思います。メンバー同士で注意し合うこともよくありますし、どんどんいい方向にいってるなって。
瀬乃 特に「ダダダダッシュ!ツアー!」のファイナルでは、ライブ中に「今、この子めっちゃ弾けてるな」とか、「持ってきたものをステージでしっかりぶつけてるな」とメンバーに対して感じる瞬間が多かったです。みんなの表情がすごく生き生きしていて、それを見て自分もさらに燃え上がるようなライブができるようになりました。自分たちでも想像していなかったようなところできれいに振りがそろったり、息が合ったりする瞬間が増えてきて。それもこのツアー期間に大きな成長した部分ですね。
彩菜 お互いにめちゃくちゃ刺激し合ってる感覚はあるよね。
──今年1月21日には本多あおいさんの卒業ライブが開催されましたが、初期メンバーの旅立ちは皆さんにとって大きな出来事だったと思います。
櫻衣 もちろん寂しさはありますけど、今後のグループに対する不安は意外となかったですね。常に目まぐるしい毎日を送ってきたから、バタバタしている状況にすっかり慣れてきました。大変なことも多いけど、「まあ、いけるよね!」っていう謎の自信をみんなが持っていて(笑)。そらちゃんが加わるまでは5人で活動していてフォーメーションの変化に対応しなきゃいけなかったんですけど、「私たち、すごくない?」って感じでしたし、ドヤ顔をしながら毎日楽しく活動できています。
瀬乃 前に体制が大きく変わってフォーメーションをイチから作り直さなければいけなかったときは……今思い出しても泣けてくるね。
桜歌 苦しい……本当に苦しかった。
瀬乃 ライブで毎回泣いてしまったり、レッスン中も常に涙が止まらなかったりして……。レッスンが終わったあとも毎日泣きながら帰っていました。正直、私は今回のグループの変化に少し不安もあったんです。でも、メンバーと過ごしていく中で困難の乗り越え方を学ぶことができたのか、どんなことも前向きに捉えられるようになりました。
瑞野 ツアーやワンマンライブなどの経験を重ねる中で、自然と信頼し合えるようになったのかなと思います。弱さも見せられるし、甘えられるし、しんどい瞬間も共有できるようになったことで、「1人でどうにかしなくちゃいけない」という気持ちがなくなりました。
彩菜 それが大きいね。
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新メンバー水瀬そらのキャラクターは?