「今日も、ちゃ舞台の上でおどる」は、講談社のWebマガジン「ミモレ」で連載されているエッセイ。働き方、家事、人間関係、美容、ファッション、社会問題などをテーマに、坂口が“あたりまえの日常こそが人生の舞台だ”というポリシーに則って、日々の出来事をつづっている。
2年前に執筆の依頼があった際、坂口は自分の本がどこに並ぶのかワクワクしながら書店のタレント本コーナーに足を運んだと話す。「すると、書棚には眩しいばかりの笑顔の皆様が並んでいて。私にはこんな眩しい本を出せるのだろうか、しかも誰が買うんだろう?という懸念が湧いてきて、急に恐ろしいことだと自覚したんです。そこから、『こうしたらうまくいきますよ』とか『ポジティブになれますよ』という本ではないものがいいのではないか、自分が好きなエッセイや本はどれだけ失敗したかとか、どれだけ恥ずかしいことがあったかとか、どれだけ誰にも言えないような秘密があるかということが書かれている本だったな……と考え始め、私も今まで誰にも言ったことのないようなこと、本当は誰にも語りたくないことを書いて、『なんや、坂口涼太郎もこんなアホな人なんやな』と、ある意味ちょっと安心してもらえるような本にしたいなと思い、以来2年間書き続けてまいりました」とこれまでを振り返る。
「それでたどり着いたのが、“らめ活”。私は自分がいろいろなことを諦める活動をやってきたと思っているのですが(笑)、諦めることによって自分を明らかにし、そのおかげでたどり着くべき場所にたどり着いたと思います。また諦めることで生活や日常が光り出して、ラメのようにラメラメしていくっていう意味も込めて(笑)“らめ活”を謳っているんです。なのでこの本は、諦めのススメという感じですね(笑)。『坂口涼太郎という人が、いろいろなことがありながらも、ちゃぶ台の前でお茶を飲んだりしながらのんびり生きている、だから私も大丈夫だ』と思ってもらえたらいいなと思っています」と書籍に込めた思いを語った。
書籍発売後、反響はあったかという質問に対し、坂口は「ありました!」と即答。「いつも連絡を取り合っている方とかでなく、本当に久しぶりの方が連絡をくださって『本を読んだよ。実は私にもこんなことがあって……』という感じで、いろいろなことを教えてくださるんです。SNSなどでもちゃんと私に言葉を送ってくださる方がいらっしゃって、本当にうれしいですね」と話す。
また記者から、日常のさまざまなことを受け止めながら、“それでも前を向いて進み続ける”原動力になっていることは?と問われると、「私は今、舞台の上で踊ったりパフォーマンスをする仕事にたどり着いていて、そこが俳優としての私の人生の本番なんだと思ってしまいそうになりますが、実はそれよりもちゃぶ台の前でお茶を飲んだり、料理を作ったり、『明日どうしようかな』とか『今日はなんかテレビを見るかな』とちまちまやっているほうが、実は私の人生の本番だと思うんです。なので、いかに生活や日常に面白みや不思議を見つけるか、いいことも悪いいことも、ユーモアを取り入れながらいかに受け止めていくかが大事なのではないかと思っています」と話して笑顔を見せた。
最後に今後やりたいことは、と問われると、坂口は「やりたいことはちゃぶ台の上で踊るということ。ただこのちゃぶ台が、ダイニングテーブルになったり、宮殿にあるような長テーブルになったりとどんどん広がっている感じがして、いつか地球全体がダンスフロアというふうに広がっていけばいいなと思います。この本の中にも書きましたが、みんながポジティブな感じで、楽しく踊れる社会になっていくように、私はこれからも行動していかなきゃいけないなと思っています」と力強く語った。
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【会見レポート】坂口涼太郎が自著に思い込める「みんながポジティブに楽しく踊れる社会になるように」
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