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![木村徹二「雪唄」ジャケ写](https://ogre.natalie.mu/media/pickup/kimuratetsuji/kimuratetsuji_jkt20250205_A.jpg?imwidth=640&imdensity=1)
木村徹二 雪唄
9thメロ炸裂!非演歌ファンでも楽しめる王道ド演歌
文 / ナカニシキュウ
木村徹二の演歌は開かれている。「演歌に馴染みのない層へ、いかに届けるか」という思想が楽曲の至るところに垣間見え、他ジャンルの愛好家が違和感なく楽しめる要素を効果的にちりばめた楽曲が多く見受けられるのである。それはもしかしたら、レジェンド演歌歌手・鳥羽一郎の子として生まれながらも長らく演歌の道は志してこなかったという、彼だからこそ持ち得る独特の感性が反映されたものなのかもしれない。
先般リリースされた3rdシングルの表題曲「雪唄」は、特にそれが顕著だ。まず楽曲構成が完全にJ-POPの王道パターンそのものであり、16小節ひと固まりをベースにしたA→B→サビ構成となっている。もちろん演歌・歌謡曲カテゴリにおいてこの形式が特別珍しいわけでもないが、最も典型的な演歌の形は4小節ひと固まりが基本構造であり、いわゆるサビらしいサビを持たない楽曲も多い。つまり本楽曲は限りなくJ-POP的なマナーで作られた楽曲と言え、非演歌ファンにも親しみやすい作りになっている。
さらに特筆すべきはサビのメロディラインだ。「雪が心を染める」の「染(そ)」の部分でコードトーンに対して9thに当たる音(レファラ和音に対するミ音)がロングトーンで使われている。作曲テクニックとしてはさほど珍しい手法ではないものの、非常に“ポップス的”な音使いであると言っていい。この1音がもたらす感動はポップスファンがよく知っている種類のそれであり、実際に聴いてみると、優れたポップソングに触れたときの喜びに極めて近い感触を得られるはずだ。ちなみに作詞作曲は木村の実兄・木村竜蔵が手がけている。
また、サウンドプロダクションなどの全般的な印象は“王道ド演歌”だが、木村のボーカルがそこまでコテコテではないのも見逃せないポイントだ。発声は比較的ストレートで、コブシよりもビブラートを多用するスタイル。総じて、非演歌ファンでも聴きやすいタイプのシンガーと言えるだろう。
木村徹二「雪唄」MUSIC VIDEO
- 木村徹二「雪唄(Aタイプ)」
- 2025年2月5日(水)発売
/ 日本クラウン
[CD] 税込1500円 / CRCN-8724
- 木村徹二「雪唄(Bタイプ)」
- 2025年2月5日(水)発売
/ 日本クラウン
[CD] 税込1500円 / CRCN-8725
木村徹二(キムラテツジ)
![木村徹二](https://ogre.natalie.mu/media/pickup_item/69/kimuratetsuji_art202502.jpg?imwidth=400&imdensity=1)
1991年7月11日に歌手・鳥羽一郎の次男として生まれる。幼い頃から演歌に惹かれ、高校生時代から多くのステージに立つようになり、2016年に実兄の竜蔵に誘われる形で兄弟ポップスデュオ・竜徹日記を結成。2022年11月にシングル「二代目」を発表し、演歌歌手としてソロデビューを果たす。2023年放送のTBS「第65回輝く!日本レコード大賞」では新人賞を受賞した。2025年2月に3rdシングル「雪唄」をリリース。
木村徹二 (@kimura_tetsuji_) | Instagram