LUNA SEAのベーシスト・Jが、1月にソロアルバム「BLAZING NOTES」をリリースした。
昨年はLUNA SEAの結成35周年を記念した全国ツアーで各地を回ったJ。LUNA SEAとしての節目を盛大に盛り上げつつ、今年1月にはソロツアー「J LIVE TOUR 2025 -BLAZING DAYS-」をスタートさせており、バンドとソロの双方で精力的な活動を展開中だ。ツアーでも披露されている新曲「TIME BOMB」を含む新作「BLAZING NOTES」は約3年3カ月ぶりのソロアルバムで、彼のライブを重視する姿勢を強く反映した作品となっている。
本インタビューではJに「BLAZING NOTES」に込めた思いはもちろんのこと、ライブで楽曲を披露する際の考え方などについても語ってもらった。今後のさらなる飛躍を示すような燃え盛る音、燃え盛る言葉、燃え盛るロック魂が詰まったアルバムの魅力を本人の言葉から感じてほしい。
取材・文 / オカミ・タカヒデ撮影 / 須田卓馬
“J”の存在を強く示すためのツアー
──昨年はLUNA SEAの結成35周年記念ツアーで精力的なライブ活動を行ってきたJさんですが、年が明け1月29日には約3年3カ月ぶりのソロアルバム「BLAZING NOTES」をリリースされました。それに先行して、1月11日からは「J LIVE TOUR 2025 -BLAZING DAYS-」がスタートしています。本ツアーにはどういったテーマを持って挑んでいるのでしょうか?
僕の活動の中でライブというものは、やはりとても重要です。ライブがなかったら音楽を始めていたかもわからないくらい、メインの活動として捉えています。去年もその前の年も、ソロでのライブは頻繁にやっていたんですけど、新しいアルバムを作り、それを引っさげたツアーというものは約3年3カ月ぶりになるんです。自分自身の新しい世界を会場のみんなに提示できて、“Jってヤツ”のこれからを思いっ切り刻み付ける意味でも、自分にとってもフレッシュですし、“次”に向けての狼煙を上げるような思いで挑んでいるツアーです。
──自分の刺激にもなっているという。ただ実は“引っさげて”とはいいつつも、ツアーはアルバムの発売前から始まっているんですよね。
実はこだわりすぎて、リリースより先にツアーが始まってしまった(笑)。ただ、こだわった分、すごくいいアルバムができあがったと思っているので、ツアーもものすごいテンションで回れています。
ライブが先か、音源が先か
──先日、アルバムから「TIME BOMB」が先行配信されましたが、初日、2日目の公演は配信前だったので、お客さんはライブで初めてその曲を知るという状況だったのでしょうか。
去年の時点で「TIME BOMB」を含めアルバムの曲をいくつかすでに披露していたんです。僕自身、インディーズの頃からライブのために曲を書いてという感じで活動していたので、順序としてライブでやってからリリースすること自体は自然なことなんです。そういう意味では僕のスタイルっぽいんじゃないかな。
──ライブでやっていた曲を録音して作品にするという流れによって、スタジオ作でもライブ感の高い音楽ができあがっていたと思います。やはり、その制作工程のよさは感じますか?
ライブで曲を育てて、エネルギーを高めた中でレコーディングをすることこそ、バンドにおける原始的で最も最高なやり方だと思うんです。レコーディングでもあまり時間をかけずに完成形を音源にできるという利点もありますから。ただ、ライブとレコーディングは別物と感じるところもあって、音源を先に出すことの楽しさもありますね。
──それは例えば?
スタジオでしかできないサウンドメイクは存在しますし、例えば、現代ならパソコンを買えば音楽ソフトが手に入り、どんな人でも音楽を作ることができる。創作意欲を満たす方法や、自分の思いを音楽で表現する手段が以前よりずっと広がったと思います。
──そういった影響はプロのミュージシャン……ひいてはJさんにも波及しているということですね。
そうですね。ミュージシャンもいろいろなサウンドのプリセットがすぐに手に入るし、それをもとに自分なりのサウンドメイクをすることも可能です。ただ1つだけ、自分の中でNGにしていることがあって。それは「再現不可能なものは作りたくない」ということ。例えば僕もデモ作りで「フィジカル的に無理だよね」というドラムフレーズを打ち込んでしまっているときもあるんですよ。そういうときはドラマーにしっかり聞いて、肉体的に演奏できるフレーズに整える作業をやっていくんです。
──そこには音源を聴いてもらうだけじゃない、「ライブが第一義」という考えがあるということですよね。
そうですね。音源とライブは直結しているものでありながら別のものでもあるんです。ライブという場には会場にいるみんなとのタイムラグのないエネルギーの交流というものがあるので。それは非常にこだわりますね。
──なるほど。ちなみに新曲をライブで初披露するときの心情というのは?
緊張はしますよ(笑)。まだ感じたことのない世界を最初に観てもらうんですから。いい曲って、一発でその人の耳から離れないような曲のような、ものすごいエネルギーを持っている曲なんじゃないかなって。僕らもそんな気持ちをつかんで離さないような曲に出会って、音楽を始めたと思うんですね。できるだけそういう曲を作りたいと思っています。
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今のJが鳴らす全力の音