TOKYOてふてふ「FLYASDUST」インタビュー|“4枚の羽”があれば、蝶はどこへでも翔べる

TOKYOてふてふのニューシングル「FLYASDUST」がリリースされた。

コドモメンタルINC.に所属し、ぜんぶ君のせいだ。、KAQRIYOTERROR、星歴13夜の姉妹グループとして結成されたTOKYOてふてふ。当初は7人グループとして、2021年1月に「innocence soar」でデビューを果たした彼女たちだが、幾度かのメンバー脱退を経て、現在は楪おうひ、めありらすと、ちむら詩文、神狩こはく世會の4人で活動している。

音楽ナタリーではメンバーにインタビューを行い、現在の4人体制で初となるシングル「FLYASDUST」のリリースに至るまでの日々、これからの野望を語ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦撮影 / Ic

「いつか4人になる」が現実になった1年

──2024年はメンバーの脱退やレーベルの看板グループであるぜんぶ君のせいだ。の活動再開もあり、激動の1年だったのではないですか?

めありらすと 5人体制の期間が長かったので、3月の(十叶)のんの脱退は一大トピックでした。先輩グループのぜん君。さんは活動再開したけど、もう1つの先輩である星歴13夜さんは解散して、離れていってしまう寂しさを感じる機会が多かったです。

神狩こはく世會 ぜん君。さんが戻ってくることはすごく喜ばしいことだけど、同時に私たちは焦りも感じていて。というのも、ぜん君。さんが休んでいる間、けっこうな数の患い(ぜんぶ君のせいだ。ファンの呼称)さんがTOKYOてふてふのライブに足を運んでくださっていたんです。「ぜん君。さんが帰ってきちゃったら、患いさんはもう来てくれなくなっちゃうかも……」って。

楪おうひ それと、ぜん君。さんがお休みの間、レーベルの社長がてふてふのライブをけっこうな頻度で観に来てくれてて。そういう時間が終わってしまう不安もありました。

楪おうひ

楪おうひ

ちむら詩文 いろんなことが起こってはいたけど、2024年のTOKYOてふてふはずっとツアーを回っている、怒涛の1年でもありました。2023年の秋からツアーがあったけど、その間にのんの脱退があったから一瞬だけ活休して。ツアーの延長戦を4月までやったあとにレーベルスプリットツアーが始まり、その後すぐに次のツアー「TRANCEBULLET原狂TOUR」がスタート。それが昨年の大晦日でようやく終わって、今はぜん君。さんとスプリットツアーを回っているから、本当にずっとライブしてる。

らすと この1年、一瞬でしたね(笑)。

神狩 いろんなことがありすぎて心が追いつかなかったけど、ツアーを回って蜃気楼(TOKYOてふてふファンの呼称)と会うたびにこっちが救われるような気持ちにもなって。きっとライブがなかったらもっと塞ぎ込んでいただろうから、ライブがあってむしろよかったと感じています。

おうひ 実は社長には最初から「7人組で始めるけど、いつか4人になるよ」と言われていたんです。

ちむら 「別に誰が辞めるかはわからないけど、きっと誰かしらは辞めてしまうから」と言われてました。

神狩 正直言うと、それを聞いて自分が残る側の人間だとは思ってなかった(笑)。

──なぜ神狩さんは辞めないで残ることができたのでしょうか?

神狩 私はコドモメンタル以外では音楽活動はやらないと決めて入っていたから、そもそもほかの場所で歌うことは考えてなくて。だから去年一度活動を休止したときは、気持ちが揺らぎました。極論を言えば、自分の代わりはいくらでもいると思うんですよ。4人から3人になってしまったとしても、代わりの人を入れればTOKYOてふてふはなんとかなるとも思う。だからこそ、この席は譲らない理由にもなるのかなって。誰でも座れるかもしれないけど、私が譲らないとここは座れないよね?って。

ちむら みんなどこか負けず嫌いなところはあると思います。私も死ぬほど負けず嫌いだから「正直もう無理かも」と思う瞬間はあっても「だから辞めよう」とは思わなくなりました。何かつらいことがあっても「私は進むけど、みんなはどうする?」という気持ちでいる(笑)。

らすと 私は1年目のときは「辞めるかも」と思っていたんですよ。むしろ「辞める」と決めていた時期もあった。でもそのとき回っているツアーで「てふてふのことが好き」と伝えに来てくれる人がいることを実感して。活動初期の頃って「コドモメンタルが好きだから」という理由で現場に来てくれる人が多かったけど、活動を続けていくうちに「TOKYOてふてふが好き」に変わっていく瞬間が感じられて、私はこの人たちを裏切れないなと思った。だからそれ以降、辞めたいと思ったことはないですね。

めありらすと

めありらすと

──TOKYOてふてふのリーダーであるおうひさんは?

おうひ グループができてから今まで、辞めるという選択肢が出てきたことがないですね。まだまだやりきれてない思いしかなくて。終わるならすべてやりきって終わりたいけど、まだそんなところにいませんから。このメンバーと、蜃気楼のみんなとまだ進みたい気持ちがずっとあるから、今もここにいます。

──これは偶然だと思いますが、蝶の羽って4枚で構成されているんですよ。社長がそこまで意図していたわけではないと思いますが「4人」という数字と合致するなと。

おうひ え、知らなかった!

ちむら 逆に言えば、ここから1人でも減ったら蝶は飛べなくなってしまうかもしれない、ということですね。この4人なら、大丈夫だと思ってます。

TOKYOてふてふの“愛されたい願望”

今村伸秀(コドモメンタルINC. 代表取締役) 裏側のことを少し明かすと、TOKYOてふてふは結成当初から半年だけ僕が直接面倒を見ていて、「それ以降は自分たちでがんばってね」という展開になることを、最初から伝えていたんです。それがよかったのか悪かったのかわからないけど、付きっきりで見てもらったあとにずっと放っておかれた子たちだから、“愛されたい願望”がすごくあるように感じてます。

らすと コドモメンタルのイベントで社長にライブを観てもらえるときは「絶対すごいものを見せてやる!」と燃えてました。

ちむら たぶんお客さんとかほかのグループから観て違和感あるくらい、力が入っていたと思う(笑)。それくらいレーベルの恒例行事は気合いを入れるタイミングだったから。

ちむら詩文

ちむら詩文

神狩 飢えてる期間があったからこそ、ぜん君。さんが活休して社長がてふてふの現場に来てくれるようになって、それが当たり前ではない貴重な機会であることを実感できたし、別に愛情がないわけじゃなくて、短い時間ですごく尽くしてもらっていたことにも気付けました。ある意味恵まれていたんだよな私たちはって。

らすと ずっと付きっきりで見てもらってたら、今頃は超生意気な集団になってたかもしれない(笑)。

──2023年3月から1年間、コドモメンタルの看板グループであるぜんぶ君のせいだ。が活動休止をしていました。そのことに関して、TOKYOてふてふの皆さんはどう受け止めていましたか?

おうひ 「コドモメンタルを背負っていかなきゃ」という気持ちが強くなり、責任感が芽生えました。

神狩 ずっと前を走り続けてくれていた人たちが急にいなくなったわけだから、戸惑いはあったけどね。

神狩こはく世會

神狩こはく世會

ちむら 今まで甘えてた部分があったんだなと思いました。ぜん君。さんだったらこうしていたんだろう、みたいなことがより見えてきて。ツアーがないタイミングの空き時間に、てふてふのメンバーで集まって「こういう動きをしよう」と相談をする機会も自然と増えて、グループとしての成長につながった気がします。

おうひ いざレーベル業務をメンバーでやってみると、自分らが本当は何もできてなかったことにも気付かされました。

今村 今年の1月から5月にかけて開催しているぜん君。とのスプリットツアーが、TOKYOてふてふが大人になるための“最後の階段”だと思ってます。一緒にツアーを回ることで学べることも多いだろうし、このツアーを経てTOKYOてふてふがより一層力を付けることを期待しています。