「エクウス」は、ピーター・シェーファーが実際の事件をもとに執筆し、1973年にイギリス・ロンドンで初演された戯曲。1979年にはアメリカ・ニューヨークのブロードウェイで上演され、トニー賞で最優秀作品賞を受賞した。厩舎で6頭の馬の目をフォークで突く事件を起こした17歳の少年、アラン・ストラングを治療することになった精神科医は、彼の心の奥底を探っていくうちに、少年の異常な信仰と情熱の正体に迫ることになる。今回の上演では、
開幕を目前に控え、織山は「毎日がフラッシュ暗算のように、ものすごいスピードでここまで走ってきました。『あっという間に本番だ』という気分で、まだ緊張はしていますね」と心境を語る。村川が「小川さんが粘り強くブラッシュアップを重ねてくださったので、初日を迎える実感がない」と述べると、岡本も「小川さんの『毎日より良いものを』という思いに応えようと、チーム一丸となって走ってきました。今回は全員が3時間ずっと舞台上に立ち続けているので、自分たちで外側から見たことがなく、客席からどう見えているのかドキドキしています」と明かした。
織山は自身が演じる主人公について「アランは“エクウス”という大きな秘密を抱えていて、その状態は言葉にするなら『内臓が剥き出しのまま歩いている』ような状態。ダイサートさんたちが“ラブ”を送ってくれても、アランはすべてヘイトで返してしまう。物語で描かれるのは約20日間ですが、その中で彼はものすごく成長していきます」と説明。「どのように役作りしたか?」と記者に問われると、「僕も性格が暗くて“病んでいる”ので……アランに共感できました(笑)」と苦笑しながら明かし、会場を和ませる。続けて「アランはどこか“くつわ”をはめられてきた人生だと思っていますが、僕自身も芸能界という場所にいて、ある程度の制約の中で生きているので、『わかる、わかる』と共鳴する部分がありました」と、自身の境遇を重ねて語った。また、「痩せ細った男の子」という台本の記述に合わせ、朝はスープだけにするなどの食事制限も行ったと明かし、「上着のポケットに台本などのすべての荷物を詰め込んで稽古場に行っていたので、身体が膨らんで見えていたのか、周りには痩せたことに気づかれなかったかも」と笑いを誘った。
そんな織山について、岡本が「稽古初日と印象が変わった」、村川も「表情がまるで違う」と、役に入り込んでいた初期からの変化を口にすると、織山は「最初は『すべてが敵』というアランの気持ちで本読みをしていました(笑)。でも共演者の皆さんが1人の俳優としてリスペクトを持って接してくださる方ばかりで、すごく話しやすく、毎日の稽古が楽しかった」と、共演者たちの温かさに感謝を述べた。
中年男性が演じることの多い精神科医ダイサート役に挑む村川は、「オファーをいただいたときは衝撃でしたが、今の時代だからこそ共感してもらえるはず。男性・女性という意識をなくして演じています」と意気込む。一方で「演劇人生で一番のセリフ量で、言葉なじみのないカタカナも多いので、千秋楽まで闘い続けることになるのだろうなと。ダイサートは自分のペースで世界を動かそうとする役どころなのでエネルギーも必要。ゲネプロでお客さんを前にしてエネルギーを吸われそうになる感覚があり、客席と闘うという課題が一つ加わりました」と難しさと手応えを口にした。
アランに影響を与えるジルを演じる岡本は、役について「ジルはアランの記憶の中のシーンだけに出てくるので、人の記憶に残る女の子ってどんな感じだろうと考えるのを楽しみながら作ってきました」と語る。父フランク役の千葉は「フランクも同じくアランの記憶の中に出てくる。本来は優しいときもあったんだろうけど、アランの中ではそうではないので、父親像をデフォルメして演じたい」と述べた。また千葉は、織山から「自分から口に血糊を含みに行くほどお芝居への愛が強い」とストイックな姿勢を明かされ、「本当は古木のような、何も語らない役をやりたいけれど、いつまで経っても豪速球を投げさせられる(笑)」と返し、会場の笑いを誘った。
劇中でアランが心酔する“馬”への理解を深めるため、稽古期間中にはカンパニーのメンバーで乗馬ワークショップに参加したという。織山は「みんなでブラッシングをして、乗馬も体験しました。馬を目の前で見ると、迫力があって神秘的で温かかった。大きな目を見ていると吸い込まれるような感覚になり、アランは馬と一つになりたいと思ったのだなと理解できました。僕自身は(アランのように)馬と一つになりたいとは思いませんが、それはアランならではの良さだと思います」と冷静な理解を見せ、「馬に乗せていただける機会があるなんて思わなかったので、ラッキーでした」と笑った。
また初めて東京グローブ座の舞台に立つことについて、織山は「僕の先輩や後輩が立っている中、僕たちの世代がちょうど立てていなかった。今回ステージからの景色を見て、歴史を感じると共に、素敵な劇場でやらせていただくんだなと実感しています」と思いを馳せる。最後に織山は「この時代になぜ『エクウス』をシェアするのか、皆さんに何かの気づきがあればうれしいです。健康と安全を第一に、キャスト・スタッフ一同精進してまいります」と言葉に力を込め、取材会を締めくくった。
東京公演は2月15日まで。本作はその後、20日から24日まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。
エクウス
開催日程・会場
2026年1月29日(木)〜2月15日(日)
東京都 東京グローブ座
2026年2月20日(金)〜24日(火)
大阪府 サンケイホールブリーゼ
スタッフ
作:ピーター・シェーファー
翻訳・演出:
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