7月から8月にかけて東京・福岡・京都で上演される、歌舞伎「刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)」の記者会見が昨日5月28日に東京都内で行われ、脚本を手がける
これはゲーム「刀剣乱舞 ONLINE」を原案とした歌舞伎作品第2弾。2023年に上演された「新作歌舞伎『刀剣乱舞』月刀剣縁桐」では、1565年に起こった永禄の変を題材にしたオリジナルストーリーが展開したが、第2弾となる今回は、鎌倉時代の歴史書「東鑑(吾妻鏡)」を踏まえ、1219年に起こった源実朝暗殺事件を題材とした物語が描かれる。さらに今回は、芝居の最後に大喜利所作事として「舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)」が披露され、本編に登場する刀剣男士8振りがそろって華やかに踊る。
松岡は「前作に負けない作品を松也さん、そして菊之丞先生と一緒に作り上げていければいいなと思っております」と意気込みを述べ、菊之丞は「前作に引き続きまして松也さんと一緒に演出、そして振付をさせていただきます。2作目ができる喜びを感じながら、今回はお芝居のほかにいわゆる劇中の通りという形ではなく最後に大喜利所作事ということで踊りがつくことになっておりますので、私としても楽しみにしているところです」と笑顔を見せる。松也は「実は第1作目を企画し作っているときからこのコンテンツをシリーズとして、何作も作れるようなものにしていきたいと思っておりましたので、こうやって第2弾ができますことはうれしいことです。前回、本当にいろいろな方の支えがあって大盛況のまま幕を閉じることができましたので、前作に負けないように、そしてまた新たな形で歌舞伎の幅や魅力を知っていただけるようにできたらいいなと思っております」と力強く語った。
2作目の見どころについて、松也は「まずは新たな刀剣男士のキャラクターが登場するというところでしょうか」と述べ、加州清光役 / 実朝御台倩子姫役の尾上左近、陸奥守吉行役 / 源実朝役の中村歌昇、鬼丸国綱役の中村獅童について紹介。「また先ほど菊之丞さんもおっしゃった通り、第1作目のときはいわゆる舞踊の場面はほんのわずかだったのですが、今回は思い切って舞踊をしっかりと別立てでやらせていただきますので、形式としてかなり前回とは違うと思います。さらに時代設定が変わり、物語も新しくなっています」とポイントを述べつつ、「ただ前回意識していた、『歌舞伎をこれまでご覧いただいているお客様にも新鮮で、初めてご覧になる方にもインパクトがあるビジュアル・構成・演出』については今回も変わらず意識して、どなたが観てもどこかで観たことがあるような、それでいて新鮮に映るものを実現できたらと思います」と話した。
記者から歌舞伎と「刀剣乱舞」の相性の良さについて問われると、松也は「まず1つは扱っている大きなテーマが歴史であるという点ですね」と即答。「多くの古典作品が歴史をもとに脚色して作られたものが多いので、その点でのリンク性というか、作り甲斐があるなということは以前から感じていました。あとはキャラクター造形の部分で、もともと歌舞伎からインスピレーションを得て作られている刀剣男士もいたりしますので、シンパシーを感じたりもしていました。また2.5次元の舞台なども拝見して、アナログな手法を取り入れて作っている作品も多かったので、『そういう見せ方もできるんだ、してもいいんだ』という発見もあり、歌舞伎化することへの意欲が僕の中で湧いたところがあります」と話す。一方で「洋装のキャラクターをどう歌舞伎に落とし込んでいくかというところは、いつも大変ではありますね」と述べ、「でもそういうキャラクターほど非常にテンションが上がるというか(笑)。どうやって料理しようと楽しみなところではあります」と楽しげな表情を見せた。
続けて記者が松岡に、物語の内容について詳しい説明を求めると、松岡は会場を見回しながら「実朝や北條政子、妻の倩子姫、公暁といった登場人物がそろっていますので、察しがいい方はおそらく、暗殺前夜の物語になるのではないかと想像してくださっているかと思いますが……」とニヤリ。「ただ歴史通りに事件を書いたのでは飛躍がありませんので、歌舞伎『刀剣男士』ならではの物語の飛躍などがあります。そこはぜひ、実際の舞台でお楽しみいただけたらと思います」と期待をあおった。
さらに羅刹微塵役についても詳しい説明が求められると、松也は「この羅刹微塵という存在が謎の多いキャクターでして……彼が一体何者なのか、何と関わりがあるのかということは、僕も菊之丞さんも松岡さんもまだよくわかっていない状況です(笑)」と返答しつつ、「先ほども申し上げたようにこの歌舞伎『刀剣乱舞』は第2弾で終わるつもりはございませんので、そういった意味では今後、壮大なキャラクターになる可能性は十分に秘めているのかもしれないなという気もします」と意味深な笑顔を見せた。
なお前回は松也にとって初めての演出作ともなった。その点での手応えを問われると、「ゼロからスタートするところから携わって、それが何年もかけて形になっていくという経験はこれまでなかったですし、自分がやりたいこと、見せたいことを形にするのは楽しかったけれども、それが実際に皆さんにどう見えるのか、どう評価されるのかというところに至るまでは、やはり怖かったですね。『信じてきたものが間違っていなかった』と見定めるまでが一番難しかったというか、恐ろしかったところではあります」と真摯に語った。
また「舞競花刀剣男士」についての見どころを問われた菊之丞は、「この『刀剣乱舞」という作品は、刀剣男士たちのキャクターがすごく個性豊かなんですね。お芝居として役者が演じることでその個性は倍増するのですが、踊りでもキャラクターによって動きが変わるんです。ですので、振付師としては『あの刀剣男士にこんな踊りを踊らせてみたい』『あんなところを観てみたい』という欲が次々と生まれてくるということがあります(笑)。また劇中での踊りはストーリーを見せる1つの道具でなければいけないところがあると思いますが、今回は所作事として別にすることによってストーリーの枠をはみ出して自由に踊ることができるので、今、皆さんと相談しながらアイデアを膨らませている状況です」と楽しげに語った。
出演者にはこのほか、同田貫正国役 / 公暁役の中村鷹之資、髭切役の中村莟玉、膝丸役の上村吉太朗、小烏丸役 / 北条政子役の河合雪之丞らが名を連ねている。公演は7月5日から27日まで東京・新橋演舞場、8月5日から11日まで福岡・博多座、15日から26日まで京都・南座で行われる。チケットの一般販売は、東京・京都公演分が発売中、福岡公演分は6月28日10:00にスタート。
歌舞伎「刀剣乱舞 東鑑雪魔縁」
2025年7月5日(土)〜27日(日)
東京都 新橋演舞場
2025年8月5日(火)〜11日(月・祝)
福岡県 博多座
2025年8月15日(金)〜26日(火)
京都府 南座
スタッフ
原案:「刀剣乱舞 ONLINE」より(DMM GAMES/NITRO PLUS)
脚本:
演出:
出演
三日月宗近 / 羅刹微塵:尾上松也
陸奥守吉行 / 源実朝:中村歌昇
同田貫正国 / 公暁:中村鷹之資
髭切:中村莟玉
加州清光 / 実朝御台倩子姫:尾上左近
異界の翁 / 三浦義村:澤村精四郎
膝丸:上村吉太朗
異界の媼 / 源仲章:市川蔦之助
小烏丸 / 北條政子:河合雪之丞
北條義時:喜多村緑郎
大江入道:大谷桂三
鬼丸国綱:中村獅童
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阿雅佐 @agatchy
松也さんと菊之丞先生、松岡さんのお話から推察するに…
二部の舞踊パート、みんな大好き三番叟的なものになるのでは!!
ゴレンジャーが8人体制で…??
ラスボス羅刹微塵は第三弾以降も登場するキーマンになりそうだし、プロデューサー松也さんの世界観!!
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