“喜怒哀楽のすべてが書き込まれている”「華岡青洲の妻」に大竹しのぶらが気合い

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華岡青洲の妻」の取材会が本日5月8日に東京都内で行われ、本作の演出を手掛ける齋藤雅文、出演者の大竹しのぶ田中哲司波乃久里子が登壇した。

「華岡青洲の妻」取材会より。左から田中哲司、大竹しのぶ、波乃久里子。

「華岡青洲の妻」取材会より。左から田中哲司、大竹しのぶ、波乃久里子。

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「華岡青洲の妻」は、有吉佐和子が1966年に発表した作品。世界で初めて全身麻酔による手術を成功させた青洲のエピソードをもとに、嫁と姑の闘いが描かれる。齋藤が演出する今回の公演では、青洲の妻・加恵役を大竹、青洲役を田中、青洲の母・於継役を波乃が務める。

「華岡青洲の妻」取材会より、齋藤雅文。

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齋藤は「『華岡青洲の妻』は日本の近現代演劇史の中でも特筆すべき上演回数が多い作品だと思います。どうしても昨今はミュージカルや翻訳劇が多くならざるを得ないのですが、日本にも本作をはじめ素晴らしい作品が何本もございます。そういった作品を大劇場で、しかも僕は望むべく最高の配役で上演できることを大変うれしく、思っております」と満面の笑みで語る。

「華岡青洲の妻」取材会より、大竹しのぶ。

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大竹は「本当は私は、年齢的にもお母さんの於継役をやりたいとお願いしていたのですが、今回お母さんは波乃さんにお願いすることになりましたと聞いて、波乃さん……久里子ちゃん……マロンちゃんと一緒にお芝居できるなら、と思い、私が加恵役をやらせていただくことになりました。また哲ちゃんとも久しぶりにお芝居ができてうれしいです。楽しいお稽古場にしたいと思います」と意気込みを述べた。

「華岡青洲の妻」取材会より、田中哲司。

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田中は「今回、共演者の方々が尊敬すべき大先輩のしのぶさんと波乃さんで、今から本当に不安でドキドキしているんですけれども、この不安をお稽古場で乗り越えた暁には違う素敵な風景が見えてくるんじゃないかとワクワクもしております。とにかくがんばります」と緊張の面持ちで語る。

「華岡青洲の妻」取材会より、波乃久里子。

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これまでもたびたび本作に出演している波乃は、「於継役は、杉村春子先生の素晴らしい於継を観てしまったのでこれだけはできないと再三お断りしたんですけれども、今回どうしても、ということでお引き受けしました。ただこうしてしのぶさん、田中さんといると少しは安心してやれそうな気がしてきましたね。女優生命がこれで終わりになるかもしれませんけど(笑)、死ぬほどがんばります」と気合いをみせた。

記者から改めて作品に対する印象を問われると、齋藤は「ほかの作品もそうですが有吉先生の作品は社会性の非常に深いところを捕まえていらっしゃる。この作品は特に嫁姑問題がクローズアップされますけれども、日本の家族制度が持っている宿命的な問題をとても深く描いており、息子を間に挟んで嫁と姑がいろいろな思いを抱くという人間の普遍的なところを確実に捉えつつも、エンタテインメントになっているところがとても面白いと思います。予備知識なしで観てもとても笑えるしゾッとするところもあるだろうし、喜怒哀楽のすべてが書き込まれているという点で普遍的な作品だと思います」と話した。

「華岡青洲の妻」取材会より。左から田中哲司、大竹しのぶ、波乃久里子。

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田中は「しのぶさんと波乃さんのバトル……それが怖ければ怖いほどお客さんは笑えると思います。『華岡青洲の妻』というと堅いイメージがありますが、笑えるところが本当に多いですし、個人的にはその時代の人たちが1人ひとり精いっぱい生きているところが素敵だなと思っています」と作品の印象を述べる。

大竹は「和歌山弁がすごく美しくて。音もニュアンスも柔らかくて美しいんですけど、表面的には柔らかい物言いなのに心の中ではまったく違うことを考えているのがこの作品の面白さでもあるのではないかなと。お客様にとってもそこが笑える怖さでもあると思うし、滑稽だと感じるのではないでしょうか。また先日、キャンペーンで和歌山に行ってきたんですけれども、地域の方たちは青洲先生、青洲先生って今でも本当に尊敬していらっしゃる。お墓の大きさにもそれは表れていて、青洲先生のお墓はすごく大きいんですけど加恵は半分くらい、またその半分くらいがお義母さんなんです。この時代、やっぱり女は外に出られなかったということなんだなと感じましたし、そういう意味でも社会的な問題が浮き彫りになっていると思いました」と述べた。

波乃は「この作品がここまで残ったのは、やっぱり有吉先生のすごさであり、於継を演じてこられた杉村先生のすごさだと思います。今後、若い方が『このお芝居をやってみたいな』と思わせるようなお芝居にみんなでしていきたいと思います」と笑顔で語った。

「華岡青洲の妻」取材会より。左から齋藤雅文、田中哲司、大竹しのぶ、波乃久里子。

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「華岡青洲の妻」の公演は、7月10日から23日まで京都・南座、26・27日に福岡の久留米シティプラザ ザ・グランドホール、8月1日から17日まで東京・新橋演舞場で行われる。チケットの一般販売は、福岡公演分が発売中、京都・東京公演分は6月9日10:00にスタート。

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華岡青洲の妻

2025年7月10日(木)〜23日(水)
京都府 南座

2025年7月26日(土)・27日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

2025年8月1日(金)〜17日(日)
東京都 新橋演舞場

スタッフ

原作:有吉佐和子
演出:齋藤雅文

出演

加恵:大竹しのぶ
華岡青洲:田中哲司
於勝:田畑智子
小陸:武田玲奈
米次郎:陳内将
於沢:長谷川稀世
良庵:曽我廼家文童
於継:波乃久里子
只野操 / 藤川三郎 / 久藤和子 / 名越志保 / 中谷容子 / 斉藤沙紀 / 駒井健介 / 喜多村次郎

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